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新海誠「すずめの戸締まり」ヒロイン 原菜乃華さんが宮崎に!

  • 2022年11月30日

日本を代表するアニメーション監督・新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」。
その舞台のひとつが、なんと、宮崎なんです。
大ヒットを記念して宮崎を訪れた、主人公・鈴芽(すずめ)の声を演じた俳優の原菜乃華(はら・なのか)さんにお話を伺いました。
     (NHK宮崎 道上美璃アナウンサー)

ー岩戸鈴芽(いわと・すずめ)役の原菜乃華さんに伺います、よろしくお願いします。

お願いします。

ー「すずめの戸締まり」公開から2週間経ちましたけれどもすごい反響ですよね。原さんのもとにもリアクションや感想は届いていますか。

今までお世話になってきた先輩方や友達から、「すごくおもしろかったし、またもう1度見たくなるような作品だった」とたくさんメッセージを頂きました。
私にとってもすごく特別な作品ですし、きっとたくさんの人にとっても宝物みたいな作品になっていることを日々感じてうれしいです。

「てげビビ!」ポーズをしてもらいました

宮崎に“住んで”みての印象は?

ー宮崎県民として、映画の中に宮崎の風景が出てくるというのがすごくうれしいことなんですよ。原さんはこれまで宮崎にいらしたことはありますか。

家族旅行で高千穂のほうにいきました。
本当にきれいで、行ったのは数年前なんですがいまだに鮮明に覚えています。

ー具体的に思い出はありますか。

宮崎牛を食べました。おいしかったです。

ー今回は、鈴芽が住んでいるのは港町ということで、高千穂とはまた少し違った宮崎だったんじゃないかなと思うんですけれども、映像からはどんな印象を受けましたか。

緑もあって海もあって「はじまりの場所」としてぴったりな風景で、すてきな土地だなと思いました。

ー演じていく上で何か感じたことはありますか。

主人公の鈴芽がいろんな思いを抱えて住んでいる場所です。背景の海の、水面がキラキラ光っている様子がすごくきれいで、すてきだなと思いました。

ーありがとうございます。今日は飛行機でいらしたんですよね、海はご覧になりましたか。

見えました。すごくきれいでした。宮崎自体は、まだ着いてすぐなのであまり巡れていませんが、空港に着いたらヤシの木があってすごく南国気分になりました。

ー今まで頭の中にあった宮崎と違った部分はありましたか。

着いた時にすごく人が多くて、にぎやかで栄えてるなという印象でした。

ーあまりそのようなイメージはなかったですか(笑)。

私の中の宮崎のイメージは、(映画の中に)出てくる風景で。すごく自然豊かな場所が多いイメージがあって、だから少し意外だったかもしれないです。

ー今回、宮崎は鈴芽が住む町として描かれている場所ですが、東京のお生まれの原さんにとって難しかったことはありますか。

私のせりふには方言がなかったのですが、鈴芽の叔母・岩戸環役の深津絵里さんはすごく方言が多くて方言指導の方といろいろ話し合いされていました。

ーけっこう特徴がありますよね。

場所によって結構ニュアンスがちょっとずつ変わってくるようですね。宮崎の方が聞くと分かるイントネーションの違いがあるらしくて、すごく大変そうでしたね。

ー宮崎弁を聞いてみて、印象はどうですか。

温かさがある印象です。鈴芽の周りの同級生がみんな宮崎の言葉なんですけど、すごくかわいくて温かさがある方言だなと思いました。

ー演じられている鈴芽の名字「岩戸」も宮崎に縁があるんです…

神社ですよね。

ーご存じで。

いきたいなと思っているんですけど、今回は時間がなさそうで行けないので、次の機会にまた来たいなと思います。

ーそうですね、またいらしてください。

災いをコミカルに演じる!?

