懐かしの「NHK時計」

2021年11月27日

さて今回は最近再びネット上でちょっと話題になった時計の話です。まずこちらをご覧ください。

若い世代の方だと「何の時計?」と思われるでしょうが、40代以上の方には見覚えがあるのではないでしょうか。 これはテレビで時報をお知らせする際に画面に登場していた時計で、一般には通称「NHK時計」と呼ばれていました。
正式には「時報装置」といわれる時計のひとつで、このタイプは1968年から1991年まで使われていました。テレビの時報はこの時計の文字盤を撮影して正時を伝える画面として放送していたのです。地上デジタル放送開始以降は映像に遅延が発生するため、こうした時報放送はなくなりました。
時報放送は午前7時、正午、午後7時に行われていました。私も正午にこのテレビ画面を見ると「ああもうお昼か」と思ったものです。 時計の本体は放送局の標準時計と連動しており、きわめて正確に時を刻んでいました。
その当時は画面を見ているだけだとアニメーションのように見えたので、実在の時計だと知って驚く方も多かったようです。また文字盤の大きさも当時のテロップ用の画面サイズに合わせてあったため、名刺2枚程度のコンパクトサイズになっています。

この時計には色違いのタイプがありました。それがこの木目調の文字盤のものです。

当館にはどちらのタイプも保存されていますが、実はこの時計、現役時代は夏と冬で使い分けていました。 青い文字盤の時計は春・夏用で、木目の時計は秋・冬用でした。いわれてみればどちらも見覚えがありますが、季節で使い分けていたとは驚きました。ただ夏が青というのはなんとなくわかりますが、冬が木目って??と少々不思議な気もします。

さてこのテレビ用の時計にはまだこれよりも古いものがあります。それがこちらです。

これは時報時計としてテレビの黎明期に使用されたものです。
こちらも当館に所蔵されていますが、筐体や文字盤がかなり傷んでおり現在は一般公開していません。
写真だけ見るとなんだか家具調の立派な時計に見えなくもありませんが、文字盤は紙に印刷されており構造的には実にシンプルなものです。こちらはテレビ放送開始直後の1950年代から使われていました。
なお、現存しているこの時計の文字盤には比較的新しいNHKのロゴがプリントされており、このタイプとしては後期のものと思われます。
当館3階のヒストリーゾーンにある解説用のタブレットでは、この古いタイプの時報時計が登場する映像を見ることができます。

「きょうのニュース 1960年」の冒頭画面

この画面は午後7時から放送されていた「NHKきょうのニュース」(今の「NHKニュース7」の前身)の冒頭部分です。時報画面の後に1960年当時のテレビニュースの一部を見ることができます。

「テレビの登場」コーナー 画面下がタブレット

1階に展示している時報時計と合わせて、ぜひ「テレビの登場」コーナーにある解説タブレットで「NHK時計」が活躍していた時代の雰囲気を体験してください。

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