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就活本格化“障害ある学生に個別の配慮を”茨城・筑波技術大学

企業・学生によっては選考方法にハードルが…検査省略など配慮で解決へ
  • 2024年06月03日

来年春に卒業する大学生などを対象にした企業の採用面接が政府のルールで6月から始まり、就職活動が本格化しています。
茨城県つくば市には障害がある学生のための国内唯一の国立大学がありますが、企業によっては選考方法にハードルがあるとして、個別の事情を踏まえて、配慮してもらえるよう求める声が上がっています。
(NHK水戸放送局 記者 國友真理子)

NHKプラスで配信 6/10(月)午後7時まで

唯一の国立大学・筑波技術大学では

つくば市にある聴覚や視覚に障害のある学生のための唯一の国立大学、筑波技術大学です。
300人余りが在籍し、来年春に卒業する大学生でも 就職活動が本格化しています。

視覚障害のある学生の授業の様子

 

このうち、弱視の障害がある4年生の鎌滝憂也さんは、大学で情報技術を学び、障害者採用ではなく一般の新卒採用で応募したIT企業からすでに内々定を得ています。

新型コロナの感染拡大を受けて、採用面接などのオンライン化が進んでいることで、応募する企業の幅が広がったと感じています。 

筑波技術大学4年生 鎌滝憂也さん
面接などで初めて行く場所に自分で歩いて行くのはかなり難しいことなので、オンライン面接でリンクをクリックするだけで済むというのはメリットでした。道を調べる準備が必要ない分、受けられる企業の数が増えたと思います。

ただ、選考過程の「適性検査」は視覚に障害があると制限時間での回答が難しいなど不利になってしまうと感じたといいます。

このため、適性検査を省略するなど、企業には個別の事情に応じて配慮してもらいたいと訴えています。

筑波技術大学4年生 鎌滝憂也さん
適性検査の受検は難しいとか、特定の試験をパスできない可能性があると申し出たとしても、企業によってはその時点で足切りされてしまい、対応してもらえないことが多いと聞きます。
就活生と企業がコミュニケーションを取って、適性検査の代わりになるような面接事項が作れないかなど考えていただけるといいのかなと思います。企業側には、障害がある中でどう仕事ができるか見てほしいです。

一方、障害によって、ハードルや配慮して欲しい内容も変わってきます。

5月29日には、聴覚障害がある3年生の学生向けに、夏のインターンシップの説明会が開かれました。会場では、県外の企業とオンラインで結び、手話通訳や字幕を交えて説明が行われ、中には、聴覚障害のある社員が実際にどのように働いているかを手話などでアピールする場面もありました。

説明会に参加した聴覚障害のある学生
説明会では聞き取れないことが何回かありましたが、手話があまりできないので、そのときには文字を見て、理解することができたのでとてもわかりやすかったです。

ただ、就職活動やインターンシップの選考過程で行われるグループディスカッションでは、議論に追いつけなくなるなど、選考方法によっては不利になってしまうのではないかという懸念の声も聞かれました。

説明会に参加した聴覚障害のある学生
エンジニアとして働きたいと思っています。就職活動では、グループディスカッションがあると、ほかの人の会話に追いつけなくて評価が下がってしまうことが心配なので個別に面接してほしいです。

障害者への採用の取り組み「検討なし」が56%

大手人材情報会社「マイナビ」がことし2月に行った調査では、新卒採用で障害者に対する何らかの取り組みを実施しているか尋ねたところ、回答した1645の企業のうち、「取り組んでおらず、検討していない」と回答したのは56%に上り、採用活動などで、障害者の支援が十分進んでいないことがうかがえます。

また、採用を行う上での課題や悩みについては、回答した1485社のうち、「障害者に適当な業務がない」が48%、「受け入れ体制が整っていない」が39%、「障害者を雇用するノウハウがない」が27%となっているほか、「採用時に適性や能力を測れるかどうか不安がある」という回答も26%ありました。

「どんな配慮が必要かコミュニケーションを」

障害者向けの就職情報サイトを運営する「ジェイ・ブロード」の宇津徹也取締役は、一般採用も含めると、障害者の個別の事情に応じて配慮をすることはできていないケースも多いとしています。

障害者向け就職情報サイト運営 宇津徹也 取締役
例えば、聴覚に障害のある方には、面接の際に筆談や手話通訳者の同席などの配慮が考えられます。障害に応じて、選考の過程でできないことがあれば、それを免除するか補助をすることによって支障なくできるような形に企業側が環境を整えることが必要です。

その上でどのような勤務環境を整備し、配慮をすべきなのか、企業と障害者の間で、コミュニケーションをとることが大事だとしています。

障害者向け就職情報サイト運営 宇津徹也 取締役
採用の選考の段階での配慮だけでなく、入社後の配慮というのをきちんと約束するということも大切です。どうすれば活躍できるかすりあわせをして、丁寧に説明したうえで採用することが、長く定着していただくためにも必要だと思います。
いろいろな価値観を持った人が職場に集まることによって、より付加価値の高いサービスが生まれるというような考え方を持って採用活動に取り組んでいる会社もあります。世の中にとっても必要だし、会社にとっても成長していく上で必要なことだと思います。

NHKプラス配信終了後はこちらから

  • 國友真理子

    水戸放送局 記者

    國友真理子

    2016年入局。 秋田局で警察・司法などを担当した後、水戸局で県政を担当し、原発や科学研究、医療現場や文化の話題など幅広く取材。 

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