宮崎の10代の若者の短歌 サラダ記念日の歌人 俵万智さんが解説
- 2022年10月05日
このコーナーでは宮崎の「わけもん」若い世代の瑞々しい短歌を紹介していきます。
9月のテーマは「光」です。
このテーマにちなんだ短歌を詠むテーマ詠としばりのない自由詠、
それぞれの優秀作品を毎回1首ずつ紹介します。
テーマ詠「光」
テーマ詠は日知屋東小学校6年新名琉斗さんの作品です。
ぴかぴかの一年生なんて言葉がありますが、入学したての頃というのは、ランドセルもぴかぴかだし制服もぴかぴかだし、それから友達との関係もまだ新しい感じがすると思います。
ただ、この作者は今6年生。6年間には色々なことがあったでしょう。ランドセルや制服も汚れたでしょうし、そういう物だけじゃなく、思い出って言葉がありますから、友達との関係なんかでも、喧嘩をしたり、ちょっと悔しいことがあったり。そういう友達との関係の汚れもここに入っているんじゃないかと思っていました。
でもぴかぴかだった頃より、汚れた分、思い出が詰まったんだっていう、この感じ方が素晴らしいですね。例えばTシャツなんかでも真新しいTシャツの嬉しさってありますが、何回も着て何回も洗濯して汚れたTシャツならではの愛着ってありますよね。そうした感じを、私はこの歌から受け取りました。素晴らしい感覚だと思います。
自由詠
自由詠は、五ヶ瀬中等教育学校5年の丸亀孝太朗さんの作品です。
降水帯ですから、もう彼の心は土砂降りの雨が降っているじゃないかという上の句ですね。いまだ心に停滞中ですから、心の嵐が過ぎ去っていない。それをどうするのかって言った時に、離れてくれというのは、よくある発想だと思うんですけど、そうではなくって、この悲しみを連れ去れと言っている。
台風に来て欲しい、何か大きなことを乗り越えるためにはさらに大きなものを呼び寄せるんだという強い意志を感じさせる歌だなと思いました。晴れを願うのではなく、台風でこの土砂降りを吹き飛ばそうとしている。そこに何か連れ去れっていう強い命令形も効いていますし、作者の意思のようなものが伝わってきて面白い歌だなと思いました。
作品を募集中!
宮崎県在住の10代の皆さんからの作品を募集しています。
応募方法など詳しいことは、NHK宮崎のホームページをご覧ください。ご参加お待ちしています。https://www.nhk.or.jp/miyazaki/tanka/index.html