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宮崎の特産品 "本格"焼酎!出荷量日本一の宮崎で蔵元に取材

  • 2022年10月17日

本格焼酎って、何が「本格」なの?

視聴者の疑問に答える「てげ探」。宮崎で愛飲されている本格焼酎の、”本格”の意味を徹底調査。なんと、”おいしさを謳う”だけではない、知られざるワケが!

ニシタチの焼酎ラバーたちへ「意味わかって飲んでます?」

焼酎の出荷量が8年連続で全国1位の宮崎。一番の繁華街・ニシタチに今宵も集う焼酎ラバーなら、当然、“本格”の意味もわかるはず。抜き打ちチェックです!

 

あれ?誰も知らない??みなさん、「うまければいい」し、「気にしたこともない」んだそうです。

老舗の酒屋に聞いてみた

そこで、お酒の専門家ならわかるはず!と向かったのは、昭和3年から続く老舗の酒屋です。本格焼酎だけで、300種以上を扱っています。4代目店主の坂本健宏さんによると、もともと焼酎は、“酒税法上の分類”で「甲類」と「乙類」に分けられていたそう。

アルコール度数が高く、お茶などで割るのが前提の「甲類」と、度数が低くロックなどでも楽しめる「乙類」。この「乙類」を、本格焼酎と呼んでいるそうです。

坂本健宏さん(酒屋の4代目店主)
本格焼酎には、いろんな味・香りを作れるすごい技術が詰まっています。宮崎では、作られているのも飲まれているのも、ほとんどがそれですが、”本格”の呼び方を定着させるにあたっては、あの「霧島」を作っている「霧島酒造」の先代社長が尽力したと聞いています。

霧島酒造の先代が名付けた?!

向かったのは都城の霧島酒造本社。全国に知られたこのメーカーは、焼酎の出荷量・販売額とも日本一で、一升瓶に換算すると1日20万本分を製造しています。広報を担当する内田沙樹さんに真偽を尋ねました。

内田沙樹さん(霧島酒造・広報担当)
本格焼酎という呼び方は、2代目の社長・江夏順吉が提唱して今に至っております。

名付けたのは、2代目・江夏順吉さんとのこと。きっかけは1953年、自分たちが代々作ってきた焼酎が「乙類」と分類されたことでした。当時「乙」という言葉には、「甲」に対して、“劣っている“”第2のもの”という意味がありました。創業以来守ってきたのは、蒸留を1回に抑えて風味を生かす、単式蒸留という製法。しかしその後、大量生産するために蒸留を重ねる方法が伝わってきたことから、順番だけを見れば“旧型”で“古いもの”、つまり、「乙」とされてしまったのです。

 

内田沙樹さん(霧島酒造・広報担当)
単式蒸留の焼酎が“劣っている”かのように、消費者にもそういうイメージが浸透してしまいまして、このままではいけないということで、呼び方を検討しました。単式蒸留で作る焼酎は、芋だったり麦だったり麹だったり酵母だったり、原料の風味が色濃く残るのが特徴です。“原料の風味を本格的に味わえる”というところから、“本格”という2文字を提唱したのかなっていうところはあります。

どうすればイメージを覆せるか。「精選」「純良」など当時考案されたラベルには、試行錯誤のあとが窺えます。

「自慢の焼酎に“本格”と銘打ち、もう一度良さを広めんといかん!」同業者に呼びかけ続けた2代目。やがて“本格”という呼び名は、南九州、そして全国へと広がっていきました。

江夏さんは「甲類よりも上だ!」と訴えたかったわけではなく「とにかく良さを伝えたい!自分たちの自慢の焼酎を後世に残したい!」との思いだったそう。その熱意が宮崎中に広がったからこそ、いまの宮崎の焼酎文化ができたんだと感じました。

“本格”焼酎に込められた知られざる思い。わかって飲むと、“いつもの一杯”も、味わいが変わるかもしれません。

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