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TEMAE MISO ~イエモン愛を煮込む!~

2022年11月4日

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NHKの若手職員が、自分のラブやライクを煮込みます。NHKの番組に触れながらなので
ちょっと手前味噌…かもしれませんがNABEの具材に添えるMISOだと思って、
お気軽にご賞味ください。
第八弾は、大阪放送局・おさかなさん(ペンネーム)の記事です!
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自分のラブやライクを煮込む、この企画。

冒頭からこんなことを書くのもアレなのですが、
寄稿の依頼があったときまず、以前の私だったら書けなかったなと思いました。
なぜなら、「好きなもの」がなかったからです。

正確に言えば、
自分には、「胸を張って人に言えるほど 好きなもの」がないと思っていました。

私は身近に「好き」を追いかけ続けている人がいます。
3歳上の姉です。
幼いころから昆虫が大好きで、何歳になっても虫取り網を持って駆け回り、
ついには昆虫に関係する職に就きました。
当時、大学生だった姉が「悪石島に行って、瑠璃色のゴキ○リ捕まえてくる!」と
笑顔で出かけて行った姿は今でも忘れられません。(苦手な方ごめんなさい)

(悪石島? 瑠璃色のゴキ○リ?? 捕まえる???)
私からすると、どこにツッコミを入れたらいいか分からないほど全てが想定外でしたが、
「好き」を源に駆け回る姉はとても幸せそうでした。

一方で自分は、よく映画館に行くけど、特別映画に詳しいわけではないし、
アイドルの曲は聞いていたけど、グッズを持っているわけでもありませんでした。
「嫌いか好きか?」と聞かれたら好きだけど、私レベルで好きと言っていいのか?
もっと好きな人はたくさんいるのに…私が好きだと言えるものは一体何だろう…
そんな思考で、「(胸を張って人に言えるほど)好きなもの」がないと悩んでいました。




ですが、そんな私を変える出会いがありました。
ロックバンドTHE YELLOW MONKEY、そしてBELIEVERと呼ばれるファンの方々です。
きっかけは高校卒業間近の18歳の冬に母に連れられて行った、東京ドームのライブでした。(SUPER BIG EGG 2017)

急だったので、曲もメンバーもほぼ知らずに参加しました。
加えて、それまでは穏やかな曲(例えるなら朝ドラのOP系)を好んでいたため、
ロックとは?という状態でした。(辛うじてビートルズとクイーンは知っていた程度)

そんな私がTHE YELLOW MONKEYのライブに行ってどうなったか。
まさしく、この絵文字の通りでした。

( ゚д゚)ポカーン

薄暗い会場の中
「大きな犬小屋へようこそ!ウェルカム!!」
というがなり声が響くと、
ドーム中央にあった巨大な卵型のオブジェが白い煙をあげて破れ、花柄スーツや煌びやかなジャケットを着た長身長髪の4人組が現れました。

オオカミのような遠吠えをするボーカル
ギラギラのメイクをして挑発的な目線を客席に送るベースシスト
カメラに向かってニヤリと笑う筋肉隆々なドラマー
目を閉じて演奏に酔いしれるギタリスト
全力で手を振り、飛び跳ね、合いの手を入れ、歌う観客たち

ライブ自体が人生初めてだったのもあって、全てに唖然としていました。
同時に、曲が始まるごとに割れんばかりの歓声を上げる観客、時折目を合わせて笑うメンバーを見て「大人たちがこんなに全力で楽しそうにしている姿は初めて見た」と思いました。

冒頭から圧倒されていたのですが、沼落ちが決定的になった1シーンがあります。
「MY WINIGROAD」です。(ファンの方はこれだけで推しが分かってしまう気が…笑)
会場の熱気にも慣れてきたころ、照明が消え、花道中央でギターが虹色に光り始めました。あっけにとられていると、長髪で髭を貯えたスーツ姿のギタリストが演奏しながら花道を練り歩き始めました。観客の尋常でない歓声に何事かと思っていると、ギタリストはちょうど私の目の前の花道で立ち止まり、客席を指差しました。

文字にすると「指を差した」に尽きるのですが、本当に格好良かったです。(語彙力消滅)
リズミカルだけれど少し妖しさが漂う楽曲、真っ赤なスポットライト、見せつけるようにカメラに近づきギターを弾く姿、指を差した時の遠くを見ているような目線など、18歳の私には全てが印象的でした。
あのシーンのギタリストは少女漫画だったら確実に背景に咲き乱れた薔薇が書かれていたし、何なら現実でも薔薇を背負っていた気がします笑


