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TXって本当に延伸するの!?

執筆者のアイコン画像鈴木瞬(記者)
2022年04月21日 (木)

つくばエクスプレスは果たして延伸するのか、どこに向かうのか。いま、この話題がにわかに注目されています。

延伸の可能性や課題について県政担当記者が取材しました。

なぜいま話題に?

茨城県つくば市から千葉県と埼玉県を経由し、東京・秋葉原へとつながるつくばエクスプレス。都内への通勤・通学に利用する人も多く、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年には、1日の平均利用者数が40万人近くに上っています。

秋葉原から先、東京駅方面への延伸と、茨城県内での延伸の2つの話がありましたが、開業から17年を迎えることし、にわかに茨城県内での延伸の議論が盛り上がりを見せています。

 きっかけは、茨城県が今年度・令和4年度の当初予算に、県内の延伸について調査・検討する事業費1800万円を初めて盛り込んだことでした。

延伸先は4方面

県が延伸先として示しているのは、筑波山方面、水戸方面、茨城空港方面、それに土浦方面の4つです。

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この4つの方面は、2018年に策定された茨城県の県政運営の指針となる「総合計画」で、2050年ごろの茨城県の構想として初めて明らかになりました。

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県は、4つの方面それぞれについて需要の予測や必要となる事業費、それに収支の予測や延伸したことによる地域経済への効果を調査することにしています。

調査は国の調査・研究機関に委託することを想定していて、調査の結果は有識者などによる第三者委員会を開いて検討します。

そして、県民からも意見を募る「パブリックコメント」を行った上で、来年3月には、延伸する方面を1つに絞り込みたいとしています。

なぜこの4方面?

なぜこの4つの方面が延伸先に挙がったのか、県を取材しました。

このうち、もっとも歴史が古いのは水戸方面で、1978年に示された「第二常磐線」構想に遡ります。

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「第二常磐線」構想は常磐線の混雑緩和策として打ち出されたもので、水戸市から石岡市、つくば市を通って東京に向かうという案です。

この構想から7年後の1985年。つくば市では国際科学技術博覧会が開かれ、地域は大きく活気づきました。

この盛り上がりを地域のさらなる飛躍につなげようと、構想は「常磐新線」へと姿を変え、いまのつくばエクスプレスの開業につながったのです。

一方、地元の熱意によるものが、茨城空港方面と、土浦方面です。

筑波山方面は、つくば市が延伸について調査を行っていたことなどから盛り込まれたということです。

県が挙げている、各方面の延伸のメリットです。

筑波山方面は、登山などに訪れる観光客を増やすための観光振興。
水戸方面は、県庁がある水戸市と結ぶことで県北振興につながることを挙げています。
茨城空港方面は、空港を利用する観光やビジネス目的の人の移動手段になりえるとしています。
土浦方面は、JR常磐線と直結することで利便性が飛躍的に向上するとしています。

4方面、それぞれの思惑

県が延伸する方面を1つに絞るとしたことを受けて、延伸を期待する地域では動きが活発になっています。

土浦市は、3月に策定した市政運営の指針のなかで、延伸の実現を目指すと明記。4月、商工会議所などと「TX土浦延伸を実現する会」を発足させました。

県に要望を行うことや6月に決起大会を開くこと、看板やチラシを作ったりして延伸の機運を高めていくことなどが決まり、4月に行われた「かすみがうらマラソン」では、スタート地点に啓発のぼり旗を掲げたということです。

小美玉市は市議会が中心となって毎年、県や県議会に要望していて、ことしも力を入れて行うとしています。
水戸市も延伸に向けた対応について検討を始めているということです。
一方、つくば市は現在、筑波山方面への延伸について要望は行っておらず、東京駅への延伸を求めています。

本当に延伸するの?

延伸を実現するうえで最も大きな課題は、巨額になると見込まれる建設費用です。
開業時の建設費用は、およそ8000億円でした。

延伸する場合、法律で踏み切りを新たに設置することはできないため、トンネルを掘って地下を通すか、高架にする必要があります。
県などによりますと、地下を通すと工事費用が莫大になるため、現実的ではないということです。

一方、高架にする場合でも費用はかさみ、地主の許可を得ることも必要で、ハードルはかなり高いといいます。
茨城県のほか、延伸先となる市町村、それに沿線の東京都と千葉県、埼玉県も関わってくるため、費用の負担をどうするのかは難しい問題です。

取材を進めてみると、市町村などの担当者たちも、費用がかさむことを理由に延伸の難しさを実感していることが分かりました。 

延伸の現実味についてつくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道に聞きましたが、「茨城県で行われている議論であり当社としては関与していないので、コメント差し控えさせていただきます」としています。

議論するための情報を

県が今年度中に延伸先を絞り込むとしたことで突然熱を帯びた、延伸の議論。4月に開かれた「TX土浦延伸を実現する会」の会合では、参加者たちから、延伸についての情報不足を指摘する意見が相次ぎました。

市町村の担当者たちも一様に、情報が少ないことを嘆いていました。

つくばエクスプレス延伸は、知事選挙や各地の首長選挙で繰り返し公約に掲げられてきましたが、具体的に動き出すことはありませんでした。

どこに延伸するべきか。そもそも、人口減少が進むなか、巨額の費用をかけて本当に延伸する必要があるのか。費用を負担するのは、誰なのか。

延伸の議論に乗り遅れるなとやみくもにヒートアップするのではなく、つくばエクスプレスが県の発展や私たちの暮らしにとってなくてはならない交通手段となるために、今回の県の調査で、延伸について考えるための情報が提供されることが期待されます。

 

 

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