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休校で給食用の出荷激減
牛乳メーカーの挑戦

2020年4月24日放送

『記者 平井千裕』

試作中のもなかアイス
宮崎市「白水舎乳業」向かって左側が都成謙三 社長

学校が休校となり、子どもたちの大きな楽しみの1つ、給食が食べられない日が続いています。
一方で、宮崎市の牛乳メーカーは、給食用の牛乳を出荷できなくなったのに、工夫しながら困難に立ち向かっています。
きっかけは、もともと取材していたパンづくり教室の主催者から「給食用の牛乳が余って大変らしい!この牛乳を使って教室を開催しています」と聞いたことでした。

【給食牛乳の製造現場は】 お邪魔したのは、主に学校給食の牛乳を生産しているメーカー「白水舎乳業」です。
JR宮崎駅に近い、住宅街の一角にある、ちょっとひんやりした工場でした。
宮崎市の小中学校など50校近くの子どもたちに日々、牛乳を届けてきました。

創業から101年と歴史のある会社ですが、学校の休校によって給食がなくなり、大きな打撃を受けているということでした。注文がほとんどないため、ふだん5時間以上かけて行う牛乳づくりも、取材した日は、わずか10分で終了しました。
給食用の牛乳が入る冷蔵庫は、がらんとしてどこか寂しい様子。3月の売り上げは、7割以上も落ち込んだといいます。さらに、緊急事態宣言の拡大で宮崎市でも休校が延長され、苦しい状況が続いています。
都成謙三社長に話を伺うと、「ともかく先が読めないのが1番困っている。いまは、働き始めて40年ちょっとですけど、1番厳しい状況に突入したかな」ということでした。
【しかし、社長には強い信念が】 実はちょっと恥ずかしがり屋の社長。お話を聞いていくうちに、遠慮がちに、でも、力強く、「22人の従業員は誰もやめさせない」と話してくれました。いま、従業員には、主に一般向けのわずかな牛乳の製造にあたってもらっているといいます。売り上げが激減する中、社長は給料を工面するため、銀行から4500万円を借り入れました。工場での徹底した品質検査など、さまざまな仕事は、経験を積んだ社員だからこそ安心して任せられるためだといいます。

都成謙三 社長
「子どもたちに牛乳を飲んでもらうのがあたりまえっていうか、学校給食が始まって以来、ずっとやってきたもんだから。従業員たちは、わたしの分身というか、わたしの思いを実現してくれる大切な存在ですね」。
苦しい中でも「人」を大切にする社長の姿勢に、わたしは惹かれました。 【ピンチをチャンスに】。 この会社では、ピンチをチャンスに変えようと、新たな商品開発も進めています。いま、試作しているのは、もなかアイスです。入社6年目の従業員が溶けにくい商品を考案しました。

商品開発にあたる従業員
「おいしいなとおもったときに、お土産で持って帰ることのできる商品をつくれないかなと思っていました。職場や家に持って帰りたいというときに、もなかで食べれるといいかなと思って開発しています」。
10年前の口てい疫のとき、牛乳の付加価値を高めようと開発した自慢の甘酒も、品質の改良に取り組んでいます。さらに外出しなくても注文できるよう、ホームページも充実させました。今月から新たにネット展開の担当者も配置しています。

都成謙三 社長
「食は可能性があると思うんですよ。新しいことに挑戦するチャレンジするっていうことは、考える段階から非常に楽しいんですよね。何ができるかっていうことを考えて、それを実行していってコロナに負けずがんばります」。
「逆境をアイデアで乗り越える」「苦しいときこそ人を大切にする」。失敗するリスクを背負ってでも、挑戦を続けていきたいと話した社長の姿が、今でも忘れられません。
(2020年4月24日放送)

この記事を書いた人

平井千裕 記者

記者 平井千裕

小学校のころは、ちょっと牛乳が苦手でした。
大阪出身。お好み焼きには牛乳を入れます。
宮崎局5年目。事件・事故や県政の取材を経て、現在は、医療や教育を主に取材しています。
不器用ですが、自分なりの問題意識を大切に、人一倍優しい記事を書くことが目標です。

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