ーでは続いてストーリーの話にいきたいんですけれども、この「すずめの戸締まり」は、「開いたままの扉から災いが出てくる」というストーリーですよね。どんな印象をお持ちですか。

鈴芽の過去や出てくる要素はもちろんシリアスな場面もありますが、全体を通してすごくコミカルなシーンが多くて、人と人の繋がりや温かさに目を向けさせてくれる作品だなと思いました。

ー確かに、災いを扱っているということもありまして一見大きくて重いテーマではありますけれども、ちょっと鈴芽の慌てふためく様子とか走る様子とか…

そうですね。出てくるキャラクターがすごくかわいらしいのでほっこりする気持ちになります。

ー演じる時はどんなことを意識しながら演じていたんですか。

いすになった草太さんと新幹線に乗る時に小声で話したり、すごくコミカルなシーンが多いです。いすとお芝居をするのって、いすに表情がないから少し難しいのかなと思ってたんですけど、いすになったときの草太さんの方が、表情や人間らしい部分が見えて、ちょっとずつ仲がよくなって距離が縮まってくる描写がすごく多いんです。とにかくテンポと楽しい気持ちを皆さんに。クスッと笑えるようなシーンにしたいなと思いながらアフレコしていました。

ーこれまで人ではないものと一緒にお芝居したことはありますか。

ないですね(笑)、いすはさすがにないかなと思います。

ーその中でいろいろと試行錯誤しながら組み立てていかれたんですね。演じる中で、印象的だなと思うフレーズ、教えていただけるものがあったら伺いたいんですが。

個人的にすごくうれしかったのは、宗像草太役の松村北斗さんに「お返し申す」っていう扉を閉めるときの決めぜりふがありまして。私も決めぜりふ言いたいなってずっと思っていたんです。前作の「今から晴れるよ」だったり、「入れ代わってる!」だったり、決めぜりふがあったら素敵だな、いいなと思っていたので、「お返しします」と(自分の決めぜりふを)言えた時は心の中でガッツポーズしました。

ーそのフレーズには特別な思いを持って臨まれたんでしょうか。

「お返しします」や、ポスターにも書いてある「行ってきます」という言葉が作品の中でたくさん使われています。それらが温かい言葉だなと思っていて、「行ってきます」と言えるってことはきっと「ただいま」って言えるような場所だったり人が在るっていうことだと思うので、この言葉は大切にしたいなと思いながらせりふを言っていました。

ータイトルの「戸締まり」にはちょっとマイナスなイメージというかネガティブなイメージというか、この「いってきます」というフレーズと対極にあるような感じもしますよね。

私も最初はそう思っていたんですけど、新海監督が「扉を開けたままではなくて、ちゃんと扉を閉めてから新しい場所へ向かう、その準備がすごく前向きなものだ」と話されてました。たくさんの方にそういうメッセージが伝わったらすてきだなと思います。

声優初挑戦!苦労と収穫

ー声優初挑戦ですよね。大きなお話だったと思うんですけれども、初めに話が来た時はどう思われたんでしょうか。

鈴芽役をやることが決まった時はサプライズ合格発表という形で。最終オーディションだと思って会場に行ったら新海監督が直接、「鈴芽役お願いします」っていうふうに言って下さって、頭が真っ白になりました。うれしいって気持ちよりも、好きゆえの重圧や不安の方が最初は大きかったです。

ーアフレコをしていく中で監督からいろいろと指導やアドバイスを受けられていったんですよね、印象に残った言葉などはありますか。

アフレコ初日に、「何が分からないのかも分からなくてとにかく不安です」と監督にぶつけました。監督は、「僕たちは何も心配してません」とはっきり言ってくださいました。そこでいったん肩の力が少し抜けたというか、アフレコ中はその言葉を思い出しながら進んでいったので、すごく印象に残っています。

ー初挑戦ということですが、全身を使ってお芝居するのと声だけでお芝居するのは違いますか。

感情が高ぶるシーンでも、熱量100%でやってしまうと、見てる側がちょっと苦しくなってしまう瞬間があると(監督が)おっしゃっていたんです。たしかにそうで、あくまでそのきれいな声の範囲内で聞き心地がいいラインの声を維持しながら一番感情が高ぶる部分まで持っていくっていう調整が難しかったです。

ーなるほど、そして走ったりとか自転車こいだりとか、あまりその台詞にならない台詞といいますか、そういったシーンも多かったですよね。

一番最初に難しいなって思ったのはまさにそこなんです。ちっちゃい「っ」にビックリマークだけで台本に書かれていて、息での驚きだったり恐怖だったりを表現するのが、一番最初に難しいなと思ったポイントでした。

鈴芽との共通点は「思い切りのよさ」

ーもう少し鈴芽について詳しく聞いていきたいんですけれども、鈴芽は高校生で原さん(19歳)と年齢が近いですよね。演じる中で鈴芽にどう向き合っていきましたか。

監督から「そのままでいいよ」って言っていただいていたので、あまり難しいことは考えずにいました。事前に小説版の「すずめの戸締まり」を読んでいて、知りたいことは全て小説に描かれていたので、台本と小説と照らし合わせながら何度も読んでいきました。

