宮崎 グルメ | 秘境に伝わる“幻のごちそう” ひえ粥(がゆ)
- 2023年01月13日
THE秘境グルメ「ひえ粥」とは
かつて、米を作るのが難しかった山間部では雑穀の「ひえ」が主食の一つとなっていたました。
その「ひえ」と、狩猟でとった「いのしし」で作るとっておきのごちそうが「ひえ粥」です。
昭和61年放送の「きょうの料理」では、椎葉村でひえ粥(がゆ)を作るという企画が行われていました。
作り方はシンプルながら手間がかかります。まず、冬で脂の乗った「いのしし」を煮込むこと2時間!そのスープに、大根、せり、いもがら、米、ひえを加え、さらに40分間煮込んでようやく完成。
地元の方は料理に励んでいますが、その中、ずっとマイクを片手に質問を行うという斬新なスタイルで番組は進められます。
ぐつぐつ煮込まれている「ひえ粥(がゆ)」…
椎葉村では、親戚の集まりや民宿のおもてなし料理で振る舞われるほか、夜神楽など特別なときに欠かせない郷土料理だったというんです。
相当おいしい!という雰囲気で番組はまとめられていましたが、果たしてどんな味なのか?
そして、そもそも今でも食べられているのか?
「ひえ粥(がゆ)」今でも食べてる?
というわけで私たちは一路椎葉へ。
道上アナウンサーが村の人に聞いてみると「食べたことない」または「最近食べてない」という人ばかり…。
なぜ最近は食べてないのか?その理由を村の人は…
最近はひえがなかなか手に入らない。ひえを作っている方も少ない。
そんな中貴重な情報が。
民宿の「焼畑」に行けば、ひえ粥を作っている。
いざ「民宿焼畑」へ
村の中心部から車で40分。民宿「焼畑」で出会ったのは椎葉勝さん。江戸時代から続く焼畑農家の7代目。今でも地域の仲間たちと協力して毎年焼き畑を行い、ひえなど雑穀を育てています。勝さんにひえを作る人が減っている理由を聞くと…
ひえは精白が難しくて思うようにいかない、米のように簡単に食べられない。
ひえの精白、どんだけ難しいの?
固い外皮に覆われているひえの精白作業。まず、一旦蒸して皮をむきやすいようにします。
次に、棒で叩いて実を外す脱穀作業、いわゆる「ひえつき」です。椎葉村では冬の農閑期に農家が集まり、労働歌「ひえつき節」を歌いながら作業するのが風物詩でした。
そして、皮をむくための「もみすり」。
道上アナウンサーも体験してみますが…。
苦労して皮をむいた後も、釜で炒るなど、まだまだ手間がかかるとか…。
しかも、精白すると食べられる部分はがこんなにも小さいとは…。
戦後、農家の皆さんが米作へ転換し、焼き畑やひえ栽培を続ける家が減ったのもわかる気がしました。
ひえ粥、そのお味は?
こうした中、地域の食の伝統を受け継ぎたい考える勝さんたちのグループ。
今でも祭りやイベントでひえ粥を作るそうですが、長蛇の列ができる人気ぶりなんだとか。
本来の生き方というか、命の源は食べ物なのでいいものを残したい。
今廃れつつある雑穀とか焼き畑とかそういうものに関心があるんですよ。
「きょうの料理」では当時の画質もあって、いまひとつどんな食べ物かわからなかったんですが…これが「ひえ粥(がゆ)」です!道上アナウンサーもいただいてみると…。
ひえの香りがしておいしい。いのししの脂も効いてコクがあります!
時代と共に幻となった「ひえ粥」ですが、今でも椎葉を愛する方々がしっかりと受け継いでいました。
ちなみに、このグループでは、雑穀を使ったお菓子作りにも挑戦。北海道や広島など県外の菓子店から注文があるほか、ふるさと納税の返礼品としても人気だそうです。
今回ご紹介した「ひえ粥(がゆ)」。NHKに残る貴重な映像で振り返っていきます。
プラスみやざき クラシック「秘境に伝わる幻のごちそうを探せ!」
放送:13(金) 夜7:30 再放送:14(土)前7:35