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【解説】参院選・宮崎は松下氏が当選 記者が結果を詳しく分析

  • 2022年07月10日

自民党の現職・松下新平氏が4回目の当選を果たした参院選。松下氏の勝因や野党候補の敗因をNHKが行った出口調査の結果などを使って、担当記者が詳しく解説します。
参院選に関連したニュースはNHK選挙WEBでも取り上げています。
選挙WEBみやざき:https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/45/

4回目の当選を果たした現職・松下新平氏

松下新平さんは宮崎市出身の55歳。県職員や県議会議員をへて、平成16年の参議院選挙に無所属で立候補して初当選し、その後自民党に移って総務副大臣などを務めました。今回の選挙戦ではコロナ禍で落ち込んだ経済の回復に力を入れることや、ウクライナ情勢を念頭に有事に備えた憲法改正の必要性を強く訴えました。

松下さんの勝因は、公明党の推薦に加えて、県内最大の政治団体で農家やJAの組織委員などで作る県農民連盟など県内250を超える企業や団体から推薦を受けて、組織力を生かした選挙戦を展開したことです。県内各地で大小さまざまな集会を重ねたほか、閣僚や大臣経験者も応援に駆け付けるなどして支持団体の組織票を確実に固めました。また、ウクライナ情勢を念頭に有事に備えた憲法改正の必要性を訴え、政権与党として外交や安全保障の実行力をアピールしました。保守層に加えて、いわゆる無党派層からも一定の支持をあつめたことで、4回目の当選を果たしました。

自民党・松下氏の喜びの声とインタビュー

自民党・現職 松下新平氏
不確定な不透明な時代であります。その将来の不安をしっかり政治が導いてほしい。そういった声を沢山いただきまして、それを早く同志とともに、安心に結びつけるように取り組みたい気持ちでいっぱいです。宮崎においては恩返しのつもりで、これまでの私の経歴をすべてかけて皆さんの負託に応えていきたい。その気持ちでいっぱいです。

滑川

今回の選挙戦どのような訴えが支持されたとお考えでしょうか?

松下氏

国際情勢、そして国内情勢。さまざまな課題がありますけれども、今求められているのは強いリーダーシップ、強い政治力、そして具体的な解決策。そのことを有権者の皆さんが強く求められていると感じました。

岡村記者

今回の選挙は自民党の支持団体などの組織票が想像以上に乗らなかったように見えます。松下さんは自民党支持層の7割を得票しましたが、一方の黒田さんは立憲支持層の9割余りを固めています。また郡部でも、既に開票が終了したところでは5割台にとどまっているところもあります。想像よりも票が伸びなかったことについて、どのようにお感じでしょうか?

松下氏

今回の選挙は自民党の公認、公明党の推薦で戦ったのですが、私の感触としては総力戦で自民党の組織もフル回転で取り組んでいただいたと思っています。農業も林業も水産業もまさに待ったなしの状況で、ここは与党で責任ある・そして解決力のある強い政治家に負託されたと考えています。

岡村記者

農業・林業・水産業は本当に待ったなしの課題がたくさんあると思います。参議院議員は今まで3期18年されていて、次また6年となると24年の実績となりますが、長期的な視点でどのような政策に一番力を入れていきたいとお考えでしょうか?

松下氏

宮崎の場合は交通・インフラをまず挙げたいと思います。地方の時代・競争の時代でベースとなるインフラが遅れていると、それだけ負荷がかかります。そこを急いで、他の県と平等に戦えるように整備をしなければいけないと思っています。

立憲・黒田氏のコメント

立憲・黒田奈々氏
もう少し頑張っていればという反省もありますが、これは結果として受け止めていきます。皆さんといっしょに政治を変えていきたいと思ったこと、私の実感はそれは確かです。それをこれからどのように活かしていくのか、皆さんともしっかり考えて共有していきたいと思います。

立憲・黒田氏の選対本部長・渡辺創衆議院議員インタビュー

滑川アナ

今回訴えが届かなったことは、どこに要因があるとお考えですか?

渡辺氏

黒田さんは大変短い活動期間でしたが、頑張ってくれたと思います。我々としては真綿で首を絞められるように、生活に苦しさが広がっていき、様々な外交安全保障も含めて不安が広がっています。そういう皆さんの気持ちに寄り添った政策を打ちだすことの必要性を強調してこの選挙選を戦ってまいりました。無党派の皆さんの大きな支持を獲得できたのは、それがしっかりと浸透した証だと思っています。ただ、より多くの皆さんに投票所に足を運んでいただくところまで拡大ができなかったことは、支えてきた我々政党が考えるべき点もあると思っています。しっかり結果を受け止めて今後を考えていきたいと思います。

岡村記者

候補者が乱立したことで票が分散しました。それぞれの党の看板を背負った立憲の渡辺さん、国民の長友さん、このお二人がいることで一本化が難しかったと指摘されていますが、いかがでしょうか?

渡辺氏

それぞれの見方があるので、いまご指摘いただいたことが真実かどうかも含めて、私が言及する立場には無いと思っています。立候補する側も民意ですので、それはそれで結果として受け止めながら、その環境のなかで少しでも多くの皆さんに理解をしていただけるように努力をするのが私どもの役割です。私自身は、いまご指摘いただいたようなことを選挙が終わったあとに分析する立場にはないかと思っております。

岡村記者

今回の教訓は今後どのように活かしていかれるとお考えでしょうか?

