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獣医師資格の記者が解説・鳥インフルエンザ 宮崎で高まる脅威

  • 2022年11月04日

宮崎県内では2年前のシーズンに12か所もの養鶏場で発生が確認された鳥インフルエンザ。全国の養鶏場では、10月の時点で鳥インフルエンザが発生しており異例の早さといえます。
なぜウイルスの侵入を防げないのか?リスクが高まっている要因は?獣医師の資格を持つ担当記者が詳しく解説します。

高まる脅威 なぜ?

岡山県や北海道などの地域で、すでに発生が確認されている鳥インフルエンザ。10月の時点で国内の養鶏場での発生が確認されたのは初めてのことで、異例の早さと言えます。毎年、防疫対策を取っているにもかかわらず、養鶏場へのウイルスの侵入を防げないのか?動物の感染症の専門家に尋ねました。

目堅博久 准教授(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター)

目堅博久 准教授
日本の養鶏産業の防疫レベルは、はるかに上がっているんですね。それにもかかわらずゼロに抑え込めないのは、環境中のウイルスの濃度が明らかに上がっています。
野鳥のほうでも自然淘汰が進んできていて、野鳥が以前よりもウイルスを運べるようになってしまっているのかもしれないと言われています。

坂西記者

ポイントは2つです。
1つは新型コロナウイルス同様、ウイルスそのものが感染力の高い株に変異していること。
もう1つは渡り鳥側の要因で、以前は感染すると多くが死んでいましたが、弱い鳥が次第に淘汰され、強い鳥が生き残って以前よりも増えているとみられています。つまり感染しても死なずにウイルスを運んでくる鳥が増えているわけです。

県も対策を強化

こうしたなか、宮崎県は緊急防疫会議を開催しました。養鶏関係者や市町村の担当者など、リモートも含めておよそ120人が参加しました。

会議では、県の担当者が10月に岡山県と北海道で、その後、香川県の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が確認されたことを報告し「すでに県内の野鳥でも感染が広まっている可能性が高い」と述べました。
養鶏場の消毒の徹底や、ウイルスを媒介する野生動物の侵入を防ぐネットに隙間や穴がないか点検することなどの防疫対策を改めて確認しました。

まだ宮崎県内では鳥インフルエンザが発生していないタイミングで、県が警戒レベルを上げようとする理由を目堅准教授に尋ねました。

目堅博久 准教授
野鳥で発生しても数十羽ですが、ニワトリが密集する養鶏場では数千羽、数万羽の単位で感染してしまう。環境中のウイルスが爆発的に増えるため、野鳥や小動物を介して周辺の養鶏場に広まるリスクが格段に高まります。だからこそ、まだ県内の養鶏場で発生がないうちから警戒レベルを引き上げることが重要だということです。

坂西記者

鳥インフルエンザは大量のウイルスにさらされないかぎり、人への感染は考えにくいといいます。一般の私たちができることは死んだ野鳥などを見かけても触らず、最寄りの市町村役場や県農林振興局に連絡するということです。
警戒が高まっている鳥インフルエンザについて早期の対策が求められています。

  • 坂西俊太

    NHK宮崎・記者

    坂西俊太

    県政などを担当獣医師の資格を持ってます

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