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子どもが急増のつくば市 高校が足りない

執筆者のアイコン画像つくば支局 平山佳奈(記者)
2023年01月27日 (金)

つくばエクスプレスの沿線を中心に、若い世代が流入し、発展してきたつくば市。

つくば市で、14歳以下の子どもの転入超過、つまり、転入が転出を上回った数は、おととし全国で2番目に多くなりました。

こうした急激な増加で足りなくなっているものがあります。

学びの場、「高校」です。

公立高校が足りない

20230127h_1.jpg1月、つくば市内の会場で、隣の土浦市にある私立高校の入試が行われました。市内の中学3年生を中心に、およそ1000人が受験しました。

 受験を終えた受験生に話を聞いてみました。

つくば市の中学3年生の女子生徒
つくば市は公立高校が少ないので、滑り止めで私立を受けました。
つくば市の中学3年生の男子生徒
県立の高校を目指しているということもあり、つくば市は結構人口も増えたので、もう少し高校を建ててもいいのではと思います。

 

20230127h_2.jpgつくば市内の公立の中学3年生の数は2020年度の時点でおよそ1950人でした。これに対し、市内の公立高校は、中高一貫校を除くと4校で、定員は760人に限られています。私立高校も限られ、多くの生徒は、市の外の学校に通っているのが現状です。

 

20230127h_3.jpgこうした高校不足の課題は、今後ますます深刻化するとみられています。市内にある、小中一貫のつくば市立学園の森義務教育学校は、2200人以上の児童・生徒を抱える日本一のマンモス校です。

 

この学校では、中学3年生にあたる9年生は4クラスですが、小学1年生は10クラスもあります。人数はおよそ2点5倍です。

 

20230127h_4.jpgつくば市の子どもの年齢別の構成です。

低学年になるほど子どもの数が増えています。

2020年度の時点でおよそ1950人だった中学3年生は、2030年度には、2700人を超えると試算されています。

 

20230127h_5.jpg

こうした事態を受けて、去年、地域の住民団体が県に高校の新設などを要望しました。

 

20230127h_6.jpgこれに対し、県は元々ある高校の定員を増やす考えを示していますが、新たに高校をつくるのは、県全体では少子化が進む中で難しいとしています。

また、つくば市は、つくば市立の高校を新設することについて、小中学校もさらに増やさなければいけない状況で、財政的に厳しいとしています。

20230127h_7.jpgつくば市の保護者のなかには、高校受験に不安を抱く人もでています。3人の子どもを育てる吉岡久美子さんの小学4年生の娘は、市内の中高一貫校を受ける予定でいま、塾に通わせています。しれつな戦いが見込まれる高校受験を避けたいという思いがあると言います。

 

20230127h_8.jpg三姉妹の母 吉岡久美子さん
今後子どもが増えているところに受験をするという状況で、公立高校に合格できるかというところがまず1つ心配です。子どもたちが安心して進学先を選ぶことができるように、環境を整備していただきたいと思います。

 

20230127h_9.jpg地元の教育事情に詳しい塾の経営者は、つくば市が子育てのしやすい魅力ある街であるために、高校不足の解消が欠かせないと指摘します。

 

20230127h_10.jpgつくば市の学習塾代表 谷口博昭さん
例えば隣の県とか、都内なども含めて、受験の時期になるとつくばから子どもたちが出て行ってしまう。せっかく子どもが多い活気ある街であるところが打ち止めになってしまうのではと感じています。つくばエクスプレスの沿線でも千葉や埼玉など、すごく発展している街は多いと思うので、そのような中で、つくばが負けないでほしいと思います。

 

子育て世代の流入は、コロナ禍でリモートワークが進んだこともあり、つくばエクスプレス沿線全域で、加速してきました。
子どもや若い世代が増えると街に活気がでますが、同時に、子育てがしやすい住みやすい街作りがいっそう求められていくと感じました。

 

 

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