渡辺氏

私自身は幅広い政治勢力が大きな目的のために力をあわせることが重要なことだと思っています。私はたった12年でありますが、宮崎で非自民勢力のなかで活動を一貫してやってきていますので、その必要性もまた多くの皆さんからご支援をいただくという意味でも重々認識をしています。できるだけ多くの力をあわせて幅広い連携を作ることは常に大事だと思っていますが、まずは自らの足をしっかりと鍛えて、どんな環境にあろうとも皆さんから評価していただけるような努力をしてくことが重要だと思っています。

国民・黒木氏のコメント

国民・黒木章光氏
私の力不足でこのような結果になってしまったこと、今まで支えていただいたスタッフの皆さま、そして有権者の皆さまに心よりお詫びいたします。厳しい戦いであるとは分かっていました。国民の皆さまが様々な選択ができる環境を作るのも、新しい政治への第一歩だと私は考えております。

今回の参院選・宮崎選挙区のポイント

今回の過去最多6人の候補が立候補した選挙のポイントは野党の分裂です。これが選挙戦にどのように影響したか注目したいと思います。ここ宮崎県保守王国では、参議院選挙でもこれまで4回連続で自民党の候補が議席を守っています。自民党に野党の候補が勝つためには力を結集することが鍵となります。

それが成功したのが昨年の秋の衆議院選挙です。野党の候補をすみわけた結果、1区で立憲民主党、2区で国民民主党、選挙区と比例で候補がそれぞれ当選しました。野党勢力としては9年ぶりに2人の国会議員が誕生したことになります。

ではなぜ今回、そのすみわけができなかったのか。3つの大きな理由があります。

まずは衆議院選挙ですみわけが上手くいったからこそ誕生した立憲民主党の渡辺さんと、国民民主党の長友さんの2人の衆議院議員の存在です。今回の参議院選挙にむけても、当初野党は候補者の1本化に向けて動いていましたが、2人ともそれぞれの県連の代表になったことで、党を背負うことになりました。党のアピールのためにも自分の党から立候補者を出したい、そして、党をアピールしたいという思惑が生まれました。

それが2つ目「比例票の上積み」と3つ目「来年春の統一地方選」の理由にもつながり、それぞれの党が独自候補を立てることで比例票の上積みを目指し、さらには、来年春の統一地方選も見すえた動きとなったことで、今年5月ギリギリまで協議は続いたのですが、結局野党の候補1本化はまとまりませんでした。一方で、私たち有権者にとっては候補者が多くなったことで、選択の幅が広がったともいえます。

有権者の投票行動は?出口調査の結果

NHKは有権者の投票行動や政治意識を探るために、出口調査を行いました。調査は県内32の投票所で投票を終えた有権者3581人を対象に行い、77.4%にあたる2666人から回答を得ました。9日までに有権者の18%あまりが期日前投票を済ませていますが、これらの方は調査結果に含まれていません。

普段支持している政党を聞いた結果です。自民党が50%、立憲民主党が11%、公明党が5%、日本維新の会が4%、国民民主党と共産党が3%、れいわ新選組が1%、特に支持している政党がない・いわゆる無党派層が19%となりました。

では、自民党支持層と無党派層がどの候補に投票したかを見ていきます。

まず、自民党を支持していると答えた人のうち、自民党の松下さんが70%あまりを占めている一方、立憲民主党の黒田さんが10%台後半の支持となっています。自民党の松下さんが自民支持の票を固めていますが、一部は黒田さんに票が流れていることが分かります。

続いて、無党派層が誰に投票したか見ていきます。

40%台後半が立憲民主党の黒田さんに投票しています。また20%台後半が自民党の松下さんに投票しています。野党候補のなかでは多くの支持が黒田さんに集まっていることが分かります。黒田さんが無党派層の支持を集めたことで松下さんとの一騎打ちにつながったと言えます。

続いて、男女別の投票率です。
男性は40%台後半が松下さん、30%半ばが黒田さんに投票しています。
女性は40%台後半が松下さん、30%台後半が黒田さんに投票しています。
黒田さん今回立候補した6人のうち、唯一の女性候補でありました。男女ともに同じような割合で支持を受けているのがよく分かります。

続いて年代別の投票率です。
30代では松下さんが40%台後半、黒田さんが20%台半ばとなっています。
一方50代では、松下さんが40%あまりで、黒田さんが30%台半ば、
70歳以上は、松下さんが40%台後半で、黒田さんがおよそ40%と他の年代より差が小さくなっています。全世代で松下さんが黒田さんを上回っています。30代・40代の子育て世代に黒田さんは支持を訴えましたが、思うように伸びていないことが分かります。

投票率は上昇も過去3番目の低さ

県選挙管理委員会によりますと、参議院選挙の宮崎選挙区の投票率は47.52%でした。過去最低だった3年前の投票率を5.73ポイント上回りましたが、平成7年の46.99%に次いで、これまでで3番目に低い投票率となりました。

参院選に関連したニュースはNHK選挙WEBでも取り上げています。
選挙WEBみやざき:https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/45/

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