それからというもの、私の生活はTHE YELLOW MONKEYとともにありました。
楽曲を聞き、メンバーのプロフィールを読み漁り、書籍を読み、カラオケで歌い、
毎日どっぷりと世界に浸っていました。

素敵なところは語り切れないほどあるのですが、私は特に、歌詞に魅力を感じました。
僭越ながら、惹かれた歌詞二つについて少し書いてみます。(以下、完全なる私見です)

STAY WITH ME… 19にもなったのに悲しみがほしいのはなぜ? ※『カナリヤ』より

初めて聞いた高校生の頃は、「悲しみがほしい?」とピンときませんでした。
しかし学生から社会人になっていく中で、言葉にできない不安、自分の無力さ、全く思い通りにいかない苦しさに出会い「何かのせいにして全て投げ出してしまいたい」と思ったことがありました。

そのような時に一番簡単なのは、自分を哀れみ、悲しむことだと気づきました。
自らを哀れんでいる間は、自責の念に駆られず、目前の課題にも向き合わずに済むからです。「19にもなったのに悲しみがほしい」というたった15字で、楽な逃げ道を選ぼうとする未熟性と、それが解決にならないことも自覚している成熟性が共存する内面を表現しているように感じ、歌詞の奥深さに感銘を受けました。

好きな歌を一緒に歌わないか? そのために歌があるなら ※『未来は見ないで』より

元々この歌は、ドームツアーに参加するファンクラブ会員へのメモリアルギフトであり、リリースされたものではありませんでした。作詞したボーカルの吉井さんは、歌詞について「THE YELLOW MONKEYから皆さんへの手紙のようなものです」と語っています。

想像してみてください。自分の大好きなアーティストが
「一緒に歌うために、歌があるのだとしたら、そうしないか?」と歌う姿。
バンドの骨子である「歌」の存在理由を、「ファンと一緒に歌うこと」に見出しているかのようで、なんて温くてカッコいいロックバンドなのだろうと思いました。

この曲が作られたのは再集結が決まった当時(2016年ごろ?)だったそうですが、コロナ禍の私はこの曲を聞くたびに、以前のようにライブ会場で一緒に歌える日が来ることを望まずにはいられませんでした。

他にも魅力的な楽曲が本当にたくさんあります。(NAI、SO YOUNG、パンチドランカー、球根、楽園、バラ色の日々、この恋のかけら、Horizon…挙げきれないです笑)





楽しみは彼らの楽曲だけでなく、SNS上のファン同士のコミュニティもその一つでした。
SNSでは年代に関わらず、THE YELLOW MONKEYへの愛が書き連ねられていました。
好きな曲、セトリや服装、MCの内容、ファンしかわからないあるあるネタ
(真冬にタンクトップのメンバーがいても疑問に思わない、最年長の仕草がギャルっぽい、
演奏中と普段のギャップがあるメンバーがいる、ライブ中の匍匐前進に驚かないなど…笑)

わかる!!私も書き込みたい!!と思いながらも、
「にわかの私がファンとして何かを書いていいのか?」と躊躇していました。
本を読み、楽曲を聞き、ライブに行ってもなお「好き」に自信がありませんでした。

しかしある日、番組観覧に当たった勢いでSNSに一言書き込みをしてしまいました。(公表可を確認した上で)
‥すると、ファンの方々はお祝いのメッセージを送ってくださり、それだけでなく番組観覧待機中に話しかけてくださった方もいました。

その温かな方々は、私がTHE YELLOW MONKEYを「どれくらい好きか」をあまり気にしていないようでした。(歴、グッズの有無、音楽知識など)
それよりも、番組観覧をきっかけに書き込み始めた「どう好きか」に共感してくださる方が多くいらっしゃいました。(好きな歌詞、ライブで素敵だと思った場面など)

その経験から、「好き」に対する自分の考えが偏っていたと気づきました。
「どれくらい好きか」は、物量や時間など、数値化できるもので上下をつけることが可能だと思います。以前の私は、完全にこの軸で「好き」を探していました。その結果「私も好きだけど、他の人の方がもっと好きだろうから、私は好きと言えない」と、知らない誰かに「好き」を譲ってしまっていました。他人と比較し続けた結果、自分が好きなものの話なのに、いつの間にか他人が主語になってしまっていたようです。

