インタビュー
2021/06/01

元患者の療養体験と思いとは・・・

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「まさか感染しているとは思っていなかった。ショックというかこれからどうしようという心配の面がだいぶありました」

感染が確認されたときの心境をこう語ったのは、県内で暮らす会社員の30代の男性です。
ことし、新型コロナウイルスに妻と幼い長男とともに家族全員が感染しました。
家庭内で感染が広がった当時の様子や後遺症などについて語りました。

最初に感染が分かったのは長男でした。
発熱のあと、鼻づまりの症状が続いたことなどから検査を受けたところ感染が判明しました。
この時期、高齢の親族とも会っていたことから感染させていないか、不安だったと言います。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「親の感染の方が心配でした。高齢者は亡くなる人も居るのでそこの心配が一番大きかった」

その後親族への感染は確認されませんでした。
一方で、長男はすぐには入院ができませんでした。
県内では感染者が相次ぎ、専用の病床が空いていなかったため、自宅での療養となりました。

しかし、長男の感染が分かってから3日目。男性と妻も感染していることがわかりました。
家庭内で感染を防ぐのは難しいと感じたと言います。

「住んでいるところが大きいわけじゃないので、トイレも1つしかないですし、 子どもも小さいので、親が(食事や就寝時に)ついてあげないといけない面もあるので、そこまで(動線を)分けたりとかはできない状況ですし」。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「家族3人で治していくしかない諦めというか、次に向かう気持ちではありました」

家族3人の感染が確認されてもなお病床が空かず、自宅での療養が続きます。

自宅療養が続く中で困難だったのが買い物でした。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「生活をしていく上で食事の面、消耗品、トイレットペーパーやティッシュを買い出しに行けなかったのが大変な部分でしたね。」

自宅療養中男性は外出できないため、必要なものを親に頼んで買ってきてもらい、家の前に置いてもらっていたといいます。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「誰も食事を買ってきてもらえない状況だったらやはり大分生活がきついんじゃないかと思いますね」

そして4日目。男性は味覚に異変を感じます。
数日前から全身のだるさやのどの痛みも感じていました。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「味が徐々に分からなくなってきて食欲がなくなる」

また同じ日に妻は38度近くまで発熱し、頭痛などの症状が現れました。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「妻がだいぶ体調悪そうだったのでその方が心配だった。寒気とかがするみたいな感じで寝込んでいました。病状が急変したときの不安がありましたね」

3人が入院できたのは長男の感染が分かってから6日目でした。
このとき3人の症状は落ち着き始めていました。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「病院では1日に3回くらい体温の測定と酸素濃度の測定、あと朝に先生による診察がタブレット越しでひとりひとりありましたね。何かあれば先生ともタブレットでつながれますし、不安はなかったです」

3人は5日間入院した後、宿泊施設で3日間過ごしました。
長男の感染がわかってから12日目にようやく自宅に戻ることができました。
3人の症状は軽かったものの、男性には味覚の異常が残りました。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「(宿泊施設から)出てきてすぐはラーメンも味が感じなかった。汁物はすごく濃くないと味がしにくい」。

自宅に戻った男性は、後遺症に苦しむとともに別の不安も抱えます。
一家の感染を知られてまわりから差別や偏見を受けないか、気がかりだと言います。

新型コロナウイルスの元患者・30代男性

「やはり家に戻ったときに近所の目とか、そこら辺が心配な面がありました。自分がかかってもおかしくないという気持ちを持ってほしいです。うわさとかも流してもらいたくないです。うわさ話とか真に受けないでほしいなと、コロナになった方を探すようなこととか控えてもらいたい」。

男性は、今は職場に復帰していますが、味覚障害は残ったままだということです。
新型コロナウイルスに感染した元患者が抱える不安を多くの人に知って欲しいと、今回、取材に応じてくれました。

男性が不安の1つに挙げていた差別や偏見ですが、法務省によりますと新型コロナウイルスに関する差別や偏見の相談は2021年5月中旬まででおよそ2700件にのぼっているということです。

男性は後遺症の不安だけでなくまわりからの差別や偏見に不安を抱かずに過ごせるような社会になってほしいと話していました。

文責:記者・及川知紀