【2017年10月16日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


下諏訪町 防災士を増やす取り組み


下諏訪町の動きをご紹介します。下諏訪町消防団副団長で、防災士の資格をお持ちの清水正(しみず・ただし)さん(58歳)です。
まず、下諏訪町では、今年(平成29年)8月に大規模な防災訓練が行われました。どんな訓練だったのかご紹介ください。


清水さん:下諏訪町は、諏訪湖に近い地域にお住まいの人もいれば、山の近くで暮らしている人もいます。さまざまな地域から、およそ6000人が集まりました。地震を想定してさまざまな訓練を行いました。たとえば、初期消火や倒壊家屋からの救出訓練、AEDを使った心肺蘇生法、災害ボランティアをどう受け入れるかシミュレーションをしたり、災害発生時に有効な「ドローン」の操縦体験コーナーなどの訓練に取り組みました。


Q:そのほか、今回の訓練には、新たな訓練も取り入れたそうですね。


清水さん:はい、諏訪赤十字病院の「特殊医療救護車」も参加してもらい、被災者を搬入する訓練も行いました。この「特殊医療救護車」は車内でオペもできる大型の救急車です。また、平成28年から、町、学校、区長会などと協議し、小中学生の児童・生徒にも参加してもらっています。消火器の取扱いや応急手当て、ドローンの操縦などを体験してもらいました。また倒壊家屋からの救出訓練では、大人と一緒に、被災者を担架で搬送する訓練にも参加してもらいました。


Q:清水さんは、その訓練でも大きな役割を担った下諏訪町消防団の副団長でいらっしゃいますが、一方で「防災士」の資格もお持ちです。改めて、「防災士」とは何かご紹介下さい。


清水さん:防災士は、国家資格ではなく、日本防災士機構が認定する民間の資格です。地域の皆さんの防災意識を高める活動や防災訓練などに取り組みます。災害発生時には、主に避難所の運営などの面で中心的な役割を担います。この資格をとるための勉強をする中で、300ページほどあるテキストで、さまざまな災害に関する知識、防災・減災に関する知識を学ぶことができます。私の場合は、1ヶ月ほど勉強し、資格の研修講座を開いている大学で丸2日講義を受け、おととし、試験に合格しました。資格取得のためにかかる費用は、ケースバイケースのようですが、私は、教材費、受講料などを含め、3万円ほどで取得することができました。また、下諏訪町では、平成29年度、防災士の資格取得に向けた費用の一部を、支援する取り組みも続けています。


Q:清水さんが防災士の資格を取ろうと思われたきっかけは、諏訪地域で起きた災害だったそうですね?


清水さん:そうなんです。平成18年の7月に集中豪雨がありました。岡谷市や下諏訪町で土石流や土砂崩れが発生したほか、諏訪湖の増水による水害も起きました。県内では、死者が10人以上出たほか、建物被害も甚大でした。その時、ひとつ感じたことは、地域の自主防災会があまり機能していないということでした。地域のひとりひとりの防災意識を高めるための手段として、まずは私が、防災・減災に関する正しい知識を体系的に学び、防災士の資格をとってみようと考え取得したわけです。


Q: 清水さんは、現在、地域の人たちにも「防災士」の資格取得を薦めているそうですね。


清水さん: そうなんです。災害についての正しい知識を持っている人がひとりでも増えれば、心強いと思っています。また、災害が起きた時、防災士は、避難所の運営という難しい仕事を担当する場合が多いんです。その時にも、前提となる知識や考え方を持っている人が多い方が、避難してくる住民にとっても心強いと思います。平成29年度末には、新たに50人ほどの防災士が誕生する予定で、合計100人を超える防災士が下諏訪町に在住することになります。地域の防災への意識を高めるうえでも有効だと思っています。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考えるうえで、防災士でもいらっしゃる清水さんは、どんなことが重要だとお考えですか?


清水さん: 地震や豪雨などの災害を、人間の力で止めることはできませんが、備えることはできると思います。 備えるために、必要なのは、「正しい知識」と「危機意識」だと思います。普段から、防災や減災に関する正しい知識を意識して集めること、そして危機意識を持って生活をすることで、もしものときのダメージを減らせることができると信じています。


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