なぜ宮崎のラーメンはとんこつ?そこには驚きのエコな理由が!
- 2022年10月31日
視聴者の疑問に答える「てげ探」。今回は宮崎のラーメンについて。北海道から異動したばかりの佐藤ディレクターが、何味のラーメンが多いのか、徹底調査しました。
ランキング1位はやっぱりあの味!
まずは、県内100以上のラーメン店に何味のスープをメインとしているか、アンケートを実施しました。「豚骨」「豚骨」「しょうゆ」そしてまた「豚骨」…
ほら、豚骨ばっかり!
そうですね。"透明な"豚骨という回答もありました。結果はこちら!
では、なぜ豚骨ラーメンが多いのか。取材を進めるとある情報をキャッチしました。
宮崎に「豚骨ラーメン」が多いワケ
ここは日南市の創業60年のラーメン店です。
プロ野球・広島カープの選手やファンにも愛され、キャンプの際は球場にも出店する人気店です。スープは、創業以来"豚骨一択"。宮崎に豚骨ラーメンが多いワケとは…。
北島雄一郎さん・伊津子さん(ラーメン店の先代店主夫婦)
昔は養豚場が多かったから。鶏を飼うような感覚で豚を飼う人が多かったですね。
宮崎では戦後、養豚が盛んになりました。生産者は一時、2万軒も!そこから出る大量の豚骨がスープの材料になるとわかると、ラーメン店がこぞって仕入れるようになります。価格も安かったため、このお店のスープも豚骨になったのだそうです。
豚骨でWin-Winの関係に?
取材を進めると、豚骨についてさらに詳しい話が。
尾前泉(おまえ・いずみ)さん、85歳です。養豚が特に盛んだった宮崎市波島地区で暮らして60年以上。貴重な写真を見せてくれました。
尾前さんは地元で精肉店を50年以上営んできました。
当時、豚骨は使い道がなく廃棄していましたが、ラーメン店が増え始めて急に売れるようになったと言います。
尾前さん
ラーメン店が豚骨を足らんぐらい持っていきよる。(捨てるものだったから)ありがたかった。骨じゃからよ、どうしようもないとよ。
尾前さんは、ラーメン店が増えたことで、さらにメリットがあったと教えてくれました。
尾前さん
(残飯を)ドラム缶の中に入れて、三輪車やら車なんかでいっぱい持っていきよったですよ。
ラーメン店から出る大量の残飯。これが、貴重な豚のエサになったそうなんです。豚が増えすぎてエサが足りず、生産者の間では、"取り合い"にもなっていたと言います。
尾前さん
残飯を取るのに"入札"があったもんね。
佐藤ディレクター
残飯に入札ですか?
尾前さん
はい。無駄なことは全然なかった。豚骨を大事にラーメン屋が最後まで使い切ってもらえば、"豚骨"も喜ぶっちゃない?
捨てられていた豚骨に目を付けることで、ラーメン店、養豚業者、精肉店、三者それぞれメリットが生まれた、ということなんですが、互いに足りないものを譲り合い、助け合うようになったから、豚骨ラーメンが根付いていったとわかりました。
宮崎は昔から交通の便が悪く、台風も多かったから、地産地消の輪ができて、流通面でも助かったという声も聞きました。豚骨ラーメンは"宮崎だからこそ"生まれた食文化だと感じました。