【2017年4月24日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


上田市城下地区の取り組み 


上田市の城下地区防犯・防災協議会をご紹介します。上田中央消防署でも勤務していた、小坂井正明(こさかい・まさあき)さん(73歳)です。
まず、上田市の城下地区についてご紹介下さい。


小坂井さん:上田市には、千曲川が流れています。その右岸に上田駅があります。城下地区があるのは、その反対側の左岸です。上田駅から歩くと20分位の距離です。人口はおよそ1万3000人、5500世帯ほどが暮らしています。心配している災害としては、千曲川と、近くにある須川湖による水害、豪雨による土砂崩落、そして地震です。


上田市城下地区防犯・防災協議会の皆さんは、自主的に様々な防災活動をしていることで知られています。平成28年11月、豪雨による土砂崩落を想定した大規模な訓練を行ったそうですよね?


小坂井さん:平成28年の11月に、金窓寺川という川と、御所沢という沢で行いました。住民の皆さんが120人参加しました。減災目的の訓練でした。具体的に何をしたか、ご説明します。川沿いの木々の中には、“風に倒れた木”と書いて「風倒木」という、倒れたままになっている木があります。豪雨や暴風などになれば、これらの風倒木が周辺の土砂とともに流され、下流にある家をなぎ倒す恐れがあります。そこで、城下地区では、川沿いにある、倒れたままになっている木々を裁断し、取り除く訓練をしました。特に、金窓寺川では、800メートル の区間の木々を取り除きました。


この訓練をするにあたっては、大きなきっかけがあったそうですね。


小坂井さん:私たちは、以前、(平成26年7月に土石流災害に見舞われた)南木曽町の被害現場を視察しました。その時に、豪雨や風で倒された木々が被害を甚大にする側面があることを知りました。これは早急に対策をしなければならないと考え、もしもの時のために、住民の皆さんに呼びかけて、減災目的の訓練をしたわけです。


南木曽町で起きた土石流災害、この災害が、地域を見つめ直す、ひとつのきっかけになったわけですね。そして、上田市城下地区防犯・防災協議会の皆さんの活動の中で、もう一つご紹介したいことがあります。それ は、「広域避難所運営マニュアル」の作成です。平成25年に、上田市内で初めて作成しました。このマニュアルには、どんなことが記されているんでしょうか。


小坂井さん:地区内の9つの自治会で作成しました。85ページのマニュアルです。自治会ごとの、想定される災害リスクや、それぞれの自治会ごとの避難場所への避難ルートを地図で記しています。その他、スコップや土のう、懐中電灯などがどこの物置に幾つ置いてあるかといった情報も記しています。さらに、広域避難所の運営の仕方も盛り込みました。開設の仕方から、どんな部署が必要か。そして、閉鎖する時の注意事項についてもまとめています。


貴重な情報が一冊に。広域避難場所には、具体的にどんな部署が必要になるのでしょうか?


小坂井さん: 大きく分けて4つです。情報管理部・物資調達部・応援救護部・安全衛生部の4つです。もしも大規模な災害が起きて、避難所を開設するとき、普通は、何をどうしたらいいのか分からず困ってしまうと思います。そこで、誰でも実践できるマニュアルを整備したわけです。


最後に、これからの防災・減災を考える上で、小坂井さんはどんなことが重要だとお考えですか?


小坂井さん: 一番怖いのは、災害が起きた時に、自分が何をしたらいいのか分からないということだと思うんです。やはり、訓練を重ねることが、自分の命、大切な人の命を守ることにつながります。また、隣近所とのつながり、コミュニケーションも大事だと思います。日頃から、訓練に参加し、隣近所とコミュニケーションをとる。これ が、もしものときに、生きてくると信じています。



↑ ページの先頭へ