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世界が注目!「メタバース」県内でも活用の動きが

執筆者のアイコン画像つくば支局 浦林李紗(記者)
2022年04月22日 (金)

インターネット上につくられた仮想空間「メタバース」が、いま、世界的に注目を集めています。

仮想空間、いわば、現実とは違うもう一つの世界のことをいい、自分の分身「アバター」で参加するのが特徴です。

 この「メタバース」、茨城県内でもさまざまな分野で活用が広がり始めています。その最前線を取材しました。

VRで没入感 業務効率化に

2022年3月、私は、つくば市にある建設会社の研究所を訪れました。
そこには、ゴーグルを付けて何やら不思議な動きをするスーツ姿の男性が…。実は、メタバースを活用したある企業の会議なんです。

20220420u_1.jpg「VR=バーチャルリアリティー」の技術を使えば、ゴーグルの中に見える仮想空間に、まさにいるような感覚を得ることができます。

会議には、自分の分身「アバター」で参加します。
アバターが仮想空間に集まって参加することで、物理空間と同じように人と人とが交流できます。

20220420u_2.jpg手に持ったコントローラーで、空間に線や文字を書くこともできます。

この研究所では、建設分野のさまざまな実験を行っていますが、実験に使う模型の大きさや材質などを決めるために会議を何度も行う必要があり、これまでは東京や大阪にいる担当者がそのつど集まっていました。

しかし、メタバースを活用することで、遠方から毎回集まる必要がなくなりました。

いま行っているのが、実験に使う「窓」を置く位置の検討です。これまでは手元の紙の資料を見ながら検討していましたが、仮想空間上に実物大の窓の模型を表示できるため、VRゴーグルで確認しながら話し合いを進めることができます。

20220420u_3.jpg会議のたびに模型を作り直す必要がなくなり、模型の廃棄を減らすことができるといったメリットもあるといいます。

企業では、今後、メタバースを積極的に活用してさまざまな技術開発を進める予定です。

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(奥村組 川井伸泰 技術研究所長)
実物を使った実験は決してなくなることはないと思っています。ただ、そこに向かうプロセスをもっと効率化していくことに、われわれとしてのメタバースの位置づけがあります。今後は、間違いなくメタバースの導入を進めていくことになると思います。

 

どんぶりが売れ筋? ビジネスチャンスに

メタバースを企業のビジネスチャンスにつなげようという動きもあります。
水戸市のIT企業が乗り出したのは、商品のPRにメタバースを活用する事業です。

販売するのは、茨城県内で生産された茶葉。仮想空間の中に売り場を作り、お客さんのアバターに売り場を探索してもらいながら、商品についての情報を伝え、購入を促します。

20220420u_5.jpg商品に興味を持ってもらえたら、インターネット上で購入してもらうという流れです。

また、仮想空間の環境をより充実させようという動きが広がるのを見越して、アバターが仮想空間の中だけで使えるデジタルの商品を販売する取り組みも始めました。

いすや小物のほか、食品などのデジタルの商品を制作しています。

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(EWORKS 布谷一人社長)
予想しなかったのは、どんぶりが意外と売れていることです。作った私も『何に使うんだろう?』と思いながら売っています。

 

企業では今後も、顧客のニーズに合わせてさまざまなサービスを提供しながら、メタバース事業を広げていくことにしています。

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(EWORKS 布谷一人社長)
コロナ禍で今までパソコンを使わなかった人が使えるようになったりすると、メタバースが加速度的に広がると思っています。いろんなかたちで模索しながらビジネス展開していきたいです。

 

高校生は学校の校舎を…

一方、教育分野でもメタバースを活用しようという動きもあります。

茨城県立竜ヶ崎第一高校の生徒たちは、仮想空間にブロックを積み立てて建築ができる人気のゲーム「マインクラフト」を使って、校舎を再現しています。

20220420u_8.jpg校長先生が生徒たちの制作の様子を見守る中、およそ30分で校長室が完成しました。

学校では、今後、この「メタバース校舎」を活用した入学説明会を開くことを検討しています。学校に興味のある中学生や保護者にアバターで入ってもらえば、学校についての情報を伝えたり、コミュニケーションを取ったりすることができます。

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(茨城県立竜ヶ崎第一高校 太田垣淳一校長)
コロナ禍のなかでも、学校に興味を持っている親御さんや子どもたちに対して実際に足を運んでもらわなくても学校をアピールしたり、メタバース上で学校を歩いてもらったりすることができます。いろんな活用法があると思います。

 

新型コロナウイルスの影響でオンラインでのコミュニケーションが増えていることもあって、一層、注目が高まる、メタバース。

コロナ禍で、遠くに住む親戚との会話や職場での会議はオンラインで、という人も増えていると思いますが、こうしたときにメタバースを使えば、アバターどうしが同じ空間にいるような感覚で交流することができるようになります。

ちなみに、「メタバース」という言葉は、英語で「超越」を表す「meta」と、「宇宙」を表す「universe」を組み合わせた造語です。

アメリカのIT大手で、SNSの運営を手がける「Facebook」が、去年、メタバースの開発を加速させるとして社名を「Meta」に変更するなど、いま世界的にメタバース分野への大規模な投資の動きが進んでいます。

世界の市場規模は、再来年の2024年には8000億ドル、日本円でおよそ10兆円にのぼるとも推計されています。国内外では、仮想空間で歌手がコンサートを開催したり、家族などを招いて結婚式を開いたり、といったことも行われています。

障害があったり、高齢で体が自由に動かせなかったりする人がメタバースで働く、というような未来も遠くないのかもしれません。

リアルのコミュニケーションにしか味わえないことももちろんあると思いますが、メタバースはいろいろな可能性を秘めていそうです。

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