インタビュー
2021/04/14

岩手県感染症対策専門委員会
櫻井滋委員長 インタビュー

4月14日(水)の「おばんですいわて」で、岩手県感染症対策専門委員会の櫻井滋委員長に、生放送の中で、皆さんからの疑問・質問に答えてもらいました。こちらで、一問一答をすべてご紹介します!また、15分近くにわたって放送しましたが、時間の制約上、お答えできなかった内容もありましたので、放送前後の打ち合わせの中で櫻井委員長が指摘していた内容も含めて、こちらにお書きします。担当者が補足した内容も含めて、お読みください。

ワクチン接種について

大嶋:ワクチン接種と、変異ウイルスについて、県の感染症対策専門員会・櫻井滋委員長に聞きます。よろしくお願いします。皆さんから寄せられた声を中心に聞いていきます。最初は50代の方と60代の方から。「ワクチンに効果はあるのか。本当に安心なのか」という質問です。櫻井さん、どうでしょうか。

櫻井:まだはっきり分からないことが多いんですが、海外の報告では、あまり大きな副作用もなく、効果もしっかり確認されていますので、安心と考えたほうがいいと思います。

(補足:ワクチン接種によって、発症するリスクは20分の1になるほか、発症した場合も重症化を防ぐ効果があるとされています)

大嶋:副反応を心配する方も多いと思うんですが、主な副反応をまとめてみました。重いアレルギー反応=アナフィラキシー、接種部位の痛み、腫れ、筋肉痛、発熱、けん怠感などが報告されています。既に櫻井さんはワクチンを接種したんですよね。

櫻井:最初に医療従事者に試し打ちをするというか、一部の人に打つ中の1人として打ちました。

大嶋:実際にワクチンを接種して、副反応は。

櫻井:注射されたという痛みはありましたが、それ以外はですね、2度目も、熱もなく、けん怠感もなかった。全くなかったと言っていいと思います。

大嶋:副反応については、こうした情報もあります。ことし2月以降に接種した医療従事者の接種後の症状を、厚生労働省の研究班が調査したところ、65歳以上で、発熱など症状が出る頻度は、1回目の接種では0.2%、2回目の接種は9.4%というデータが出ています。このデータはどう見たらいいでしょうか。

櫻井:新型コロナのワクチンに限らず、1割くらいの方は、何かしらの副反応がある場合があるんですが、私も含めて、全くない人のほうが圧倒的に多いんですね。注射するわけですので、どうしても痛みはありますけれども、2度目は、1度目の免疫がついている人ほど強く(熱など反応が)出るという形が考えられます。ですから、むしろワクチンが効いている1つの証拠なんですね。

大嶋:そうしたことを頭に入れておくことが大事になりそうですね。

櫻井:そうですね。ですから、アナフィラキシーのように、健康に問題が起こることは、まれだと考えていただいたほうがいいと思います。

大嶋:ワクチンについては、きょう、まちで皆さんから疑問や質問を聞いています。

【街頭インタビュー(1)ワクチン接種について】

Q:自分の番が回ってきた時、打ちたいと思いますか。

30代:打たないといけないなとは思っていました。安全性とか、実際接種してからどのくらい期間を空けてみないと、どのくらい効くのかとか。逆に危険性がどのくらいあるのかとか分からないので、そのあたりが不安でした。

Q:自分の番が回ってきたら打ちたいと思いますか。

40代:思わないです。薬を飲んでいるのもあるし。どういう人が危ない、危険だとか、そういう情報もちゃんと出ていない。いろんな情報が出すぎていて、確かな情報が分からないから、確かな情報を知りたいとは思う。

40代:小学1年生と6年生の子どもがおりますので、(子どもへの接種が)仮に始まったとしても、やっぱりちょっと怖いなというのがありますね。

大嶋:30代の男性からは、「ワクチンの効果はいつくらいから出るのか」という話がありました。どれくらいと考えたらよろしいでしょうか。

櫻井:お1人お1人のことを考えると、2週間程度で効果が出ると考えられます。しかしながら、ワクチンは1人が打てばいいというものではなくて、周りの「接種率」といいますけれども、だいたい人口の半分くらいの方が打って初めて、全体として安全性が保たれるということですので、しばらくはかかると考えた方がいいですね。ワクチン接種は始まったばかりですから、予防する方をしっかりとやらないと、ワクチンを打っても感染してしまうこともあります。予防、すなわち、手洗いとマスク、免疫を高めるなどが大切です。

大嶋:基本的な所を徹底するということですね。もう1つ質問行きましょう。40代の方から。「どんな人が接種すると危険なのか、確かな情報が知りたい」ということなんですが、薬を飲んでいることを気にしているのかなと思ったんですが、そのあたりも含めてどうでしょう。