「どう好きか」は価値観や視点の話で、上下が付けられるものではありません。
先ほど惹かれた歌詞について書きましたが、彼らの意図とは違う受け取り方をしているのかもしれません。それでも「私がTHE YELLOW MONKEYのあの歌詞に魅力を感じ、好きだと思った」ことそれ自体は、誰にも否定ができないものです。「どう好きか」はそれほど強い、揺るぎない軸だと思っています。
(古市憲寿さんの 『「好き」隠してきたあなたへ。』 とてもおすすめです!「好き」について言語化できるようになったきっかけの談義です)






私は彼らに出会い、自分の中にある形になっていなかった考えや感情に気づいたり、背中を蹴飛ばされるような勢いのある曲に勇気をもらったりしました。それだけでなく、ファンの方々の彼らを全力で愛し共感しあう姿から、「好きの在り方」を教えてもらいました。

きっとこの関係性は、THE YELLOW MONKEYに限った話ではないと思います。
SNSを見れば、漫画、アニメ、声優、アイドル、バンド、俳優、美容、動植物など
「好き」を軸につながった様々な世界(界隈)がたくさんあります。
この記事を出しているNABEは、そのような「好き」を応援する存在です。
「〇〇が好きな人」に情報を届けたり、どう好きなのか話を聞いたり、思う存分「好き」に浸れる場所です。(個人的イメージは、色々な界隈の人が集う「あつまれ!推し活の森」笑)

そして、「〇〇が好きな人」にも、以前の私のように「自分の好きがわからない」と悩んでいる方にも、ぜひみていただきたい番組があります。
総合 木曜 午後10:00 で放送しているSONGSです。

(私は事務系職で制作については全く知らないので、視聴者目線で書かせていただきます。)
基本的に1回の放送で1組出演のため、本当に深く掘り下げた内容を放送してくれます。
複数の楽曲が流れる上、トークシーンもしっかりあるためファンにはたまらない番組です。

2019年4月20日に放送されたTHE YELLOW MONKEY登場回では、「もう絶対THE YELLOW MONKEYは解散しません」という吉井さんが言ったファン泣かせの言葉の真意についても取り上げられていました。また魅力の一つであるメンバーの優しい人柄や仲の良さが伺えるカットが多くありました。
そして、大好きな曲「Horizon」もSONGSでテレビ初披露されました。何度も映画館に行ったドキュメンタリー映画『オトトキ』の主題歌でもあったため、あのシーン好きだったなあと思い浮かべて楽しんでいました。

ファン的に「ありがたい!!!」と思うチョイスというか、アーティストの「良さ」がすごく引き立つ番組です。そのため、「〇〇が好き人」という目線でなかったとしても、そのアーティストのファンが「どう好きなのか」がものすごく伝わってくると思います。
ちょっと気になるアーティストが出る回があったら、ぜひ番組をご覧ください。
新しい世界(ないし沼)が待っているかもしれません笑

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SONGS
NHK総合テレビ 毎週木曜 午後10時00分~10時45分
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👆番組サイトは画像をクリック

最後に余談ですが、THE YELLOW MONKEYはシーズン2を経て、現在は充電期間に入っています。

もし、また4人が演奏している姿を見たら、大号泣しながら喜ぶとは思いますが、
第一には「彼らがしたいことをしていてほしいなあ」という思いです。

綺麗ごとのようですが、大好きな人たちだからこそ幸せにすごしてほしいと本気で思っています。彼らからすれば私は子供のような年齢ですが、美味しいご飯食べて、暖かい布団で寝て、笑っていてほしいとさえ願ってしまいます。(オタクの大きすぎる感情)

ここまで好きだと思える存在に出会わせてくれたことにも、現実以外に居場所を作ってくれたことにも、温かなファンの方々に巡り合わせてくれたことにも、とても感謝しています。
もはや、この世界にいてくれるだけで特大ファンサです。
文字にするとちょっと気持ち悪いですが、そのくらい大好きです笑

この一平社員のつたない文章が彼らに伝わることはないと思いますが、
「好き」を伝える言葉はどれだけあってもいいかなと思い、私なりに精一杯書かせていただきました!


DEAR MY ROCK STAR‼
You are No.1 Rock'n roll Asian!!

愛用しているトートバッグ(年季が入っててお恥ずかしい)と思い出の東京ドームDVD
(大阪放送局・おさかな)