【2017年10月30日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


長野県総合防災訓練


11月5日(日)に飯田市で「長野県総合防災訓練」が開かれます。この訓練は昭和38年から始まった訓練で、今年が55回目。飯田市では平成5年以来の24年ぶり。今年は、長野県危機管理部と飯田市危機管理室が主催します。どんな防災訓練になるのか、飯田市危機管理室の後藤武志さんにお話を伺います。
後藤さんは「防災の話」の第1回(平成29年4月10日放送)のゲストです。後藤さん、3000人が集まるそうですが、まずは訓練の概要をご紹介ください。


後藤さん:11月5日(日)の午前8時から午後1時にかけて、飯田市で行います。主会場は飯田市川路多目的広場で、サブ会場として、飯田市立病院、天竜川総合学習館で訓練を予定しています。


Q:どんな想定で行われるんでしょうか?


後藤さん:今回は飯田で最悪の事態が起きたという想定で訓練をします。まずは雨による被害、そして天竜川があふれる洪水、そして崖が崩れたり土石流が発生したりという土砂災害、それから、その最悪な状況に、更に駿河湾で震度7クラスの地震が発生し、その地震に誘発されて飯田で震度7クラスの直下型の地震が起き、また地震によって車が衝突するなどして異臭が発生するという、最悪中の最悪を想定して訓練をします。


Q:飯田で起きうる最悪の事態を想定して、どんな訓練を行うんでしょうか?


後藤さん:まず、現地合同調整所を設営して関係機関が相互に連携をとる訓練を行います。そのあと、いわゆるライフライン系の復旧訓練を行い、救護所や避難所の開設の訓練、それから、土砂災害で人が生き埋めになった想定で人を救助する訓練、避難者の安否確認、災害時要援護者と呼ばれる人たちの支援の訓練などを予定しています。


Q:非常に幅広い訓練になりますね。今回、力を入れたいと思われていることはどんなことでしょう?


後藤さん:今年11月22日で長野県の神城断層地震から3年を迎えます。地域の住民の皆さんの力というものが非常に注目された災害でもありました。その教訓を生かして、たとえば大規模がれきの中から住民を救出したり、けがをされた方を住民の皆さん自らが手当てをしたりする訓練をします。また、子どもたちにも、負傷者役、救護者役として参加してもらって、子どもにもできるんだというところをしっかり打ち出していきたいです。それから、避難所の開設・運営の訓練も、これまでの県の訓練では行政が携わってやっていましたが、飯田では避難所の開設・運営は住民の皆さんがやるということになっていますので、今年の飯田での訓練では、住民の皆さんに避難所の開設・運営の訓練をしていただこうと考えています。


Q: そして、親子で災害を体験できるコーナーもあるそうですね?


後藤さん: 県内に1台だけある地震体験車に乗ることもできます。さらに、広域消防や国土交通省の支援もあって、「煙体験コーナー」や「土石流の3Dシアターコーナー」なども準備します。親子で楽しみながら体験し、災害を学ぶことができます。


Q: 親子で災害を考えるいい機会になりそうですね。この訓練、飯田市以外の方も参加できるんですよね?


後藤さん: 幅広く、県内外から、是非、お越しいただきたいと思います。当日の訓練は、朝8時から始まりますが、早く来れば来るほど、おいしい特典も用意しています。カレーを先着500人分、用意します。また、スタンプラリーも実施します。全てのスタンプを集めた先着500人に、簡易トイレと非常食をプレゼントします。是非、お早めにお越しいただき、お帰り前には、飯田の秋をお楽しみいただきたいなと思います。


Q: 今年4月に「これからの防災を考える上でどんなことが重要ですか」とお訊ねしたとき、後藤さんは「各自のまわりに、どのようなリスクがあるか考えて、家族や周囲の人とそれを共有し、事前に何ができるかを考え訓練しておくこと。これに尽きる」とおっしゃいました。この言葉は、このコーナーの指針にもなっています。あれから半年がたちました。これに加えて、後藤さんが防災について最近お考えのことがあれば、教えて下さい。


後藤さん: 先週、東京で、危機管理士の仲間が集まる学会がありました。そこで、今までの私の経験も発表したんですが、行き着いたところは、「顔の見える関係を築いておくこと」の重要性でした。何だかんだ言ってもそこでしょう、と、ひとつの結論となりました。私のように、行政として、危機管理士として活動している立場では、全国の色々な所とネットワークを築いておくとさまざまなことがうまくいきます。これは、地域も同じなんですね。地域の中でも、きちんと顔の見える関係をどれだけ築けているかが大事だと思います。地域の防災力を高めるためには、これは勝負だなと思います。ですから、地域のお祭りに参加したり、日頃、声をかけたり、あいさつしたりっていうのが大事だなと思います。


<長野県総合防災訓練についてのお問い合わせ先>
飯田市危機管理室 0265−22−4511

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