【2017年12月4日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


須坂市 ペットの災害対策


テーマは「ペットの災害対策」です。東日本大震災をはじめとする災害では、避難した際に、ペットをどうすればよいのか。その対応もひとつの課題になりました。そんな中、須坂市で、今年(平成29年)8月、総合防災訓練が行われました。この訓練には、17匹の犬や猫の飼い主が参加し、さまざまな訓練が行われました。須坂市では、ペットと同行避難する訓練のことを「飼育動物同行避難訓練」と名付け、平成23年から行っています。今年で5回目の実施となりました。この訓練を担当した須坂市役所生活環境課の田村栄敏(たむら・しげとし)さんにお話を伺います。
災害が起きた時、ペットをどうするかというのは、大きな問題だと思います。8月の訓練では、具体的にどのような訓練を行ったのでしょうか?


田村さん:この訓練は、災害発生直後から内外の支援体制が整うまでの、おおむね「3日間程度」を想定し実施しました。いざ災害が発生すると、行政は、どうしても、人的な対応に追われてしまうと想定されます。そこで、この訓練では、行政はサポート役にまわり、訓練主体をボランティア団体である長野愛犬クラブさんにお願いしています。訓練内容としては、仮設ダンボールケージの作り方・設置や係留方法などを、参加者に体験していただきました。また、獣医師会須高支部の先生方に、ペットの応急手当、健康相談などを行っていただきました。さらに、今回は、初めて、中学生2人も訓練に参加し、所有者名やペットの負傷の有無などの聞き取り調査、水、えさの配布などを一生懸命行ってくれました。その他、衛生対策として、ペットのトリミングも実施しました。


Q:長野県愛犬クラブ、獣医師会須高支部といったグループも参加したわけですね。須坂市では、災害が起きた時のペットの対応について、以前から力を入れているんでしょうか?


田村さん:こういった、ペットの同行避難訓練は、平成23年から始まりました。より具体化するために、平成24年に、県内の自治体に先駆けて、「災害時における動物愛護に関する協定」を獣医師会須高支部・動物愛護会長野支部さんと締結しました。また、衛生対策として市内のトリミング業者さんとも協定を結び、平成25年には、協定団体と「飼育動物連絡会」を設置して、訓練内容を検討しています。また、平成29年2月には、ペットのための災害対策の講習会を市民向けに実施いたしました。講師には、新潟県中越地震でペットの災害対策を担当した、新潟県の職員を招きました。この講演会には、SNS等を通じて、県内各地域からも多く参加いただき、災害が起きた時、ペットをどうするかについて、高い関心を持つ人が多いことが分かりました。


Q:そういった連携を築く一方、今回の訓練では、新たな訓練も行ったそうですね?


田村さん:平成28年の熊本地震の際、ペットを飼われている方の中には、「ペットの鳴き声で他の避難者に迷惑をかける」、「ペットと離れたくない」などの理由で避難所に入らないというケースも見受けられました。そこで、今回の訓練では、ペットとともに車中泊をする想定の訓練を行いました。暑い8月の訓練のため、ペットが熱中症にならないように、車の窓や後部ハッチを開けたり、遮光のシートで囲ってやるなどして、ペットが快適に過ごせるよう工夫しました。


Q:実践的な訓練になりましたね。当日、訓練に参加した飼い主からは、訓練を通して、どんな声が上がっていましたか?


田村さん:地域の方からは、ペットを避難所に連れて来られることを始めて知った。係留方法が参考になった。また、ありがたいことに、ペットの災害対策に取り組んでいる須坂市へ感謝の言葉もいただきました。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考えるうえで、田村さんはどんなことが重要だとお考えですか?


田村さん: ペットを飼っている方には、是非、ペットの災害対策も行って欲しいと思います。あまり知られていないかもしれませんが、「ペット用の防災グッズ」も市販されています。最近では、えさ箱や水入れ、フンをとるシートなどがリュックサックに入ったセットも売られています。こういったものを是非、備えていただきたいと思います。また、ペットの常備薬も一緒にお願いしたいと思います。そして、犬の場合には鑑札、猫などの場合は迷子札の着用をお願いいたします。人とペットが安心して避難所に避難できる体制を作ることも、行政の重要な仕事のひとつだと考えています。まだまだ課題が多く残されていますが、こういった訓練を継続的に実施しながら、今後も、人にも動物にもやさしいまちづくりを目指して活動していきます。


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