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詳しく解説 宮崎県知事選挙 開票結果 河野俊嗣氏の勝因は?

  • 2022年12月26日

25日に行われた宮崎県知事選挙。無所属の現職・河野俊嗣氏が、元知事でタレントの東国原英夫氏らを抑え、4回目の当選を果たしました。
有権者は誰に投票をしたのか?知事への期待は?
選挙を担当した記者が詳しく解説します。

河野氏の勝因は?

河野氏は自民党と立憲民主党の各県連と公明党から推薦を受けたほか、「農民連盟」など県内の300を超える企業や団体からも推薦を得て、組織力を生かした選挙戦を展開しました。

大小さまざまな集会を繰り返し開き、閣僚や大臣経験者も応援に駆けつける中で組織票を固めました。街頭演説などでは、3期12年の任期中に国や市町村と連携して事業を進めてきた実績や、自然災害や新型コロナなどの課題に正面から取り組んできたことを繰り返しアピールしました。その結果、自民党支持層の多くを固めたほか、いわゆる無党派層からも一定の支持を集めました。

東国原氏の敗因は?

東国原氏は、知事時代に大きな実績を上げた県産品のトップセールスを再び行うとともに、青島の再開発など観光振興に取り組んで「稼げる宮崎」を実現すると訴えました。県内をくまなく回って街頭演説を繰り返し、写真撮影にも応じるなど有権者と近い距離の運動に徹しました。

ただ、16年前、口てい疫からの復興という大きな仕事を残して1期で退任したことへの批判は根強く、有権者への謝罪を繰り返したものの、不信感を完全には払拭できなかったとみられます。このままでは宮崎県が地域間競争の中で埋もれてしまうと危機感を訴え、告示日以降、急速に支持を広げましたが、組織票を固めた現職に及びませんでした。

スーパークレイジー君氏の敗因は?

とにかく若い世代に向けて支持を訴える戦略でしたが、浸透することはできませんでした。

有権者の投票は?

下図は、どの候補者が最も多くの表を集めたかを市町村別に示した地図です。赤い部分が河野氏、青い部分が東国原氏となっています。速報では宮崎市の結果が出ていなかったため白くなっていますが、最終的には宮崎市も河野氏が獲りました。

東国原氏の地元である都城市など一部を除いて、ほとんどの地域で河野氏が上回っていたことが分かります。

白い宮崎市も河野氏(赤)が優勢となった

出口調査の結果

NHKでは、投票日に有権者の投票行動や政治意識を探るため、出口調査を行いました。調査は県内の32か所の投票所で投票を終えた有権者4853人を対象に行い、81.4%にあたる3949人から回答を得ました。一方、投票日前日までに有権者の24%余りが期日前投票を済ませていますが、これらの方々は調査結果に含まれていません。

ふだん支持している政党を尋ねた結果です。下図の左から自民党が43%、立憲民主党が6%、日本維新の会が3%、公明党が3%、共産党が1%、国民民主党が1%、れいわ新選組が1%などとなっています。また、特に支持している政党はない、いわゆる無党派層が38%でした。

ふだん自民党を支持している人と答えた人が、どの候補に投票したかです。

自民党支持層からの投票割合(投票日出口調査)

赤色の河野氏が50%台後半。青色の東国原氏がおよそ40%となっています。保守王国の宮崎では、自民党支持層からどの程度の支持を得られるかがポイントとなります。自民党県連の推薦を受けた河野氏が、より多くの支持を得ていますが、東国原氏も組織票の切り崩しに一定程度、成功し、自民党支持層の票を取り込んでいることが伺えます。

つづいて、ふだん立憲民主党を支持していると答えた人がどの候補に投票したかです。

立憲民主党支持層からの投票割合(投票日出口調査)

赤色の河野氏が40%台後半、青色の東国原氏が50%あまりとなっています。 河野氏と東国原氏で支持が真っ二つに割れていますが、わずかに東国原氏の支持が多くなっています。河野氏は立憲民主党の県連から推薦を得ながらも支持を固めきれませんでした。

特に支持している政党はない、いわゆる無党派層が誰に投票したかです。

無党派層からの投票割合(投票日出口調査)

赤色の河野氏が40%あまり青色の東国原氏が50%台半ばとなっています。政党の推薦が得られなかった東国原氏としては、なんとしても無党派層で多くの支持を得る必要がありました。実際に河野氏を上回る浸透ぶりでした。一方、河野氏は3期12年の実績をアピールしてきましたが、無党派層からの支持は東国原氏に及ばない状況です。

