【2017年10月2日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


飯山市危機管理防災課の取り組み


飯山市では、今年(平成29年)5月19日、山間部を流れる川のそばで、土砂崩れが起きました。幅およそ150メートル、長さおよそ500メートルに渡り土砂が崩れ、一部が川の中に流れこみました。現在も、下流域の4世帯14人に避難勧告が出されています。飯山市の防災の最新状況について、飯山市危機管理防災課 防災消防係の篠原秀和(しのはら・ひでかず)さんにお話を聞きます。
まず、5月19日、土砂崩れが起きた当日の様子をお聞かせ下さい。


篠原さん:5月19日の朝、飯山市照岡を流れる井出川の近くに住む市民から、「川の水が少なく、濁っている」と市役所に連絡がありました。それを受けて、すぐに県の職員とともに現場に向かいました。沢の上流に崩落した山肌が確認できました。あわせて、民間事業者の協力を得てドローンによる崩落箇所の調査を行いました。その結果、崩落がこれまでにない大規模なものであることが分かり、その日のうちに県と対策会議を行いました。翌日には、市庁舎に対策本部、現場地域の市の出張所に現地対策本部を設置しました。また、地区説明会を行い、土砂災害の危険が及ぶ可能性のある住民10世帯、26名に対して、避難勧告を発令しました。


Q:これまでにない大規模な災害だったわけですね。その後、飯山市では、県などと連携しながら、どのような対策を行っているのでしょうか?


篠原さん:まず、県の施策として、土石流が発生した際にサイレンやメールなどで知らせるための土石流センサーや監視カメラを設置しました。また、河川の周りに土砂の流入を防ぐための「大型土のう」を設置するとともに、土砂や流木などを受け止めるための「リングネット」を設置しました。一方、飯山市の施策としては、まず、土砂の流入によって使用できなくなった農業施設の復旧や道路上の土砂撤去を行いました。また、土石流が発生したことを伝えるサイレンをより広く住民に知らせるために、「屋外スピーカー」を設置しました。


Q:この災害では、消防団も大きな役割を果たしたそうですね?


篠原さん:はい、今回の災害では、消防団は、33日間、のべ587名の団員に24時間監視を行っていただきました。普段のお仕事がある中、交代で任務についていただき、大変な労力を使っていただきました。地域住民もとても心強く感じていたはずだと思います。


Q:現在も避難勧告が出ていますが、今後の見通しはどうでしょうか?


篠原さん:災害発生当初、避難勧告を10世帯26人に出しました。県の対策工事が進むにつれ、現在では4世帯14人となっています。現在は、土石流による土砂や流木などを受け止めるコンクリートブロックのえん堤の工事が進められています。完成は平成29年11月頃となる見込みです。それが一つの目安になるのではないかと思います。避難勧告の対象世帯の方は、現在、臨時避難所に住まわれており、不便な思いをしています。一日でも早く、元の生活に戻れるよう、国・県と連携して取り組んでいきたいと思います。


Q: 飯山市では、この災害の影響もあり、今年(平成29年)は防災訓練を行わず、また来年、訓練を行うそうですが、今回の災害を受けて、どのような訓練を行う予定でしょうか?


篠原さん: 毎年、地震による災害を中心に、住民の皆さんとともに防災訓練を行っていますが、土砂災害を想定した訓練は、危険箇所を確認する程度でした。今回の災害を受けて、今後は、市の防災体制の強化も含め、「土砂災害や洪水などに対する訓練」も計画していきたいと考えています。また、今回の災害で避難勧告や避難指示を発令しましたが、避難所の受け入れなどは地元の自主防災組織の協力が重要だと再認識しました。今後の防災訓練では、地域の自主防災組織と連携した「避難所の受け入れ訓練」なども取り入れたいと思っています。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考えるうえで、篠原さんはどんなことが重要だとお考えですか?


篠原さん: まず、自分の住んでいる地域に、どのような自然災害の脅威があるか、また、その災害が起こった際には、どのような行動をとればよいか、どこに避難すればよいかなどを、改めて確認することが重要だと思います。また、地域の防災・減災にとって、住民からの通報は、とても重要です。今回の飯山市の災害では、住民からの通報により、早い段階で現場調査が行われ、避難勧告の発令につながりました。実際、避難が完了した2日後に6回にわたり、土石流が発生し、下流の橋や田んぼに土砂が流入しています。あの日、もし、住民からの「川の水が濁っている」という通報がなければ、人的被害があったかもしれないと思います。普段と違った現象があれば、それが災害の前触れかもしれません。そういった情報をすぐに市町村役場に知らせていただくことも、地域の減災につながると思います。


※平成29年10月2日現在の状況です。

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