ことし10月にドイツで開かれる、パン職人が技術を競う世界大会。日本代表として挑むのは、那珂市にあるパン店のオーナーシェフです。
新型コロナウイルスによる売り上げの落ち込みといった試練を乗り越え、地域に明るい話題を届けたいと練習に励むパン職人を取材しました。

【クリームパンが大人気 地域で愛されるパン店】

所狭しと焼きたてのパンが並ぶ、那珂市のパン店です。
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なかでも人気なのは、濃厚な卵を使ったクリームパン。連日、地域の人たちでにぎわっています。

【世界大会へ“明るいニュースを届けたい”】

この店のオーナーシェフの栗原淳平さん(37)は、ことし10月、ドイツで開かれるパン職人の世界大会に日本代表として出場します。
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「コロナ禍になっていいニュースが少なくなってしまった。明るいニュースのきっかけができたら」(パン工房ぐるぐる 栗原淳平さん)

【新型コロナの苦境 友人たちが支えに】

ここまでの道のりは、新型コロナとの戦いでした。
去年5月には、世界大会への切符をかけた最終予選が延期になりました。さらに、外出自粛の影響などで店の売り上げも大きく落ち込み、世界を目指すどころではなくなってしまったのです。

感染対策や従業員の雇用を維持するために奔走するなかで、一時は、最終予選への意欲を失った栗原さん。
背中を押してくれたのは、友人たちからの励ましでした。
「知人や友人が過去いちばん多かったと思うぐらいメッセージをくれて、すごく励みになりました」(栗原淳平さん)

当初の予定より4か月遅れて、去年9月にようやく行われた国内最終予選。
気持ちを新たにして臨んだ栗原さんは、富士山や日本刀など複雑な形の“飾りパン”で日本のイメージを表現。このほか定番のバゲットやクロワッサンなど、100個以上のパンを作り上げました。
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パンの味はもちろん、短時間に多くのパンを作る手際の良さ、芸術的なセンスなどが高い評価を受け、茨城県の職人として初めて世界大会への出場を決めました。

【新型コロナで練習にも支障】

世界大会には、東京の職人とペアを組んで出場します。
8時間という制限時間の中で、課題として示されるバゲットなどのパンのほか、「アニマルワールド」をテーマに独創的なパンを作ることが求められます。
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チームワークが重要となるため、本来なら一緒にパンを作りながら息を合わせていくはずが、今回はコロナの影響で、オンラインでの打合せ程度しかできずにいます。

【もらった『エール』の恩返しを!】

ひとり、閉店後にトレーニングに励む栗原さん。
栗原さんを支えているのは、ここまで応援してくれた仲間たち。そしてもうひとつ、とっておきの力の源があります。

小学6年生の長女が、世界大会に挑む栗原さんに、応援のメッセージとなる詩を書いてくれたのです。
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「応援の詩をもらって、胸にぐっときてしまって、スマートフォンの待ち受けにしています」(栗原淳平さん)

多くの人からの『エール』に支えられた栗原さん。今度は明るい話題を届ける側になりたいと、挑戦を続けます。
「大会で目指すのは世界一だけです。どうせやるんだったら、やれることを全部やって一番を目指さなければ意味がない。その様子を皆さんに見てもらって、喜びや励みになってもらえたら最高です」(栗原淳平さん)

取材:三輪 知広記者

 

 

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