櫻井:とてもご心配だと思います。しかしながら、主治医の先生が、打って大丈夫と判断した場合は積極的に受けてほしいと思います。一方、どんな薬でも反応の強い方はいらっしゃいますので、特に、免疫を抑える薬ですとか、あるいは免疫を高める薬ですとか、そういったものを既に打っている方は、しっかり相談したほうがいいと思います。あくまでも医学的な判断に基づいて決めていることが大事ですね。特に担当している主治医の先生の意見が大切だと思います。

大嶋:続いて、40代の女性からは、子どもの接種に関する質問もありました。「仮に子どもへの接種が始まっても、影響が分からず怖い」ということなんですが、大人と子どもで違いはあるんでしょうか。

櫻井:違いがある可能性は十分あります。海外では、子どもに対する治験=チェックが始まっていまして、今われわれが打っている「2回打ち」のワクチンは、まだ明確な答えが出ていません。ただ、これからたくさんの方が打っていきます。日本に潤沢に入ってくる頃には、おそらく、お子さんに対する安全性も確立されていくと思います。ですから、ワクチンを打てる状況になれば、積極的に打った方がいいと思います。まだ分かりません。しかしながら、(供給が)遅れているのが、逆に利点になるというか、だんだんと(ワクチンの性質などが)分かってから、安心して打てると思います。

大嶋:皆さんが気になっているワクチン、いつ打てるのかということですが、今月(4月)の岩手県内への供給量を見ていきます。県内には先週から届き始めています。5日の週が975人分、今週=12日の週と、19日の週がそれぞれ4,875人分、26日の週が1万6,087人分です。計算しますと、26日の週にかけて確保できるのは、2万6,812人分で、県全体の高齢者の6.6%にとどまっています。今月確保できるワクチンには限りがあって、今後の見通しも不透明です。皆さん、自分の所にいつ来るのか、不安があると思いますが、ここについてはどう考えますか。

櫻井:数字だけ見ると非常に頼りない感じがしますね。ですけれど、今焦って、我先に打っても、後に輸入されてくるものですので、騒いでも手に入らないんですね。ですから、順番をしっかり守りながら、多くの方が打っていって、初めて効果が出ると考えてください。

大嶋:周りの人が受けることにも意味があるんですね。

櫻井:その通りなんですね。ですから、心配な方は打たないで譲るということもあっていいと思います。打って下さった方が周りを囲むことで、ご自身も守られますので、どうしても事情がある方は、打たなくても心配ないと思います。1人だけワクチンを打って、周りに新型コロナの患者さんに囲まれるようなことになると、ワクチンを打っていても感染する確率が高くなります。

ここで、放送で紹介できなかった質問と、それに対する答えをご紹介します。

Q:2回接種をしても感染することがあるんでしょうか。

A:石川県の医療従事者で、2回の接種が済んだ後に感染した人がいます。感染したのが接種を受ける前だったか、接種した後か、はっきり分かっていない部分もありますが、いずれにしても、ワクチンの効果が出るには2週間ほどかかります。ワクチンを接種すれば100%感染しないというわけではなく、「発症するリスクを20分の1に抑え、発症した場合の重症化を防ぐもの」だと理解する必要があります。

Q:過去、スズメバチに刺されて全身にじんましんが出て、アナフィラキシーと診断されたことがあります。ワクチンを接種するのが心配です。どうしたらいいでしょうか。

A:典型的なアナフィラキシーですね。担当している主治医の意見を聞くことが大切です。ただ、蜂に刺されたことで発症するアナフィラキシーは、たんぱく質が直接体内に入ることによるアレルギー反応ですが、ワクチン接種で体内に入ってくるのは、「メッセンジャーRNA」と呼ばれるもので、たんぱく質ではありません。これによって体内で作られるたんぱく質でアレルギー反応が出るかどうかがポイントになると思います。

変異ウイルスについて

大嶋:ここまではワクチン接種について聞きましたが、ここからは変異ウイルスについても詳しく見ていきます。変異ウイルス、県内でもあわせて(4月14日(水)時点で)33人が確認されていますが、潜在的にはもっと人数は多いと見ていいんでしょうか。

櫻井:そうですね、おそらく流入している、もう入っていると考えていいと思います。発見されている感染者自身もまだたくさんいると思うので、その中に変異ウイルスがあるのは当然だと思います。

大嶋:変異ウイルスについても、まちで疑問や質問を聞いています。

【街頭インタビュー(2)変異ウイルスについて】

30代:(変異ウイルスは)どこまで危険なのかとか、感染力がどのくらいあるのか気にしていました。

30代:ワクチン接種しますと言っても、結局、変異株が出てきて、ワクチンが果たして効くのかな。いたちごっこになるんじゃないかなとは思っています。

60代:ワクチンを(変異ウイルス)それぞれに作らないとだめなのかなとか。インフルエンザと同じかな。A型(のワクチン)を受けても、B型にかかっちゃったりとかはあると思うので。

