いわてEYE
2021/09/28

相次ぐクマの被害
地域でどう防ぐ?

今年も岩手県内で相次いでいるクマの被害。

奥州市では・・・

ことしは9月末時点までで県内でクマの目撃が2393件確認されているほか、人的被害も14件起きています。

原因はブナの実の凶作

こちらは東北森林管理局が作成したブナの実の成熟具合と、クマの出没のサイクルをまとめたグラフです。

ブナの実は5年から8年のサイクルで豊作と凶作を繰り返していて、過去5年間は凶作の年が続いています。

凶作の年は、クマがエサを求めて人里まで下りてくることが増えます。

特に秋のこの時期は冬眠に向けて脂肪を蓄える時期で、注意が必要だといいます。

今年9月末までに県内で起きた人的被害14件のうち、9件が住宅近くで起きています。
人里にクマが現れる背景について専門家は・・・

森林総合研究所 東北支所
大西尚樹 動物生体遺伝担当チーム長

「近年、中山間地域が高齢化や過疎化によって耕作放棄地が増えてきました。
また、人口が減ってきたことで人口密度が下がっています。そうすると人間が使っていたエリアが狭くなってきて、薮化してしまいます。そのため、クマをはじめとする動物たちが山から下りてきて動物たちが使うエリアになっているという構造ができています」

地域ぐるみのクマ対策は

クマの出没件数の増加の背景に、中山間地域での人口減少や耕作放棄地の増加があると指摘する専門家。

クマの被害に対し、地域ぐるみの取り組みを行い、大きな成果が出たのが、盛岡市の中心部から車でわずか20分ほどのところにある、猪去地区です。

この地区にはかつて、頻繁にクマが出没していました。

平成18年に捕獲されたクマの頭数は13頭。

盛岡市全体の捕獲数の半分を占めていました。

クマの被害が相次ぎ、リンゴ栽培をやめた場所も。

猪去地区農地水環境保全会 会長
佐々木雄康さん

「大変危機感を持った。人身被害が出てくると大変だと」

そこで平成19年から自治会などが盛岡市や岩手大学と連携して、クマ被害の軽減に向けた対策に取り組んできました。

まずクマがエサとして好むリンゴ畑の周りに電気柵を張りました。

修理や張り替えにかかる費用は年間およそ50万円から100万円。
自治体からの交付金を利用しています。

電流が正常に流れているか、住民は農作業で畑に来る際に、電流が正常に流れているか確認を行います。
電線に草が触れると電流が正常に流れなくなるため、定期的な草刈りも必要です。

電線の総延長はおよそ3.2キロ。

住民や学生たちが協力して年に3回の草刈りを続けてきました。

さらに取り組んだのが、クマと人間の活動圏に境目をつくる活動です。

木や薮を伐採し、「緩衝帯」という空間を作りました。

「緩衝帯」の草を刈り、維持する活動も住民たちが協力して行っています。

その結果、クマによる捕獲頭数は平成18年の13頭から、今年は2頭まで減少しました。

猪去地区農地水環境保全会 会長
佐々木雄康さん

地域がまとまって課題に取り組んでいることも一つの大きな成果かなと思います。
いわゆる刈り払いをしていくことで、クマもかなり警戒したと思うんです。
かなり効果が出たと思います。後は継続していくことが大きな課題になりました」

私たち一人一人ができる対策は

こうした地域で取り組む対策のほかに、私たち1人1人ができる対策として、次のような取り組みが有効だと専門家は話します。

ひとつめはゴミの管理です。
ゴミを収集日の前日の夜に出してしまうと、クマがにおいに引き寄せられてしまい、人里に近いところにいることに慣れてしまうといいます。
このため、ゴミは収集日の朝に出す方がクマ対策には良いということです。

ふたつめはにおいの強いものは頑丈な建物にしまうということです。
ペンキや灯油、漬物樽などの臭いの強いものは密閉したうえで小屋などではなく、頑丈な建物にしまってほしいということです。

粟田記者

盛岡放送局 記者

粟田 大貴

令和3年入局 警察・司法担当

盛岡名物の冷麺は、辛さ控え目が好きです。