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低反発バットの導入で高校野球が変わるのか!?

  • 2024年03月27日

2023年、秋の高校野球岩手県大会を14年ぶりに制した一関学院。準決勝まで進んだ秋の東北大会後の10月から早速、いわゆる「低反発バット」での練習を始めていました。センバツ高校野球出場の可能性があり、各バッターが早く「低反発バット」に慣れておく必要があったためです。

これまでのバットと何が違うのか、一関学院の髙橋滋監督に教えてもらいました。

これまでのバットとの違いは

左:新基準バット 右:従来バット

髙橋滋監督
「右に持っているバットが従来基準のバットで、左に持っているバットが新基準の低反発バットです。従来のものに比べるとおよそ3ミリ細くなっています」

左:直径64ミリ(新基準)右:直径67ミリ(従来)

違いの1つは“バットの直径”です。従来のものは67ミリでしたが、新基準のものは64ミリ。じっくり見ないとほとんど分かりませんが直径が3ミリ小さくなりました。小さな虫くらいの差。野球の取材は重ねてきましたが、実際にバットを振った経験もわずかな私は思わず髙橋監督に尋ねてみました…

加藤
「本当にわずかな差だと思うのですが?」

髙橋滋監督
「この3ミリが非常に大きいと思います。バッターにとっては不利になるかと思います」

「バッターに不利になる」との髙橋監督の言葉を聞いて、次は一関学院打線の主軸を担う2人の強打者、梅田昇希選手と山内蓮選手に聞いてみました。

梅田昇希選手
「やっぱり芯に当たっても飛びにくいというか、打球の伸びがないというふうに感じています。木製と少し似ていて、芯で捉えないと手がしびれる感覚があります」

山内蓮選手
「芯で捉えたときは違いを感じないんですけど、詰まったときとかバットの先っぽで当たったときはこれまでのバットに比べると打球が飛ばなくて、もっと力をつけないといけないなと思いました」

従来のバットで公式戦では外野に鋭い打球を飛ばしていた2人から共通して出てきた「飛ばない」というキーワード。 新基準のバットの重さは従来と変わらず900g以上。金属バットの中は空洞がありますが、直径は細くなった分、中の金属の厚みが厚くなっていて、従来のバットと比べると反発力が抑えられるとされています。このため打球の初速は従来より3.6%遅くなり飛距離は5mほど落ちる見込みであると言われています。

なぜ 反発力を抑えた金属バットに?

最も大きな理由は、投手の負担やケガを防ぐためです。高校野球では、バットの性能が上がったことや球児のバッティング技術の向上などにより、打球のスピードや飛距離が飛躍的に上がっています。金属バットが導入されて以降1試合当たりのホームラン数や安打数は年々向上。長打を警戒した投手は変化球などを投げて球数が増える要因にもなってきました。さらに、2019年の夏の甲子園では、投手のに打球が直撃して顔面を骨折する事故も起きました。こうした背景から反発力を抑えた新基準のバットに移行することになったのです。 

新基準バット ピッチャーはどう見る?

新基準のバットが導入されると打球が飛びにくくなり、投手有利になるのか?秋の県大会で一関学院のエースナンバーをつけた髙澤奏大投手は、どう見ているのでしょうか。

髙澤奏大投手
「打球が飛ばなくなるので、安心する部分もあります。大きい打球がなくなるので、外野の守備位置などは動かしやすいのかなとは思います。ただ油断せずにいつも通りキャッチャーと配球を組み立てていきたいと思います。自分のこれまで決め球が“チェンジアップ”だったので、当てられて内野と外野の間に落ちてしまうのではないかという懸念もあるので、三振を取れるストレートを鍛えていきたいです」

試合の戦術面への影響は

新基準のバットの導入で、各チームは「いかに点をとるか」その戦術が問われています。髙橋監督も戦術面で大きな影響が出ると考えています。

髙橋滋監督
「長打は減ると思いますので、野球がより高度に細かくバントや機動力、外野の打球判断、守備位置の取り方などそういったものはさらに重要になってくると思います。投手力の高いチームのほうが上位に食い込んでくるのではないかと思います。1つの小さなミスが勝敗を左右するようなゲームが増えてくるとも思います」

反発力を抑えた新たな基準の金属バットは“飛ばないバット”とも言われています。打球を飛ばすには芯でボールを捉えることが必要で、高いバッティング技術が求められます。髙橋監督は選手たちに新基準のバットを振り込んでいって、まずは量をこなすこと。その次の段階としては量をこなすことで、ある程度の感覚を選手たちがつかんでいき、新基準のバットを苦にしないでバッティングができるようにしたいとしています。
センバツ高校野球では新基準のバットが導入されました。世界的な名選手を輩出している岩手の高校野球に、どんな影響が出るのか?岩手県でも春の大会から導入される予定です。4月下旬から地区予選が始まり、5月には春の岩手県大会、6月には東北大会が控えています。そして7月には夏の岩手大会があります。新基準のバットの影響とともに、高校球児の皆さんの熱戦を引き続き取材していきます。

  • 加藤早和子

    NHK盛岡放送局 

    加藤早和子

    埼玉県出身
    毎週月・木・金に出演
    県内各地のスポーツ現場へ
    取材に伺います!

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