大嶋:変異ウイルスいついてもいろんな疑問・質問がありましたが、危険性や感染力に関する質問がありました。中條さんにまとめてもらいます。

中條:県内で2人が確認された「N501Y」の変異があるウイルスは、イギリスで広がったタイプのものです。国立感染症研究所のまとめによりますと、従来のウイルスと比べて感染力は50〜70%高くなっていて、感染した場合、重症化したり、亡くなったりするリスクが高くなっている可能性があるとしています。また「N501Y」に加えて「E484K」の変異があるウイルスは、南アフリカやブラジルで広がったものです。それぞれ、感染力は高いとみられます。そして、最近感染が相次いで確認されているのが「E484K」だけが変異したウイルスで、県内で31人の感染が確認されています。この変異ウイルスの性質はまだ詳しくわかっていませんが、これまでのところ、感染力が著しく高くなったり、症状が強くなったりするなどの変化は報告されていないということです。

大嶋:わからないこともあるという話もありましたが、では「変異ウイルスにワクチンは効くのか」という点が皆さん気になると思います。どうでしょうか。

櫻井:遺伝子の変異というのは、全体が変わっているわけではなくて、共通の部分が多くて、一部変わっていると考えられます。ですから、共通の部分があれば、ワクチンは効きます。しかしながら、全部が変わってしまうと、新しいワクチンを開発しなければならないということですから、インフルエンザのように毎年変わる時代はしばらく来ない。全体が変わるようなことがあれば、ワクチンを変えることが必要になってきます。

大嶋:そして最近、治療薬に関する声が聞こえてこないという話もあります。実際、治療薬についてはどんな段階になっているんでしょうか。

櫻井:有名なアビガンとか、そういった薬に関しては、今も治療に使われています。ただ、目覚ましく特効薬のように効くものではありませんので、やはり予防が大事になると思います。それから、中和抗体とか、ほかの可能性もかなり探られてきていますので、そちらも期待できると思いますね。

大嶋:そして、皆さん、新型コロナウイルスと1年以上共に生活してきているわけですが、我慢することもたくさんあると思います。そうした中で、今後の見通しはどう見ていけばいいでしょうか。

櫻井:未来は誰も知らないんですが、私の個人的な意見ですが、やはり、日本の歩み、みんなが相談しながら少しずつ前に行くということになりますと、また、ワクチンも国内ではまだ生産が始まっていないわけですので、それが整うのに、やはり、年が明けるのかなと、年を越してしまう。そうなると、冬を越えなきゃいけないと。ですから、今の予防的な対策というのはですね、すべて捨てるわけにはいかない。変異ウイルスも、手を洗ったり、マスクをしたりすることである程度防げることがわかっていますので、やはり、基本に立ち返るということが重要なんじゃないかと思いますね。

大嶋:この後、大型連休も控えていますが、櫻井さんが指摘するように、私たちにできること、基本を徹底することが大切でしょうか。

櫻井:はい。ですから、スポーツイベントとか、家族の集まりがあった時も、マスク会食ではないんですが、今まで言われてきたことを愚直にやると。本当に、ばかばかしい話かもしれませんが、しっかりやった人たちが健康でいられるということだと思います。

大嶋:県の感染症対策専門委員会・櫻井滋委員長に聞きました。ありがとうございました。

最後にもう1つ、放送で紹介できなかった質問と、それに対する答えをご紹介します。

Q:大阪では、連日、感染者が1000人を超えるなど、感染が急拡大しています。岩手で今後、感染が拡大するおそれについてはどう見ていますか。

A:岩手では、3月に比べて今月(4月)は感染者が増えていますが、これは、1か月ほど前にウイルスを取り込んだ人がどれくらいいたかという状況を見ています。3月から4月上旬にかけて、送別会や歓迎会など、会食したり、集まったりする機会が多かったことが原因ではないかと考えられます。似たことは、年末年始の時期に感染した人の症状が2月に現れるという形で起きていて、「奇数月(1、3月)にウイルスを取り込み、偶数月(2、4月)に感染確認」というパターンがあるように思います。この考えで行くと、次は「5月にウイルスを取り込み、6月に感染確認」ということになります。いま気になっているのは、5月の連休で移動や会食をする人が多くなると考えられることや、春のスポーツのシーズンがこれから始まることです。選手・関係者は、感染対策の徹底をお願いしたいと思います。

文責:記者・及川知紀、構成・児林大介