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「"秘境"の村に33年ぶりの
企業進出!?」

"秘境"の村に33年ぶりの
企業進出!?

『記者 山之内豊』

「あの椎葉村に企業進出?」この話を聞いたときは正直驚きました。
椎葉村といえば…、平家の落人伝説が伝わる山間地の集落、"日本三大秘境"の1つともいわれています。村への企業の進出はなんと33年ぶり!?
どんな企業が進出するのか?なぜ椎葉村なのか?
コロナ禍でなかなか現地に行って自由に取材ができないご時世。
50歳を過ぎた私にとってはやややりにくい時代。
でも時代に乗っかって、今回の取材はすべてリモートでやってみることにしました。

【"日本三大秘境"の椎葉村】

宮崎空港から車で曲がりくねった山道を通りおよそ3時間。
九州山地にあり平家の落人の悲しい恋物語も伝わる宮崎県の椎葉村。
村のおよそ94%が山林で急傾斜地が多く、人口はおよそ2500人。
高齢化率は40%を超えています。もちろん、村内にコンビニは1軒もありません。

【33年ぶりに企業進出!?】

そんな椎葉村に33年ぶりに進出を決めた企業が同じ宮崎県の西都市にある「キャスター」。
どんな会社かというと、企業の経理や秘書、採用などの業務をオンラインでサポートする事業を展開しています。従業員とスタッフは、およそ800人
この業界では国内最大級で、なんと全員がフルリモートワークです。

なぜ、このコロナ禍で時代の先をいく企業が村に進出を決めたのか。
慣れないセッティングに悪戦苦闘しながらもリモートでお話を伺ったのは役員の森岡由布子さんです。

ひと言、「村の人たちに衝撃を受けた」。
えっ、衝撃受けた?あまりの環境の違いに衝撃を受けた!ではなくて、
「村の人たちに衝撃…」ますます興味がわきました。

【きっかけは"ワーケーション"】

きっかけは、「ワーケーション」だったそうです。仕事の英語「ワーク」と休暇の「バケーション」を組み合わせた造語です。リゾート地や観光地などでインターネットを活用して、働きながら休暇をとるという新たな働き方の一つです。国も推奨するなどコロナ禍で注目されています。
実は椎葉村は、11年前から光回線を村内の全世帯に整備した、いわば"ハイテク村"。

こうした実態を知り、会社では、おととし社員6人が椎葉村で1週間のワーケーションを体験しました。
もともと従業員などおよそ800人全員がリモートで働いています。つまり、ネット環境さえあれば、どこで仕事をしてもいい、柔軟な会社だったのです。
秘境とも言われる村でのワーケーション。

環境、そして出会う人たち、ともに刺激的でした。
リモートで仕事をしながら、ふと外をみれば…深い山並み。
仕事の合間には気分転換の「ヨガ」に、夜は村伝統の「夜神楽」鑑賞。

キャスター取締役COO森岡由布子さん
「インターネットが全く問題なく使えた上、普段よりも効率的に仕事ができた。
仕事場から外に目をやると山の景色が見え、視線をそらすだけで気分転換になった。
山でのヨガや夜神楽などの体験を通じて、地域の人たちと交流する中で、私たちよそ者を温かく迎えてくれた椎葉の人たちの人柄にとても衝撃を受けた」

【秘境の村で狙いはリモートワークの普及】

この場所でリモートワークができることを実証できれば、リモートワークのさらなる可能性を示すことができる。
会社はことし3月、村への進出を決断。村では33年ぶりの企業進出になりました。
会社の拠点は、村の交流拠点施設「Katerie」(かてりえ)。
コワーキングスペースをはじめ、地元の人との交流ラウンジや図書館、シャワールームやコインランドリーなども備えられています。

キャスター取締役COO森岡由布子さん
「交流拠点があるとないでは移住者の安心感が全然違うので、拠点があってコミュニティーが作れるのは重要だった。
地方創生と言う意味でも、地方で暮らしながら普段と変わらない仕事ができるというのを見せていきたいなと思っています」

【移住希望者3人程度採用予定】

会社では今、村と"ウィンウィン"の関係を築こうとしています。
単にリモートワークの場として使うだけでは進出した効果は限定的です。
今いる社員を転勤させたり、地元から雇用したりするのではなく、村へ移住を希望する人を、新たに3人程度採用する予定です。
すでに面接が始まっていて、来年2022年9月の進出が予定されています。

村も採用者には、住む場所や村での生活のサポートを行い、村に溶け込んで仕事ができるよう最大限支援することにしているそうです。
本当なら村に行って聞きたいところですが、まだまだ感染拡大に気をつけないといけない状況。村外から行くのも気がひけ、会社の受け入れを進めた村長にリモートでインタビューしました。

椎葉村 黒木保隆村長
「企業立地は難しいと言われていた秘境の村に、通信環境整備によって、企業立地が実現したのは大変うれしい。
村の一番の課題である人口減少にも、明るい兆しが見えたので、次なる移住者の取り込みも期待が持てる」

【移住希望者3人程度採用予定】

会社では今、村と"ウィンウィン"の関係を築こうとしています。
単にリモートワークの場として使うだけでは進出した効果は限定的です。
今いる社員を転勤させたり、地元から雇用したりするのではなく、村へ移住を希望する人を、新たに3人程度採用する予定です。
すでに面接が始まっていて、来年2022年9月の進出が予定されています。

村も採用者には、住む場所や村での生活のサポートを行い、村に溶け込んで仕事ができるよう最大限支援することにしているそうです。
本当なら村に行って聞きたいところですが、まだまだ感染拡大に気をつけないといけない状況。村外から行くのも気がひけ、会社の受け入れを進めた村長にリモートでインタビューしました。

椎葉村 黒木保隆村長
「企業立地は難しいと言われていた秘境の村に、通信環境整備によって、企業立地が実現したのは大変うれしい。
村の一番の課題である人口減少にも、明るい兆しが見えたので、次なる移住者の取り込みも期待が持てる」

【"秘境"の村だからこそ】

この椎葉村には古くから「かてーり」ということばがあります。お互いを思いやり、助け合う、相互扶助の精神を意味するのだそうです。山深いこの地で生き抜くためには、住民同士の助け合いが必要不可欠だったことから生まれたといわれています。

だからこそ、ワーケーションで最初にきた社員たちを快く受け入れ、今回の企業進出が決まったのではないでしょうか。“秘境“ではなく、実は、1周回って、最先端の村になるかもしれない、そんな期待を抱かせてくれる取材でした。実際に社員が働き始めたら、必ず村に行って取材をしようと心に誓う私でした。

この記事を書いた人

山之内豊 記者

記者 山之内豊

平成2年入局。
自然やアウトドアが好きです。
椎葉村には、ツリーハウスや、森の中に張ったワイヤーロープを滑車で滑り降りる「ジップライン」を楽しめる施設もあるので、プライベートでも行ってみたいと思っています。

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