再調査!宮崎限定の“もんぺ“文化 起源がついに判明!?
- 2023年01月18日

視聴者から寄せられた疑問・質問にお答えする「てげ探」。
去年11月には、宮崎の女子中学生が掃除の時間に履いている作業着、いわゆる”もんぺ”について調査を行いました。
調査では、もんぺがいつ、どこの中学校で履かれるようになったのかを取材しましたが、どこの学校から始まったのかは残念ながらわかりませんでした。
しかし、放送後、取材班に一件のメールが寄せられました。
宮崎市 男性
私の母校のほうが宮崎西中より前に“もんぺ“を導入していました。
情報提供を受けて、今回改めて再調査を行います。
前回の模様はこちらから

改めて前回の調査をおさらい

ディレクター
前回の調査では、県内でもんぺを着て掃除をしている学校は宮崎市に最も多く、ほかの市町村の学校でも一部導入していることが分かりました。

掃除のしやすさが理由でしたね

ディレクター
また、昔は男子生徒が掃除中に女子生徒をからかうためスカートをめくったりするので、それを防ぐために導入したという証言もありました。


ディレクター
そして、最初に着用が始まったのが宮崎市の宮崎西中学校ではないかという情報があり、卒業生に取材したところ、昭和41年か42年に導入された記憶があるということでした。

そうでしたね~

ディレクター
実は私も宮崎西中学校の卒業生でして、これを履いていました。ちょっとオーバーオールに似ていて個人的にはかわいいと思っていました。
情報提供を受けて、今回再調査を行います。
ついに発見!?もんぺを最初に導入したのはどこ?
向かったのは宮崎市内に住む男性のご自宅

吉村敏博さんです。吉村さんは放送を見て、出身校のほうが先に履いていたと思い出し、連絡をくださいました。
吉村さんの出身校は今の宮崎大学附属中学校。昭和40年に中学3年生でした。
吉村 敏博さん
1965年(昭和40年)の4月の新入学生から制服が変わったんですよね。それに合わせて作業着というのが導入されて、着用するようになりました。

証拠があるということで、卒業アルバムを見せてもらいました。
アルバムの写真は昭和40年から41年の春までに撮影されたものです。
中には・・・・


あっ、写ってる!

ディレクター
そうなんです。確かに、宮崎西中より前ということになります。
吉村さんの記憶では、新しいブレザーの制服の着用が始まったのは新入生だけでしたが、もんぺは全学年同時に導入されたそうです。

以前のセーラー服にもんぺの子もいますね

宮崎大学附属中学校に取材したところ、このもんぺの着用がいつから始まったのか、記録は残っていませんでした。
しかし、制服が変わったのが昭和40年の春からであることは確かだということです。

今回の再調査では、宮崎西中より先に、宮崎大学附属中学校で昭和40年春の制服の更新に伴い、もんぺが登場したという新たな証言が得られました。

新たな事実がたどり着きましたね!
再調査、お疲れさまでした!

ディレクター
いやいや、まだ終わりじゃないんです。
なんと、吉村さんが当時のことを知る先生を
「てげ探」して見つけてくださったんです。
その先生はなんと、もんぺ導入の前の年の昭和39年に導入を決めた職員室での会議を覚えているとのこと。取材を行いました。
“もんぺ“導入の前の年、何があった?

吉村さんと、クラスメイトだった大﨑 美知子さんと一緒に当時の会議を知る先生の自宅へ。

井上 剛一さん、89歳。吉村さんが2年生と3年生の時の担任で、社会科を教えていました。
当時、宮崎大学附属中では、男子生徒の制服が生徒会の発案で半ズボンから長ズボンに変わるなど、制服見直しの議論が活発だったそうです。もんぺ登場前の昭和39年(1964年)、女子生徒の制服もいよいよ変わることとなり、職員会議で様々な意見を検討したとのことです。

井上 剛一さん
生徒から掃除の時に、女子が非常に苦労しているという声が上がってきました。スカートのすそを気にしながら、掃除をしなければならないため、私たちが考える以上に思春期の子供は気にするんだなと思いました。そこで、体育の先生と家庭科の先生に作業着の製図を書いてもらい、業者に一着だけ作ってもらいました。
その作業着を一人の学生に着てモデルになってもらい、職員が判断をしたのですが、感想を学生に聞いたところ、「これだったらトイレの掃除でもスカートが汚れないし、土間でも掃除ができる」と。
一方、当時2年生だった大﨑さんは
大﨑 美知子さん
1年生からブレザーになる話があったんですね。その時、担任の先生に「私たちは3年生になるんですけど、1年間だけブレザーを着せてもらえないか」と質問に行ったんです。
そうしましたら、私たちはだめだと。ただし、「在校生のあなたたちにも何かあたらしいものが準備しているみたいだ」とおっしゃったんですよ。それで私は夢膨らませた。
だけど、ふたを開けてみたら作業着。
大﨑さんに、今の宮崎大学附属中学校の生徒が来ている作業着を見てもらうと・・・

大﨑さん
色がきれいになっている。もう少しすそが長かったような気がする。
一見変わっていないような“もんぺ“でしたが、少しずつ改良されていたようです。

もともとは生徒からの声を受け、「どうにかしてあげたい」という気持ちがもんぺの導入につながったということなんですね。
なぜもんぺは他校に広がっていったのでしょうか。
ヒントになるのは、この写真です。

井上先生によると、当時はまだ教員の研修施設などがなかったため、宮大付属中の授業の見学が研修代わりになっていたそうです。こうした場での情報交換の中で、もんぺが広がったのではないかということでした。
58年ぶりに変わる宮大付属中の制服、もんぺはどうなる?
今年4月から宮大付属中では58年ぶりに制服が新しいデザインに変わります。
気になるもんぺですが・・・

取材したところ、着用は続けるとのことでした。
しかし、女子生徒は現在もスラックスを履くことが可能で、その場合はもんぺを履かなくてもいいということです。
今回の調査で、もんぺには先生の優しさがつまっていることがわかりました。
てげ探では、今回のように再調査の依頼もお待ちしております。ぜひ、疑問・質問とともに新たな情報をお寄せください。