3年前、神奈川県座間市のアパートで若い男女9人の遺体が見つかった事件。被害者はSNSを通じて被害に巻き込まれていました。
茨城県内でもSNSを利用した犯罪は後を絶たず、未成年も被害にあっています。
子どもたちを犯罪から守るにはどうすればいいのか、取材しました。

【SNSで警察が“直接”警告】

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茨城県警察本部がことしから始めた「SNSパトロール」です。
女子高生を示す「JK」や、「裏アカ」といったキーワードで検索し、援助交際を呼びかけるものなど不適切な書き込みを見つけると、警察が直接、警告のメッセージを送ります。

軽い気持ちで送った写真などを元に脅され、犯罪に巻き込まれてしまう子どもが多い中、警告文を送ることで犯罪を未然に防ぐのが狙いです。

1日15件ほど警告のメッセージを送っていますが、問題のある書き込みはなくなりません。

「毎日毎日新しいツイートが書き込まれているので、それに対して根気よく注意喚起を繰り返している」(警察官)

 

【被害過去最多に “把握はごく一部”】

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県内でSNSをきっかけに犯罪に巻き込まれた未成年の人数の推移です。
去年は35人と、過去最悪に。被害にあったのはすべて女子中学生や高校生で、児童ポルノなどの性被害が大半を占めています。

警察は、被害にあったことを言いだせない子も多く、把握できているのはごく一部にすぎないと推測しています。

 

【子どもたちに危険性訴える】

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警察は、高校や中学校を訪問する活動もしています。この日は水戸市内の高校で、全校生徒800人を対象に、警察職員がSNSの危険性を訴えました。

「相手が見えないので、文字だけで信じてしまうと、だまされる。みんなが普通に楽しんでいるようなサイトやアプリから犯罪に巻き込まれる高校生がとても多い。つい最近も、9歳の女の子がゲーム機をきっかけに誘拐されたというニュースがありました」(警察職員)

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被害にあわないためにはどうしたらいいのか。特に強調したのは、この3つのポイントでした。
「SNSで知り合った人はもう友達だから、知らない人じゃないから会っても大丈夫、あれだけやりとりをして信じているから大丈夫と言うけれども、SNSだけで知り合った人が本当に信頼できるかどうかは分からない。直接会わない、個人情報を載せない、写真を送らないというこの3つを守ってほしいと思います」(警察職員)

さらに、ふだんからSNSに慣れ親しんでいる大学生のボランティアが、子どもたちにより近い目線から注意を呼びかけました。
「実際に私の友人で、インスタグラムに住所や名前などの個人情報を流してしまった人がいました。一度ネットにあがってしまったものは完全に消すことは出来ません。しっかりそのことを理解して、投稿や書き込みをする前に一度考えてからあげるようにしてほしい」(女子大学生)

生徒たちからは、SNSをきっかけにした犯罪が身近にあることが分かり、怖さを感じたといった声が聞かれました。

「出会い系などの危険だなと思うことにはもともと触れないが、そういうことではなく、ふだん使っているアプリなどからでも危険につながるのは、ちょっと怖いなと思った」(男子生徒)

「県内で、自分の周りでも事件に巻き込まれているというのを聞いて、自分も気をつけなくてはいけないと思った」(女子生徒)

【なぜ被害にあってしまうのか】

なぜ、SNSで知り合った人に会ってしまうのか。
警察は「SNSで知り合った人は名前も顔も知らないので、逆に話しやすさを感じ、周囲に相談できないことも話してしまったり、頼ってしまったりする」としています。

悩んでいるときに優しくされたり、自分がかけてほしいことばをかけてもらえると、相手を信用してしまい、中には「すごく助けてもらった」「大切にしてくれた」と話すなど、被害にあった自覚がない子どももいるといいます。

座間市の事件でも、女性たちはSNSでことば巧みに誘い出されたと見られています。

犯罪心理学に詳しい筑波大学の原田隆之教授は、SNSでのやりとりだけでは、相手が本当に信頼できる人間なのか、専門家でも判断が難しいといいます。
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「相手が何を求めているのか非常に敏感に察知して、相手が言ってほしいことをことば巧みにかけて誘い出す。こういったサイコパス的な犯罪者というのは専門家であってもだまされる。だから、誘いには乗らない、絶対に知らない人とは会わない、ということを原則にしないと、いい人かそうじゃないのかを見極めるのは絶対にできないと思う」(原田隆之教授)

 

【子どもたちを守るために】

子どもたちを犯罪から守るために周囲の大人に気に掛けてほしいのは、子どもたちの変化をよく見るということです。

被害にあった子どもなどのカウンセリングに長年あたってきた専門家は「トラブルに巻き込まれそうだったり、実際に被害にあったとしても、周囲には気づかれまいとひた隠しにする子は多い」と話します。

また、被害にあった子どもは、本人は悪くなくても「自分がもっと気をつければよかった」などと自責感を強く抱いてしまいがちだといいます。

そのような時には、落ち込むといったネガティブな変化だけでなく、多弁になったり、よい子にふるまったりするケースも見られるそうです。

プラスでもマイナスでも子どもの言動に変化があるときには、何らかのサインである可能性があります。

警察は、子どもや保護者などからの相談窓口を設けていて、匿名でも受け付けています。万が一、被害にあったときには、また何らかの不安を感じたときには、抱え込まずに相談してほしいと思います。

少年サポートセンター水戸:029-231-0900
少年サポートセンターつくば:029-847ー0919

 

取材:平山佳奈 記者

 

 

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