6歳の挑戦 初めてのヘアドネーション
日立支局 相野台弘(記者)
2022年04月18日 (月)

6歳の女の子の初めての挑戦です。挑戦したのは、「ヘアドネーション」。
病気の治療や薬の副作用などで髪の毛を失った人たちが医療用のかつら=ウィッグをつけられるよう髪の毛を切って寄付する取り組みです。女の子に挑戦のきっかけを与えたのは、美容師の伯母。伯母とめい、2人の「ヘアドネーション」を取材しました。
きっかけは「みきちゃん」
常陸太田市に住む6歳の窪田心音(ねお)さん。この春、こども園を卒園し、小学校に入学するにあたって、生まれてから6年間のばしてきた髪を寄付しようと、初めてヘアドネーションに挑戦することにしました。
心音さんに、どうしてヘアドネーションに参加したのか、聞いてみますと。
みきちゃんに聞かれたから
みきちゃん、とは伯母の黒羽美希子さんです。黒羽さんは美容師で、めいの心音さんの髪の手入れをずっとしています。
今回、黒羽さんが、心音さんのヘアドネーションへの挑戦のきっかけを作りました。
黒羽さんがヘアドネーションへの関心を深めたのは、およそ10年前、乳がんで抗がん剤治療を行っていた夫の母の髪を切ったことでした。
一くし入れたときの感覚というのでしょうか、『こんなに抜けてしまうんだ』という。女性にとってみれば、髪の毛って大事なファッションであったり容姿であったり、そういうところですごく大きく占めるところだと思うのですよね。何か活動ができればなと思いました。
ウィッグをつけることによって、夫の母は気持ちに変化が生まれ、外出もできるようになりました。その姿を見て黒羽さんはヘアドネーションの大切さを改めて感じたといいます。
その後、お店のお客さんにもヘアドネーションを呼びかけてきた黒羽さん。髪を寄付することで、病気の人たちの助けになることを知ってもらいたいと今回、心音さんを誘いました。
3月22日、心音さんの髪を切る日がきました。
どきどきする
生まれてから6年間1度も切っていない髪。腰のあたりまでのびています。
今回のヘアドネーションは、髪の毛の長さが31センチ以上必要です。髪を6つの束にわけ、いよいよ髪を切っていきます。
寄付する髪を大切に思ってもらおうという黒羽さんのすすめで、心音さんも自分の髪の毛を切りました。そして、残りの髪も家族が切っていきます。
は~い終わった。きれいな髪でしょ、ほら。
心音さんの初めてのヘアドネーション。無事に終えることができました。
うれしい気持ち。きれいに使ってほしい。
自分で髪の毛を切るって、あまりないことなので、そういう体験をさせてあげられてよかったなと思います。願わくは、小児がんや髪の毛のない子どもたちに、本当にほしい方にウィッグが届けられれば、やったかいがあります。
切った心音さんの髪は、専門の会社に送られてウィッグの製作が行われ、必要な方に届けられるということです。
取材した黒羽さんによりますと、寄付された髪など人毛は絡まず、静電気も起きにくく、装着したときの見た目も自然に見えるということです。
ヘアドネーションはNPO法人などの団体が主催していて、団体ごとに条件が違っていますが、髪の毛の長さが31センチ以上としていることが多いということです。一方で、団体によっては色を染めていたり、白髪が混じっていたりする髪についても寄付することができる場合があるそうです。
各団体のホームページで賛同するサロンや美容室について確認できますが、個人で行っている場合もあるので、興味を持った方は、近くの美容室などに問い合わせてみてください。