【2017年6月19日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


軽井沢町中軽井沢区の取り組み 


軽井沢町の中軽井沢区自主防災会をご紹介します。まず、中軽井沢区について簡単にご紹介します。軽井沢町の真ん中にあって、しなの鉄道の「中軽井沢駅」の周辺に広がる住宅地です。およそ2400世帯、5200人が暮らしています。(平成29年)6月1日の夜遅くから翌朝にかけて、県東部で突風が吹き、ここ中軽井沢区でも被害が確認されました。中軽井沢区の区長で、中軽井沢区自主防災会会長の中嶋忠利(なかじま・ただとし)さん(85歳)です。
6月1日の突風は、中嶋さんのお住まいの中軽井沢区でも被害が出たそうですね。


中嶋さん:はい、深夜2時過ぎ頃、雷雨とともに、強風が吹きました。雷も大変に大きかったです。中軽井沢区の消防団の詰め所のトタン屋根が飛びました。そのほか、ガラスが割れた被害も確認されています。


Q:それほどの突風だったのですね。中嶋さん、まず、中軽井沢区自主防災会についてご紹介下さい。


中嶋さん:はい。平成24年に、消防署や行政にご指導いただいて、軽井沢町にある30の区の中から「第1号」として町長から認可され、発足した自主防災組織です。現在、およそ1300世帯が加入しています。日頃から、避難マップの作成、連絡網の整備をしています。また、炊き出し用の備品や避難誘導に使用する拡声器などを災害に備えて備蓄しています。また、災害に備えて、毎年、防災訓練を行っています。


Q:中軽井沢区自主防災会の皆さんは、防災訓練のほかに、「防災運動会」という独自の取り組みも続けているそうですね。どんな行事なんでしょうか?


中嶋さん:防災意識を向上させるための運動会です。中軽井沢区には27地区あるのですが、それを5つのグループに分けて、赤や白、青などのはちまきを締めて、さまざまな競技に真剣に取り組んでもらいます。たとえば、「土のうを作って、積み上げるスピードと、積み上げの強度を競う競技」、「毛布と棒を使って、担架を作り、人を運ぶ競技」「火の立て看板を目指す、バケツリレー競技」。その他、消火栓やAEDの使用方法の講習会も行っています。


Q:大変ユニークな取り組みですね。防災運動会に参加した人たちからはどんな感想がありましたか?


中嶋さん:「災害に役立つ知識や技術を楽しく学べて、ためになった」とか、「普段会わなかった人と会えて、新しい絆ができた」といった意見がありました。有効な行事だと評判がよいため、これからも1年おきに開催する予定です。


Q: まさに、楽しみながら学べる、参加しやすい行事ですね。中嶋さん、軽井沢といいますと、観光地としても人気です。軽井沢町によりますと、過去5年でおよそ800人ほど人口が増えています。もちろん、軽井沢の魅力にひかれて移住した人も多いわけです。そんな中で、中嶋さんにとって、悩ましい状況もあるそうですね。


中嶋さん: 自主防災組織作りを進める上で、軽井沢に移住されてきた方が、なかなか、入ってくださらないという悩みがあります。「人との関わりを減らして静かに暮らしたい」と思われ移住されてきた方もいらっしゃいます。それぞれの価値観、人生観がありますから、なかなか難しいのですが、万が一、災害が起きた時のために、ぜひ、入って下さい、と、行政とも連携しながら、お声をかけることを地道に続けています。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考えるうえで、中嶋さんはどんなことが重要だとお考えですか?


中嶋さん: 万が一の災害が起きたときに、どのように行動すればいいかを、ひとりひとりが理解し、実際に行動できるということ。これがまず大事だと思います。あとは、同じ地区に住んでいる人と、道で会ったらあいさつをしたり言葉をかわす、そういう日頃のおつきあいを通して、信頼しあえる仲間作り・いざという時に助け合える絆作りを地道に続けていきたいと思います。



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