ー台本と小説、やっぱり分量も違いますし、表現の詳しさも違うんでしょうか。

小説は主人公の目線で進んでいくので、「この時にどういうふうな気持ちだったのか」もしっかり言葉で書かれていました。あとは、本編では使われていない台詞も多いので、自分の中で「鈴芽はどういう女の子なんだろう」と考える時に、すごく分かりやすかったです。攻略本みたいな感じでした(笑)。

ー使われていないセリフがあったら映画の中では声で表現するということになるんですよね。大変ですね…想像がつかない。

短いブロックごとに区切ってとっていくんですが、そのブロックが終わるごとに監督が「菜乃華さんすてきでした、ありがとう」っていうふうに毎回言ってくださって、自信をつけさせてくれたんです。監督のおかげでなんとか最後まで完走することができました。

ーちなみに原さんと鈴芽の共通点なんかはあるんでしょうか。

「思い切りのよさ」です!
アフレコ中にチャレンジ精神みたいなものがついたなと思っています。何も分からないまま飛び込んで、とにかくやってみる、進まなきゃいけないっていう状況だったので、とにかくチャレンジしてみよう精神はこの現場でついたなと思います。

監督が込めた思いをどう伝えるか

ー先ほどから監督とのお話もいろいろ伺ったんですけれども、新海監督がどのような思いでこの映画を作ったか、原さんきいてらっしゃいますか。

はい。

ーどんなふうにきいていますか。

すごく印象に残っているのは、「大丈夫だって言ってあげたいし言ってもらいたい」っていうことをおっしゃっていました。それがこの作品の持つメッセージの核となる部分だなと思います。もちろん傷つくことは誰しもあって、傷を抱えながらでもちゃんと前に進んでいけるんだ私たちは、明日は来るし来てしまうということが、当たり前なんですが、強くて優しい、背中を押してくれるようなメッセージだなと思いました。

ーそれを原さんは、同世代の人たちにどういうふうに伝えたいなと思われますか。

「行ってきます」っていう言葉が劇中でたくさん出てくるんですけど、きっと、「おかえりなさい」って言ってくれる人や場所があるということだと思います。だから、むしろ失ったものもあるけど、今ある大事なものにもっと目を向けてもいいんじゃないかと思わせてくれる作品だったので、見てくださるたくさんの方が、周りにいる身近な誰かを大切にしようとより思うことができたらそれはすごくすてきなことだと思います。

ー鈴芽にとって宮崎もそういった場所の1つだといいですね。

原さんから宮崎の皆さんへ

サーフィンどーもくんと一緒に

ーこの「すずめの戸締まり」は原さんにとってどんな映画ですか。

特別な映画です。ひと言では表しきれないですし…。もともと私、自分の声はあまり好きではなくて、でも新海監督が毎回「菜乃華さんすごくすてきでした」「すてきなお芝居でした」って言ってくれるので、コンプレックスが1つなくなって自分の声を好きになれた映画でもあります。一人の観客としても一人の出演者としても本当に、こんなに明日の活力をもらえるような作品に携われたということが誇りなので、私にとっては宝物のような作品です。

ー見て下さる皆さん、特に宮崎の方にはどんなふうに映画を楽しんでほしいですか。メッセージをいただきたいと思います。

シリアスなシーンもありますが、動く椅子だったりしゃべる猫だったり、すごくかわいらしいキャラクターが出てきます。人と人とのつながりや、たくさん笑えて心が温まるような瞬間がたくさんある映画です。ぜひ劇場で見てほしい音響や映像なので、たくさんの人に、映画館にぜひ足を運んでもらいたいです。

ーありがとうございます。今回、宮崎とこうしてご縁ができたということですけれども、ゆっくり時間がとれて宮崎にいらっしゃることがもしできたら何かやってみたいことはありますか。

海で泳ぎたいです!
10年習っていたんですけどしばらく泳いでないのでぜひ鈴芽の大切な場所で泳ぎたいなと思います。

ー宮崎はサーフィンなんかも有名です。

波に乗れたらかっこいいですね。練習したいと思います。

ーいらしてください。ありがとうございました。

ありがとうございました。

  • 道上美璃

    宮崎局 アナウンサー

    道上美璃

    入局3年目 映画を見る時には必ずキャラメルポップコーンを食べます

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