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民間校長で学校が変わる?

執筆者のアイコン画像小堀智子(ディレクター)
2023年04月19日 (水)

これからの時代を担っていく子どもたちをどう育てるのか、また教員の働きやすい環境をどのように作っていくのか、学校のかじ取りを任されるは校長です。
茨城県では4年前から県立の中高一貫校などの校長を民間からの公募で選ぶことを積極的に進めています。
その学校現場を取材しました。


(取材:NHK水戸放送局 小堀智子ディレクター)

学校選びのポイントは民間校長の存在?高まる保護者の期待

20230414k_1.jpg県立竜ヶ崎第一高校・附属中学校の入学式であいさつするのは、公募で選ばれた校長太田垣淳一さん。
外資系企業で組織変革などを行った経験が買われ採用されました。

保護者の中には、太田垣校長の存在が学校選びのポイントになったという人もいます。

(新入生の保護者)

「グローバルな社会に日本を発展させていくうえで必要な教育っていうものをやってくれるんだと思う。希望しかない。」

 「教科書と向き合うだけじゃなくて広い視野で社会をとらえる、そこを期待したいですね。」

 

民間人材の登用 県のねらいは?

20230414k_2.jpg県が公募を始めたのは4年前。計画的に教育を行う中高一貫校を増やす中、これまでに7人が民間から採用されています。

20230414k_3.jpg県教育庁高校教育課 井上剛課長補佐
組織一丸となって子どもたちを育てていくような、うまく組織を運営する力、学校の外にいる人材といろいろなネットワークを持っているので、そういったところにも期待しています。

 

太田垣校長の学校改革①アナログからの脱却

 太田垣校長の改革のひとつが、教員の働き方の改善や情報共有を進めるためのデジタル化です。

20230414k_4.jpgこれまで口頭で伝えていた日々の業務連絡をモニターに表示、いつでも確認できるようにしたり、

20230414k_5.jpg教員全員にタブレット端末を配布。教員同士の事務連絡に活用したり、授業に使う教材をそれぞれが工夫して作成できるようにしています。

(タブレット端末活用する先生)

「図とかもきれいに見やすく出すことができるので、生徒にとってわかりやすい授業につながるのかなと思ってます。」

 

太田垣校長の学校改革②古い体質を打ち破れ

 そして、もうひとつ改革の柱が組織運営のシステムです。

20230414k_6.jpgこれまでの学校組織は、校長以外は横並びで、それぞれの教員が自分たちで調整し、校長に事案の承認を求める形になりがちだったといいいます。

20230414k_7.jpgこれを民間企業と同じようなピラミッド型の組織に変更。学校運営のかじ取りは管理職などのチーム・トップマネージメントが行い、目指す方向性を明確に示します。

 

変革に揺れる教員たち

太田垣校長の進める学校作りに対する教員の反応は様々です。

20230414k_8.jpg

「教育の世界で当たり前だと思っていたことが実はもう、どこもやってないんだとか、労力だけかけて成果が出てないだとかっていうのを、かなりばっさりと切ったっていうところが印象的でしたね。」

20230414k_9jpg.jpg「校長先生の考え方でおもしろそうなところは取り入れていきたいですし、教員のほうで大切にしてきたところは残していきたいし。」

20230414k_10.jpg「まだまだちょっとなじめない部分も率直に言うとあるのかなというような感じはしています。」

 

一方、太田垣校長は。

20230414k_11.jpg太田垣校長
(教員たちの)不安や不満がないわけではないです。時代に合った生徒たちをつくる。最終的にはやっぱり生徒なので、優先度もしっかりとわきまえた上で通すところは通す。

 

成功のカギは相互理解か

 民間人校長が力を発揮するためのポイントについて専門家は。

 

20230414k_12.jpg浜田教授
校長先生がひとりで、自分の目指すべき学校像を掲げてしまうと、思いのほか非常に強いあつれきが生じたりする。できる限り教員と校長との間で相互に理解し合っていくプロセス、先生方一人一人が十分に納得して学校の将来像を理解するところまで持っていく、これを意識することが必要になると思いますね。

さらに行政が校長をサポートする環境も一層整えるべきだといいます。

浜田教授
民間から入ってきた人は、教育界の中では特殊なキャリアの持ち主なので孤立してしまう危険性が非常に高いんですね。校長をサポートしていけるような環境づくり、それが教育行政の側の仕事だろうなと思いますね。

 

 NHK水戸では、今年度、「シリーズ茨城の課題」として、茨城の皆さんの生活に身近なさまざまなテーマを深掘りしていきます。今月から6月までの3か月間は、子育てや教育をめぐる課題を取り上げていきます。

 

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