【2017年6月5日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


岡谷市東堀区の取り組み    


岡谷市東堀(ひがしぼり)区の取り組みをご紹介します。
東堀区の区長で、岡谷市の区長会の会長も務めていらっしゃる杉村法夫(すぎむら・のりお)さんです。
まず、岡谷市の東堀区についてご紹介下さい。


杉村さん:東堀区は、岡谷市の東側、下諏訪町との境にあります。諏訪湖沿いにある住宅街で、およそ3000世帯、およそ7000人が暮らす地域です。横河川が流れています。山や沢には直接面していないため、土砂災害や水害より、地震や火事を想定して、防災活動を続けています。


Q:地震や火事を想定して、皆さんは、どのような準備をされているのでしょうか。


杉村さん:ひとつには、「支え合いマップ」を作成し、平成28年、地区全体のマップが完成しました。平成28年の夏に全戸配布しています。この「支え合いマップ」には、要援護者がどこで暮らしているかを示すほか、地域の中で、どこに消火栓があるかを示しています。現在区内には、消火栓が126カ所、消火栓ボックスが60カ所設置されていますが、消火栓の器具、具体的にはホースや筒先が少ないので、毎年、市の補助をいただきながら購入して数を増やしています。


Q:そういった日頃の備えのほかに、平成28年10月には大規模な防災訓練を行ったそうですね。


杉村さん:平成28年の防災訓練は、岡谷市にある21の区の中で、東堀区がモデル地区となって、市の職員の皆さんと連携して行いました。全体会議や責任者会議、前日の練習を経て、主に、火事と地震を想定して行いました。およそ2200人が参加しました。具体的には、消化器を使っての初期消火の訓練、小型動力ポンプの動作確認、ホースを結合する練習などを繰り返し、火事に備えました。また、地震対策として、倒壊家屋に見立てた建物を建てて、その中に置いた人形を、チェーンソーで切り開いて救出する訓練、更には、人を担架で運び応急処置をする訓練などを行いました。


Q:その実践的な防災訓練には、地域の中学生も参加したそうですね。


杉村さん:私たちからの呼びかけで、近くの岡谷東部中学校の2年生およそ10人が初めて参加しました。東堀区は高齢化が進んでいることもあり、地域の若者にも、もしものときの大きな力になってもらいたいと考え、区から学校に要請して実現しました。男子には、土のう作りを体験してもらい、女子には炊き出しを体験してもらいました。炊き出しは、非常食のご飯に、シイタケやタケノコなどを入れて作ってもらいました。


Q: 子供たちは、どんな反応を示していましたか?


杉村さん: 子供たちにとっては、土のう作りも炊き出しも初めての経験なので、難しいところもあったようですが、積極的に取り組んでくれました。学校の避難訓練では逃げることを訓練していますが、災害が起こった時に、地域の中で自分たちにもできることがあるんだ、といった感想をもらえて、うれしかったです。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考える上で、杉村さんはどんなことが重要だとお考えですか?


杉村さん: 常々思っていることとしては、「訓練のための訓練、実績作りのための訓練」では意味がないということです。一人一人が、本当に災害は起きるんだという危機意識を持って、ひとつひとつの訓練に取り組むことが大事だと思います。もう一つは、地区の防災を考えるとき、面積が広いこともあって、何が課題なのかがつかみづらいと思うんです。東堀区には、3世帯から10世帯までがひとつのグループを形成する「隣組」が270ほどあります。まずは、この隣組で集まってもらって何が課題かをそれぞれに見いだす。それをひとつひとつ解決していく姿勢が大事なのではないかと考えています。



↑ ページの先頭へ