いわてEYE
2021/05/25

人材育成と販路開拓へ

朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」。
主人公の女性は、岩手県との県境にある宮城県登米市の(とめ)森林組合で働いています。
ドラマを見て大自然に抱かれた林業の仕事に興味をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
岩手県も本州一の森林面積を誇り林業が昔から盛んな地域ですが、生産量の減少や人手不足といった課題を抱えています。
その解決に向けた取り組みを取材しました。

特撮ドラマの隊員を思わせるオレンジ色の服に身を包んだ若者たち。
岩手の林業を担う人材を育てる「林業アカデミー」の研修生たちです。
「林業アカデミー」は岩手県が4年前から矢巾町の林業技術センターに設けた研修制度です。重機などを扱うために必要な9つの資格を1年かけて取得します。
これまで65人が森林組合や林業会社などに就職。
今年度も4月から16人の研修生が林業の基礎を学んでいます。

岩手県が新たな人材の育成に力を入れる理由。
それは、117万ヘクタールと、本州一の面積を誇る森林にあります。
戦後、復興のために多くの山で植えられた木がいま、利用に適した時期を迎えています。
今がまさに「切り時」、伐採のチャンスです。

しかし、その伐採に取り組む人手は年々減少傾向です。
林業の従事者はその4割が60歳以上と高齢化が進み、この10年で300人以上減少。
若い人材の確保は喫緊の課題です。

ことしの研修生のひとり、佐々木瑞希さん。
奥州市の出身で、研修生では唯一の女性です。

幼いころから山を遊び場として育った佐々木さんは、山に住む生き物たちに好奇心をかきたてられる毎日でした。

佐々木瑞希さん

「こんなに小さな花が咲いていて小さな虫がいっぱいいて、こうして山の環境が成り立っているんだと、その仕組みや環境などいろいろなことを学ぶ場。
山は一種の教師、先生ですね。」

取材した日は、チェーンソーを使う授業が開かれていました。
木を倒す方向に「受け口」と呼ばれる切り込みを入れる練習です。
2つの角度から切り込みを入れます。
佐々木さんは、チェーンソーを扱うのはこの日でまだ3回目。
講師からは褒められましたが、うまく切り込みを入れられなかったと悔しさをにじませました。

佐々木瑞希さん

「山に…先生に恩返ししたいなと思っているのでここで学ばなきゃという思いが強い。
林業の一端を担えたらいいなと思っています。」

人材の育成が進む一方、人手を補う高性能の機械の導入を進める事業者もいます。

この機械は、
▼木の切断
▼枝を切り落とす「枝打ち」
▼長さを整え、丸太に仕上げる「造材」
この3つの作業を1台で行うことができます。

樹齢50年の木を丸太に仕上げるまでにわずか30秒。
チェーンソーを使った伐採に比べて作業効率は7倍に伸びました。
操縦室にはエアコンも完備。この林業機械のお値段、なんと8000万円。
非常に高額ですが、それに見合うだけの魅力を林業の仕事に持ちこめたと感じています。

柴田産業 柴田智樹さん

「エアコンが効くキャビンのなか、好きな音楽を聴いて、ノリノリで山を切れる。
労働生産性もよくなって高収益になる。夢の機械ですね。」

人手不足と並んで大きな課題となっているのが、販路の開拓です。
丸太などの木材の流通で得られた額はおととしは、149億3000万円。
北海道・宮崎に次ぐ全国3位ですが、価格の安い外国産材の輸入が活発となったことなどから30年前と比べると半減しています。

このため岩手県は、県内での需要の掘り起こしに着手。

県産木材を使って住宅の新築やリフォームをする人に最大100万円の支援を始めました。
県産木材の種類は主なものだけでも16種類。

木目の美しさや耐久性などそれぞれに特徴があり、すでに多くの問い合わせが来ているということです。

県林業振興課 千葉 智貴 特命課長

「岩手の木を使うことは、森林資源を循環させて、岩手の森を守ることにもつながりますし、地域の林業や経済を活性化させることにもつながっていきます。
木の温もりを感じながら、県産木材の良さを実感していただきたい。」

大山記者

盛岡放送局 記者

大山 徹

平成21年入局。県政を担当。

3児の父。

趣味は剣道と読書。

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