【2017年6月12日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


千曲市稲荷山地区の取り組み   


千曲市の稲荷山(いなりやま)自衛団をご紹介します。稲荷山自衛団、本部団長の田仲伸次(たなか・しんじ)さん(50歳)です。
まず、千曲市の稲荷山地区についてご紹介下さい。


田仲さん:千曲市の北にあって、長野市と接している市街地です。現在、およそ1800世帯、およそ5000人が暮らしています。しなの鉄道の屋代駅から車で5〜10分ほどの場所にあって、千曲川の西側に町が広がっています。想定している災害としては、火事と、地震、それから、千曲川による水害です。3年前(平成26年)にも火災がありまして、私たち稲荷山自衛団は、消火栓にホースをつないで消火を行いました。


Q:田仲さんが所属する稲荷山自衛団についてご紹介下さい。


田仲さん:はい。稲荷山自衛団の歴史は古く、明治16年に発足した自主防災組織です。現在、10代20代から60代まで140人ほどが所属しています。本部の下に、「い組」「ろ組」「は組」「元組」と、担当地域ごとに、4つの分団があります。特に、火事に備えて年に2回の防災訓練では、放水訓練や、消火栓や消化器の使用方法の確認を繰り返し行っています。また、年に1回、地域内の消化器や消火栓のホースを見回りし、異常がないかを確認し、問題があった場合は速やかに対応しています。いざ、火事が起きた際には、初期消火を念頭に行動します。また、消防署や消防団が現場に到着したあとは、仕事をしやすい環境を整えるべく、現場に近づこうとする人々の整理などを担当します。


Q:そのほか、稲荷山自衛団の皆さんは、地域で、火を扱う行事があるときは、自主的に、火の管理や警戒を続けているそうですね。


田仲さん:そうですね。1月の「どんど焼」、8月の「お花市」、9月の「治田神社のお祭り」など、火を扱う行事や、人が集まるイベントでは、率先して、火を警戒し、管理にあたっています。そのほか、4月と12月には、夜の町を数人で警戒して歩く「夜警」も、伝統として行っています。黒いはっぴを着て、拍子木と提灯をもって、夜の9時から、2人から4人で、担当地域を練り歩いていきます。


Q:地域に根差した活動を地道に続けることが、もしもの時にも生きてくるのでしょうね。田仲さん、夜警を続ける中で、最近、町の変化にも気づいたそうですね。


田仲さん:やはり、稲荷山地区も人口減少傾向にあります。夜の町を拍子木を持って歩いていると、若者が外へ出て行って、高齢者だけが暮らしている家や、誰も住んでいない家が増えていることを実感します。もともと、古い建物が多い地域でもありますので、火事が起きたときの延焼はもちろん、いざというとき、若者が少なくなっていることに、心配になることもあります。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考える上で、田仲さんはどんなことが重要だとお考えですか?


田仲さん: 地域に根差した生活をすること、顔見知りを増やすことが大事だと思っています。災害が起きた時こそ、いかに普段からコミュニケーションをとっているかが問われると思います。そのためにも、私たち、稲荷山自衛団は、積極的に地域のイベントに参加し、知り合いや顔見知りを増やすことで、災害に備えています。また、冒頭に、3年前(平成26年)に起きた火事を消火しましたとお話しましたが、実は、その時の火事は、防災訓練の翌日に起きたんです。火事にならないように、ひとりひとりが気をつけるのはもちろんですが、いつ起きるかわからないのが、火事や災害だと、身をもって体験しました。もしものために、日頃から備えること。もしものときが来たら、自分たちにできることを確実に行うこと。こういったことが大事だと考えています。



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