宮崎にはなぜ冬に"つばめ"がいるの?
- 2023年01月31日

視聴者の疑問に答える「てげ探!」今回調査するのはこちらです。
P.N. ちょびんさん
わが家にいるつばめは、夏からそのまま残っているの?
宮崎に多い?季節に背いた越冬つばめ


宮崎市江平にあるNHK宮崎の入口です。暖かい時期に見かける”つばめ”、冬には南へ移動するという習性がありますが、季節外れのつばめが宮崎では各地で目撃されています。

取材班が訪れたのは延岡市。行縢山の麓にある、山間の集落です。質問を寄せてくれたのはペンネーム、ちょびんさんです。

実は、てげ探2回目のご出演(2022年7月28日放送「“ムカバキ”って何?」)。ちょびんさんの家にも、つばめがいるそうで、よく見てみると…


蛍光灯の上に1羽のツバメがちょこんと座っています。ちょびんさんによると、このツバメは一年中ずっといる気がするというのです。

最初のうち2羽いたんですけど、途中、来ない時期が1週間くらいありまして。 戻ってきたなと思ったら1羽だけなんで。

夏にいたつばめが、そのまま残っているのか、どこかよそから来たやつなのか。弱っていてここに残っている可能性もあるし。専門家とか、研究している人がいれば、お話聞きたいなあって。
野鳥のエキスパートに聞いてみた
つばめに詳しい人はいないか、探してみると…なんだか不思議なオーラを放つ建物を発見。

宮崎野生動物研究会の副理事長・中村豊さんです。ご自慢のTシャツをきて、出迎えてくれました。


ディレクター
なんのTシャツを着ているんですか?


これはカンムリウミスズメ。宮崎の門川町の枇榔島が世界一の繁殖地になっているんです。自分で絵を描いて、Tシャツにして、調査費用を稼ぐために作ったんですが、なかなか売れません笑
中村さんは、国の天然念物・カンムリウミスズメの研究の第一人者。宮崎の野鳥のことならなんでもおまかせという、エキスパートです。早速ちょびんさんの家にいたつばめは、夏からそのまま残っているのかどうか確認してもらいました。


恐らく春から夏に渡っていって繁殖するつばめと、今、冬を越すためにいるつばめは別ものだと思います。

一体どういうことなんでしょう。


つばめは、冬になると必ず「南へ移動する」という習性があります。夏に宮崎にいたつばめたちは沖縄や東南アジアで冬を過ごします。

では、ちょびんさんの家にいたつばめは、一体どこから来たんでしょうか?

もっと北の方の日本国内のどこかで、繁殖したつばめが、秋にになって、南の方に出て下ってはきてたけども、まあ宮崎は暖かいし、しかもえさががありそうだし、宮崎で越冬してもいいかなあと。これはツバメに聞かないとわかりませんけども、そんな感じで宮崎に残って、越冬してるんじゃないか、というふうに思います。

つまり、今ちょびんさんの家にいるつばめは、宮崎よりも北の方からやってきた、別のつばめだということなんです。さらに、中村さんによると、宮崎はつばめが冬を越すのに、とてもよい環境なのだと言います。


宮崎とか南九州とかは畜産が盛んなので、ほかのところよりは多いのかもしれないです。牛の糞とかで虫が発生して、そういったところの虫をとって食べるので、すごく効率がよい。
宮崎を満喫している冬のつばめたち。もしかしたら皆さんの周りにもいるかもしれません。

宮崎は、つばめにとってパラダイスだったんですね。冬を過ごせる場所の”北限”が宮崎ということですか?


ディレクター
「日本野鳥の会」理事長の上田恵介さんによると、「会員たちの報告では、越冬地の北限は静岡県の浜名湖」ということで、はっきりわかってはいません。でもいずれにせよ、宮崎が人気なのは間違いないとのことです。

冬を越すために、遠路はるばる宮崎まで来ていると思うと、愛らしくも思えますね。

ディレクター
会社の入口にいるつばめも、静かに見守りたいなと思います。