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22年前の「スーパーマルヤ事件」遺族の思い

執筆者のアイコン画像藤田梨佳子(記者)
2022年07月01日 (金)

ふとしたことで、今も思い出します。

町で、おじいちゃんと孫が歩いているのを見たりすると、「もう大樹の子どもを見ることができない」という事実が頭をよぎって涙が出るんです。

22年ね……。そろそろ捕まってもいいよなあ。

暴行によって奪われた命

20220701f_1.jpg茨城県牛久市に住む藤井康子さんは、平成12年5月、当時17歳だった息子・大樹さんを失いました。
大樹さんは、牛久市のスーパーの駐車場などで4人の男から暴行を受け、9日後に息を引き取りました。 

暴行を加えた4人は今も逃走中で、大樹さんから現金を奪っていた疑いもあることが分かりました。警察は強盗致死事件として捜査を続けていますが、現在も未解決のままです。 

最後の会話は「暇してる」

20220701f_2.jpg事件があった日、康子さんたち一家は、仕事があるという大樹さんをひとり自宅に残して、県外に出かけていました。

康子さん
大樹はその後仕事がなくなったらしく、昼頃に電話がかかってきて、私が「何してるの?」と聞いたら、「暇してる」と言っていました。これが最後の会話でした。

それから、康子さんはそのまま実家に泊まることにしました。その夜、先に自宅に戻っていた夫から突然連絡がありました。

「大樹が危ない。迎えに行くから急いで準備して」

突然のことで、康子さんはわけも分からず病院に駆け付けました。そのとき目にした大樹さんの姿を、今でも忘れられないといいます。

康子さん
顔がパンパンに腫れあがり、管が頭にいっぱいついていて、「誰?」と思いました。頭の半分はぐちゃぐちゃになっていて。息子の姿が本当にショックで、ぼんやりと「警察が来ているな」と思いましたが、その理由が考えられませんでした。後になって警察から、コンクリートに強く打ち付けられて、そのあと何度も頭を攻撃されたと聞きました。「なぜそこまでするのか」と思いました。

それから9日後、大樹さんは息を引き取りました。

「大樹がいない……」

20220701f_3.jpg大樹さんの告別式が終わったあと夫は仕事に復帰し、康子さんは今までどおり牛久駅まで仕事へ行く夫の送迎を再開しました。

康子さん
大樹が亡くなるまえ、いつも私が旦那を送って帰ると大樹が玄関のところに立っていて、「お母さんお小遣いちょうだい」と言ってくるんです。告別式が終わって初めて夫を送った日、大樹がいるはずの玄関に誰もおらず、つらくなりました。

康子さんはこの時改めて、大樹さんがいなくなってしまったことを、身に染みて感じたといいます。

支えになったもの

20220701f_4.jpg大樹さんが入院しているとき、友人たちが何度も病院を訪れ、寄せ書きを書いて励ましてくれました。

2枚の寄せ書きには「早く元気になって」など、たくさんの応援の言葉が書かれています。
友人たちの存在は、大樹さんが亡くなったあとの康子さんの心の支えになりました。 

康子さん
告別式の出棺の時、友人たちが大樹に『藤井まだ間に合うぞ』『もどってこい』と声をかけてくれたのを聞いて、頑張らないとと思えたんです。

20220701f_5.jpgさらに、大樹さんが迎えることができなかったその年の18歳の誕生日。
友人たちは大樹さんの誕生日会を開き、康子さんを招待してくれました。

康子さん
たくさんの友達が集まってくれて、私たちに対しても普通に接してくれました。無言で「おじさん、おばさん、僕たちそばにいるよ。頑張ろうね」と励ましてくれている気がしました。大樹はいなくなったけど、その代わりたくさんの娘、息子ができたみたいで、本当に支えてくれました。

今も友人たちは、お墓参りに行ってくれているそうです。

康子さんの焦り

20220701f_6.jpg事件から22年。
康子さんは、犯人の逮捕と事件の真相解明を願い続けてきました。 

事件の起きた5月には毎年、情報の提供を求める活動を駅などで行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染の拡大で、去年とおととしは活動の自粛を余儀なくされました。

康子さん
コロナの感染者数が多くなっているため、キャンペーンができないという話を警察から聞いたとき、とてもがっかりしました。なんでコロナ禍なんて起きたの、と思いました。活動の機会がなくなってもどかしかった。

ことしは5月に、3年ぶりに情報提供を呼びかける活動を行うことができましたが、康子さんはいま64歳。

なんとしても事件の解決につながる手がかりを得たいと、思いを募らせています。

康子さん
事件の当時はまだ若かったけど、20年以上もたって年をとり、これで見つからないまま私が死んでしまったら、悔いが残ってしまいます。なぜ事件に巻き込まれたのか、状況を自分自身の中で把握しないことには先に進めません。一刻も早く、犯人が逮捕されることを願っています。

小さなことでも情報提供を

警察によりますと、最近は寄せられる情報が少なくなっているということで、「どんなに小さな情報でも事件解決につながる可能性があるので、積極的に連絡してほしい」と呼びかけています。

事件に関する情報の連絡先
・竜ケ崎警察署 0297-62-0110
・茨城県警察本部 捜査第1課 029-301-0110
・茨城県警察本部メールアドレス keikeisou@pref.ibaraki.lg.jp

 

 

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