現在開かれている茨城県議会で議論されている大きなテーマのひとつが、4月からの新年度の当初予算案です。
県が何にお金を使っているのか、しっかりチェックすることは重要ですが、難しい用語や数字が多くて敬遠してしまうという方も多いことと思います。
県政担当記者が、分かりやすく解説します。(放送2021年3月2日)

【「当初予算案」って?】

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ある家庭に置き換えて見てみましょう。
食費や光熱費にはいくらかかるのか。旅行に行きたい、車が欲しい、家も買いたい...1年間で使う見込みのお金は、合計500万円になりました。
これが「当初予算案」。
この1年間で何にどれだけお金を使う見込みなのかをまとめ上げたものです。

一方、「補正予算案」というものもあります。これは、年度の途中で必要になるお金です。
例えば、急に冷蔵庫が壊れて買い替えることになったり、病気やけがで病院にかかったりと、思いがけない出費が必要になることもありますよね。

県も同じで、必要になった分だけ補正予算案を作ります。R2年度は新型コロナウイルスへの対応もあり、過去最多となる12回、補正予算案が作られました。

【「一般会計」とは?】

新年度の当初予算案は、一般会計の総額で1兆2951億円と過去最大の規模になりました。
この「一般会計」とは何のことでしょうか。
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県は、使い道によって3つの財布を持っています。

中でも一番大きな財布が「一般会計」です。
公共施設を作ったり、福祉や教育の充実など、県民に対してサービスを行うときに使います。

新型コロナウイルス対策も、ほとんどは「一般会計」の財布から出されます。来年度の新型コロナウイルス対策は合わせて1621億円で、一般会計の1割以上を占めています。

なお、「特別会計」は、使う目的が決まっている財布。「企業会計」は、水道事業や病院事業などに使われる財布です。

【主な新型コロナ関連の事業は】

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新年度の予算案に計上されている、主な新型コロナ関連の事業です。
▼感染拡大防止策と医療提供体制の整備に405億円。
医療機関は、感染者を受け入れるためにあらかじめベッドを空けています。それに対する補助などです。
▼県民生活の支援に30億円。
妊婦に対するPCR検査の費用の補助などです。
▼県内産業などへの支援に1169億円。
中小企業や事業主がいまの仕事を続けたり、新しい分野に進出する支援をするための融資制度などです。
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新型コロナ以外には、
▼妊娠しても流産や死産を繰り返す「不育症」の検査費用を助成する事業
▼不妊治療費の助成を大幅に拡充する事業
▼約20年ぶりとなる新たな工業団地の造成
▼県立学校で先端技術を活用した教育を行う事業
▼茨城が誇る「くり」のブランド化を進める事業
などがあります。

【県のお財布、大丈夫?】

県の新年度の当初予算案は、今年度よりも1322億円、率にして11点4%増え、過去最大規模を更新しました。
そうなると気になるのが、県の財布の中身です。
県の「歳入」、つまり“収入”を見てみましょう。
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県の新年度の“収入”は、1兆2952億円です。
「県税」は県民や企業が納める税金で、家計でいうところの給与所得です。こちらが3607億円。

「地方交付税」は国からもらえるお金で、“親からの仕送り”などと例えられることもあります。1868億円です。

「国庫支出金」も分かりやすく言えば“親からの仕送り”ですが、地方交付税と違って使い道が決められています。1756億円です。

一方、「県債」は借金です。債権を発行したり、銀行から借りたりしてまかなっています。1639億円です。

新型コロナによって、地域経済も大きなダメージを受けていることから、企業の収益が減って企業が納める税金が減ることが見込まれています。
新年度の県税は3607億円となっていて、今年度と比べて260億円減る見込みです。

このため県は、行政サービスの水準を落とさないため、「一般財源基金」という573億円ほどの“貯金”から205億円を取り崩して充てることにしています。グラフでは「その他」に含まれています。

県の収入が減る一方で、新型コロナウイルス対策というこれまでにない対応も迫られ、限られたお金をどのように使っていくのかがこれまでになく重要になっています。

私たちが納めた税金がどう使われるのか。県のお金の使い方について、県民ひとりひとりが関心を持ってみていくことが必要になります。

 

取材:鈴木瞬 記者

 

 

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