ひらいずみ推し
2021/10/25

ひらいずみ推し!
“全員参加”で40年 小学生の合奏団

「岩手ぜんぶ推し」。NHK盛岡放送局が2021年4月から始めたキャンペーンです。「おばんですいわて」内でくじ引きを行い、選ばれた自治体の話題を2週間にわたって、“勝手に”集中的に取り上げます。
10月後半は、平泉町になりました。何か面白い課外授業でもないかと、町内の小中学校に電話をしていたときでした。ある校長先生が興奮気味に言うのです。
「それなら、うちのガッソウダンをぜひ見に来てください」
「え?合唱団ですか?」
「いえ、ガッソウダンです」
「ガッソウダン??」
「合奏団、マーチングバンドのことなんです。子どもたちがとっても熱心に練習しているんで、それをぜひ見て欲しいんです」。
私は楽器はてんでダメで、音符も全く読めませんが、校長先生のただならぬ売り込みに動かされ、足を運んでみることにしました。油断していました。すっかりファンになりました。

(10月25日『おばんですいわて』で放送 放送時の情報に基づいて構成)

学校生活は練習とともに

高台にある全校児童80人ほどの平泉町立長島小学校。

訪ねた時は、ちょうど給食中でしたが、子どもたち、食べ終えるやいなや、いちもくさんにある場所へ向かいます。

楽器置き場です。トランペット、トロンボーン、太鼓、シンバルなど、担当の楽器を手に校庭へ。

練習が始まりました。

ううむ。ステップを踏みながらの迫力ある演奏、なかなかのものです。
授業が始まる前の朝、昼休み、放課後と時間を見つけては自主的に腕を磨いているそうです。

八木橋信也校長が学校の歴史を教えてくれました。長島小学校は、昭和54年に、2つの学校が統合して生まれました。その時、音楽による教育に力を入れようと結成されたのが合奏団なんだそうです。以来、40年以上にわたって伝統が受け継がれているといいます。

全員参加 他にクラブ活動はなし!

雨の日の練習は体育館で。

聞けば、4年生以上は、もれなく全員参加。しかも、この学校、他にクラブ活動はないというではありませんか。もともと楽器の経験がある子はおらず、6年生が代々、後輩たちに教えるのが「長小式」。

メロディのテンポ、ステップやフォーメンションも自分たちで調整していきます。練習の合間には、様々な指摘が飛び交います。

5年生

「最後、音が合わなかった」

6年生

「カーブのところで回る時にばらつく時がある。1回(楽器を)上に上げないと、ぶつかるんだよ」

「伝統を壊したくない!」

“全員参加”の全国的にも珍しい課外活動なんですが、楽器が苦手な私には、小学生にはちょっと過酷過ぎるのではないかと感じました。話を聞いてみると…

みんな真っ直ぐ過ぎる!余計な心配でした。失礼しました。

例年は、「春の藤原祭り」と秋の「吹奏楽祭」で大勢の人たちの前で練習の成果を披露していますが、ことしは新型コロナウイルスの影響でどちらも中止に。

10月23日に行われた学習発表会が、ことしの初舞台となりました。長小OBでもある保護者もたくさん駆けつけました。

この鮮やかな真っ赤な衣装は地元の人の手作りです。過去には楽器も地元の人たちから寄贈されこともあるそうです。

およそ10分間、熱のこもった演奏が続きました。

(実際の演奏の様子は、このページの一番下にある動画でぜひ聞いてください)

演奏を終えた子どもたちは、この表情。

“かつての合奏団員”も魅了しました。

八木橋信也 校長

「一人の残らず全員が取り組むということが最大の良さだと思うので、本校の誇りの活動です」。

取材後記

なぜ全員参加なのか。合奏団発足当初の教職員にはたどりつけませんでしたが、八木橋校長によると、もともと子どもが少なかったので全員でやる必要があったようだ、ということでした。
それと驚いたことに、ほとんどの子どもたちは、楽譜は読める訳ではないんです。音階は、先輩たちの指の形を見て、文字通り見よう見まねで覚えるそうです。一子相伝ならぬ一校相伝、参りました。合奏団漬けの3年間、必ずその後の人生の土台づくりにつながっていると感じました。

高橋記者

盛岡放送局 記者

橋 広行

2006年入局 広島局、社会部、成田支局を経て2019年から盛岡局。

休日は7歳と4歳の息子2人と岩手の大自然を満喫しています。