飯田市で進む新たな防災訓練

【2013年9月4日(水)放送 ラジオ「防災特集」より】

9月1日の防災の日にあわせ、各地で地震や大雨などの災害に備えた防災訓練が行われました。
このうち、飯田市では「シェイクアウト」と呼ばれる訓練が行われました。

Q:「シェイクアウト」とはどういった訓練なんでしょうか?


A:シェイクアウトというのは「地震をやっつける」という意味の造語です。
アメリカのカリフォルニアで行われた大規模な訓練で知られるようになったものです。

「地震をやっつける」すなわち「シェイクアウト」するには、地震から身を守るために必要な動作を反射的にできるようにすることが大切だと考えられています。どこにいても同じ行動が速やかにとれるようにするのが訓練の特徴です。

Q:身を守るための動作とはどういったものなんでしょうか?

@姿勢を低く
A:基本動作は3つあります。ひとつめは、地震が起きたらまず「姿勢を低くする」。

A体や頭を守る
2つめは丈夫な机の下など安全な場所で「体や頭を守る」。

B揺れが収まるまでじっとする
そして3つめが、「揺れが収まるまでじっとする」。この3つの一連の動作をまず覚えてもらいます。

これは、室内だけでなく隠れるものがない広い場所にいても同じポーズをとることが大切です。

Q:とても簡単な動きで誰にでもすぐにできそうですね。

A:そうです。ただ、とっさにこの動きがとれるようになるには何度も何度も訓練することが大切です。そこで飯田市では、市の広報やホームページなどで身を守る一連の動作を紹介したり市内の保育園や小中学校などの防災訓練に取り入れるように呼びかけています。市内の保育園でも防災教室が開かれ、市の担当者が子どもたちに教えました。

Q:どうやって教えたのでしょうか?

A:姿勢を低くして手で頭を抱える姿を「ダンゴムシのポーズ」に例えて身の守り方を教えました。


Q:ダンゴムシのポーズというと子どももイメージしやすいですね。

A:そうなんです。子どもたちは、担当者の「ダンゴムシ」というかけ声に合わせて「シェイクアウト」の動きを繰り返していました。

防災教室のあとに子どもたちに話を聞いてみると「地震の時にダンゴムシのポーズになる」とか「お父さんやお母さんにも教えてあげる」と話していました。


Q:子どもたちは「揺れが起きたらダンゴムシのポーズ」ということが体にしみこんだんでしょうね。それにしても飯田市ではなぜ、このシェイクアウト訓練を積極的に取り入れているのでしょうか?

A:飯田市は南海トラフで起きるとされる巨大地震では、震度6強の揺れがおそうと想定されています。飯田市では身を守る動作を身につけることで地震の被害を減らすとともに、市民に防災意識を高めてもらいたいと考えたのです。

Q:9月1日の防災の日にもこの「シェイクアウト」を取り入れた防災訓練が行われたんですか?

A:はい。今回の防災訓練では震度6強の地震を想定しました。
そして市民が、同じ時刻にそれぞれの居場所で「シェイクアウト」訓練を行いました。

訓練当日、保育園で防災教室に参加した親子のお宅にお邪魔しました。


午前8時、緊急地震速報が市内の防災無線などから流れました。

園児は保育園で教わったとおりまず近くにあった机の下に素早く身を隠し
手で頭を守っていました。

Q:例のダンゴムシのポーズですね。


A:そうです。一方、父親は身を隠す机などがなかったため、
とっさに布団を頭からかぶって壁に身を寄せました。

Q:2人とも落ち着いて身を守ることができたようですね。

A:はい。また、このお宅ではシェイクアウト訓練にあわせて
子供が日頃過ごす部屋の中で危険な箇所も一緒に確認しました。

Q:子供の部屋には危険な所がありましたか?

A:はい。部屋にあった鏡台や大きな棚です。しっかり固定されておらず、
地震の際に倒れてくるおそれもあることがわかり、家具を留め具で固定することにしました。

Q:シェイクアウト訓練をきっかけにして親子で転倒するものや落下してくるものなど
危険な場所を確認したり、それに避難経路などをおさえておくことで、さらに防災への意識も高まりますね。

A:そうなんです。飯田市によりますと今回の「シェイクアウト訓練」には
全市民の2割にあたるおよそ2万7000人が参加したということです。

飯田市シェイクアウト訓練
飯田市では今後もそれぞれが身を守る基本行動を取れるように「シェイクアウト」訓練を重ねて市民の防災意識を高めていきたいと考えています。

災害はいつ起こるかわかりません。自分や家族の命を守るために事前の対策と災害に対する心構えを持っておきたいものです。