男女別の投票先(出口調査)

男性は40%台後半が赤色の河野氏、およそ50%が青色の東国原氏に投票しました。女性は、50%あまりが河野氏に、40%台後半が東国原氏に投票しました。

男性は東国原氏を、女性は河野氏をより多く支持する傾向が見られます。

年代別の投票先(出口調査)

多くの年代で東国原氏が河野氏を上回っていました。このうち40代では、50%台半ばが東国原氏に投票しました。一方、50代と70歳以上では河野氏が東国原氏を上回りました。このうち70歳以上では、50%余りが河野氏に投票しました。

河野県政の評価は?(出口調査)

「大いに評価する」が25%、「ある程度評価する」が61%、「あまり評価しない」が11%、「全く評価しない」が3%でした。

「大いに」と「ある程度」を合わせると、プラスの評価をしている人が8割を超えています。一方「あまり」と「全く」と合わせてマイナスの評価をした人は1割にとどまりました。知事就任以来、口てい疫からの復興などに取り組み、大きな不祥事もなく、安定した県政運営を進めてきた点が高く評価されたとみられます。

知事の多選について(出口調査)

「弊害がある」が28%、「弊害はない」が72%でした。

現職の河野氏を念頭に回答した人が多いと思われますが、4期目であれば、弊害はないと考える有権者が多いとみられます。  

投票で重視したこと(出口調査)

「政策・公約」が37%と最も多く、次いで「人柄・イメージ」が32%、「経歴・実績」が27%、「友人・知人のすすめ」が3%、「政党・団体の支援」が1%でした。

「政策・公約」が最も多く、やはり新たな知事が具体的に何をやろうとしているのかへの高さが伺えます。次いで「人柄・イメージ」が高く、県を代表する知事として人柄が誠実であるかや行動力がありそうかなどを重視したとみられます。

最も期待する政策(出口調査)

最も多かったのは「景気・雇用対策」で51%、次いで「医療・福祉の充実」、「教育・子育て支援」、「財政の建て直し」がそれぞれ13%、「新型コロナウイルス対策」が9%、「防災対策」が2%でした。 

コロナ禍で基幹産業の観光業をはじめ地域経済が大きな打撃を受け、物価高で県民の暮らしも厳しさを増していることから、「景気・雇用対策」を重視する有権者が多かったとみられます。 次いで「医療福祉」と「教育子育て」が挙げられ、日々の生活に直結する政策への期待もうかがえます。

宮崎の課題は多岐にわたり、とりわけ、コロナ禍で冷え込んだ地域経済をどう再生していくのか、また、全国的に見て低い県民所得の水準をいかにあげていくのか、手腕が問われます。さらに若者の県外流出などを始め人口減少への対策も待ったなしの状況です。今回の選挙は、これらの課題について十分に語られたとは言えませんから、山積する課題に強いリーダーシップを発揮し、県民に見える形で結果を出していくことが求められます。

投票率56.69% 前回選挙を22.79%上回る

今回の県知事選挙の投票率は56.69%に達し、過去最低だった前回・4年前の選挙に比べて22.79ポイント高くなりました。今回は、24日までの期日前投票を利用した人が21万7121人に達し、前回の2.22倍に増えました。これは、宮崎県で期日前投票が始まった平成16年以降で最も多く、投票した人の43%余りが期日前投票を利用した形になります。

宮崎のこれから

現職の河野俊嗣氏や元知事の東国原英夫氏ら3人が争う異例の構図となった選挙戦は、河野氏が東国原氏に2万票あまりの差をつけて4回目の当選を果たしました。

一夜明けた26日の朝、河野氏は「コロナ禍や原油高、物価高という課題に対し、なんとかしてほしいという要望が私に投じられた票の意味だと思うので、まずはそこに向かって成果を出していく」と山積する課題への決意を改めて示しました。

今回の選挙は「変化」か「安定」かこのどちらを選択するのかという選挙だったともいえます。
選挙戦で河野氏は「安定は停滞ではない」とこれまでの12年の手堅さをアピールしてきましたが、選挙の結果を見ると変化を望む県民も多いといえます。これからの4年間でその期待にも応えることが今後の県政運営に求められています。

河野氏には27日に当選証書が手渡され、来月21日から4期目の任期が始まります。

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