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被災地の映像、見るのがつらい人へ

  • 2024年01月11日

 “ 津波の映像を見ると不安になる „ 

 “ 東日本大震災のトラウマで苦しい „ 

 “ つらいニュースの連続に耐えられない „ 

能登半島地震の被災地の状況が日々伝えられるなか、
岩手県内で取材をしているとこうした声を聞きます。
東日本大震災の過酷な経験を思い出し、被災地のニュースにつらさを感じる人も少なくないはずです。自分の心を守るためには、情報とどう向き合えばいいのか、専門家に聞きました。

(NHK盛岡アナウンサー 菅谷鈴夏)

東日本大震災を経験した人へ

災害と心の影響に詳しい精神科医・重村淳さんです。

「ニュースを知ることは大切」とした上で、東日本大震災を経験した人は心の状態に注意が必要だと指摘しています。

重村医師
「まず、今回の災害報道によって心が揺れ動くのは自然な反応です。しかし、その反応が強すぎると、不安や不眠、イライラなどの変調が一時的に起こり得ます。ですから、自分で心の不調に気づいて、なるべくその負担が溜まらないように抑えて行くことが重要だと思います」

重村医師によると、東日本大震災と今の災害を無意識に重ねてしまい、自分の心が傷つきやすい情報として

▼津波やがれきなどの被害映像、▼身内を亡くした話〈⇒特に、「助けてあげられなかった」など、自分を責めるようなインタビュー〉、▼家など財産を失った話などは、見聞きする際に注意が必要だと指摘します。

 

では、こうした情報にどう向き合えばいいのか。

▼繰り返して見ないこと、▼テレビの音声は控えめにすること、▼なるべくリビングで誰かと一緒に見ること、▼SNSでは突然衝撃的な映像を目にしてしまう恐れがあるため、使用時間を制限するなどして、自分の心を休ませることが大切だということです。

 

さらに、東日本大震災発生から13年となるこれから数か月間は、特に注意が必要だと指摘しています。

重村医師
過去に悲しい体験をした後、命日などに向けて反応が高まることがあります。いわば、心の中で嵐が起きているような状況です。その日を過ぎれば、嵐は去っていくものですが、不安を感じますよね。そこに、今回の災害報道が入ってくると、刺激は大きくなります。心の中で嵐が起きているなと感じる場合には、なるべく日常に没頭する、あるいは繋がりを求めるということが大切です

 

強い無力感はどうしたら...

一方で、東日本大震災でつらい経験をしたからこそ「何かしてあげたい」と感じたり、「何もしてあげられない」と無力感を強く感じてしまったりする人もいるではないでしょうか。

そうした思いに、重村医師は。

「被災地に思いを寄せるだけでも復興につながる、というのは東日本大震災を経験した人はきっと実感しているはずです。まずは落ち着いて、具体的にとれる行動としては、各自ができる範囲で募金をする、支援者たちに声をかける、あるいは、自分自身が地域の防災を考えて備えること。こうした行動で、自分の心を落ち着かせることもできますし、実際に力になるはずです。そして、いつの日か被災地の方々に直接会う機会があれば、ぜひ、同じくつらい経験をしたその心でねぎらっていただければと思います」

岩手県内でも能登半島地震・災害義援金の受け付けが始まっています。
こちらで主な受付先をまとめています。↓

  • 菅谷 鈴夏

    NHK盛岡アナウンサー

    菅谷 鈴夏

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