巨人宮崎キャンプ宿舎 90歳大おかみ 長嶋さんの思い出いっぱい

NHK宮崎アナウンサーの滑川和男です。宮崎ではまもなくプロ野球の春のキャンプが始まります。加えて今年はWBCの強化合宿も予定されていて、多くの野球ファンが宮崎を訪れる見込みです。その宮崎の観光に奉仕してきたとして長年プロ野球巨人のキャンプの宿舎となってきた青島グランドホテルの大おかみが表彰されました。キャンプインを前に、大おかみに巨人キャンプの思い出等を聞きました。 

大おかみ 冨森久子さん 御年90歳！

青島グランドホテルの冨森久子さんは昭和7年生まれの90歳。昭和48年のホテル開業当初からおかみとなり、今も大おかみを務めています。冨森さんは去年11月、長年宮崎市の観光に奉仕してきたとして、宮崎ロータリークラブから「職業奉仕賞」を贈られました。ホテルは開業翌年に巨人のキャンプ中の宿舎となり、現在の長嶋茂雄終身名誉監督やソフトバンクの王貞治球団会長など、名だたるプロ野球関係者と親交を深め、キャンプ地である宮崎の地位確立に貢献してきました。

受賞後の挨拶で 冨森さんは「身に余る光栄で120歳くらいまで生きる気持ちでがんばります」「長嶋さんから始まって今の原監督はまるで息子のように 感じます」と、半世紀近くに渡って伝統球団を支えてきた名物おかみならではの言葉をロにしていました。

長嶋茂雄さんの誕生日には…

冨森さんが語る思い出話に度々出てくるのが、監督時代の長嶋茂雄さんです。長嶋さんは、キャンプ中の2月20日が誕生日。毎年、シンプルなバースデーのお祝いをしていたそうです。

そこで冨森さんが「お誕生日おめでとうございます！」と言うと、すかさず「結婚記念日おめでとう！」と返してこられるのだとか。冨森さんが何かのキッカケで2月20日は自分の結婚記念日でもあると伝えたところ、毎年「誕生日おめでとうございます」とかける言葉のあとは「結婚記念日おめでとう！」と返されるようになったそうです。長嶋さんの優しい心遣いを感じさせるエピソードですね。長嶋さんの笑顔で言われると、本当に嬉しかったそうです。

早起きの長嶋さん

当時、選手の朝食は7時から食事ですが、長嶋さんは、6時ちょっと過ぎたぐらいに「おはよ～さ～ん！」ってみえるんだそうです。「朝早くから皆さん大変だね。朝食は7時だけど、それより早く来る選手もいるでしょう。それじゃ皆さんが大変だから、出来るだけ7時に合わせるように、言っておこうね」とおっしゃって従業員の準備をずっと見ている。「一番早くにいらっしゃるのは長嶋さんじゃないですか！」と言いたい気持ちを冨森さんはグッと飲み込んでいたそうです。私たちがイメージする長嶋さん像と合致する出来事で、なんだか嬉しくなります（笑）

監督のお部屋を拝見

キャンプ中、監督はどんな部屋に滞在していたのか。実際に見せて頂きました。こちらは長嶋監督が使用していた部屋です。隣の部屋と扉で繋がっているのが分かります。隣の部屋では監督はじめコーチなどが会議を行えるようになっているのです。

そしてこちらは、なんとベランダに露天風呂が設けられた監督使用室です。歴代監督がこの湯船に入り、青島を眺めながら次のシーズンの戦い方を構想したのかも知れませんね。

女将のアルバム

ホテルのロビーにはジャイアンツギャラリーがあり、選手や監督の写真、記念グッズが展示されています。その一角に「女将のアルバム」というコーナーがありました。巨人ファンなら思わずうなってしまう写真が数多くありましたので、お許しを頂いて一部をご紹介します。

一番緊張するけど一番楽しみな時期

冨森さんは言います。「かつてはファンがホテルの玄関に押しかけて、選手がバスに乗れないんですよね。うわ～っと来るから。だから警備員を配置してロープを張って整理しながら何とか選手を送り届けましたよ」とのこと。キャンプシーズンは一番緊張するけれども、最も楽しみにして力を入れている時期だそうです。いまもチューリップの折り紙を折って、日本一の願いを込めた短冊に沿えて、ファンに配っています。

いまでは他球団も宮崎でキャンプを張り、今年はWBC日本代表も強化合宿を行います。「この礎を作られたのでは」と聞きますと、冨森さんは「長嶋さん、王さん、原さんの力ですよ。強いジャイアンツが結果を残したから、他球団も続いたんではないですか」と語ります。

今後の抱負については、「コロナでお客様が少ないですね。コロナに打ち勝って現状を何としてでも打開しないと」と、90歳の大おかみは闘志を燃やしていました。いつまでもお元気でご活躍を！

巨人キャンプの球場

一軍は県総合運動公園にあるサンマリンスタジアム宮崎、二軍は同公園内のひむかスタジアムで。いずれも、2月1日から行われます。