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激変!茨城県の高校入試 なぜここまで変わったのか

執筆者のアイコン画像佐藤志穂(記者)
2022年03月23日 (水)

今月3日に行われた、茨城県の県立高校の入学試験。去年の試験では大量の採点ミスが見つかり、県教育委員会はことしから採点方法を大幅に見直すとしていました。しかし、それ以上に大きな変化があったのが、出題方式でした。

(3月14日放送)

【“激変”した高校入試】

ことしの高校入試の問題を見て、取材した記者はその変貌ぶりに驚きました。
茨城県の入試は記述式問題が多いという印象だったのですが、それが大幅に減っていたのです。

例えば、国語の問題です。去年は、解答を150文字以内でまとめるものなど、100点満点のうちほぼ半数を記述式の問題が占めていました。

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一方、ことしはほとんどが記号を選んで答える問題となり、記述式問題は、漢字の読みがなを答える3問だけでした。

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社会や英語などほかの科目でも、記号で答える問題が大幅に増えていました。

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【採点ミスを受け再発防止策は】

去年、茨城県の高校入試では大量の採点ミスが発覚しました。

ミスの要因として現場の教員からは、「思考力や表現力などを見る」として記述式問題が増えたことにより採点が難しくなっていることや、採点が長時間に及ぶことによる疲労や不注意などが上げられていました。

このため、県教育委員会は、再発防止策として、解答用紙をコピーして2系統で採点する、得点を記入する専用の欄を解答用紙に新たに設ける、合格発表後に不合格だった受験生には解答用紙の写しを送付する、などの対策を打ち出していました。

【激変背景 採点ミス再発を恐れた?】

なぜ、出題方式も大きく変更されたのか。県教育委員会は、「採点ミスはあってはならないというのがひとつの問題作成の基準になっている」としています。

ただ、出題方式が大幅に変更されることは、県教育委員会が示した再発防止策では明言されていませんでした。

通常、受験生は、過去の問題から出題傾向などを踏まえて試験に備えます。塾関係者などによりますと、入試の直後、受験生たちからは困惑の声が聞かれたということです。

神奈川県の県立高校の採点ミスで、第三者委員会の委員長として再発防止策を検討した放送大学の田中統治特任教授は、受験生や県民への説明が必要だとしています。

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(放送大学 田中統治特任教授)
「受験生にとっては大変驚きだったのではないかと思うし、いまの2年生も自分の時の入試はどうなるのかと不安を感じているだろう。採点する側の都合による変更ということなので、県民に対する何らかの説明が必要ではないかと感じている。採点ミスの問題は、高校入試のあり方まで含めて検討する必要性を浮き彫りにしたと思う」

【記述式問題なくても大丈夫?】

もうひとつ気になるのが、記述式の問題を大きく減らしてしまったことで、論理的な思考力や表現力をきちんと見ることができるのかという点です。

県教育委員会は「選択式といっても論理的に考えないと答えられない問題になっていて、思考力などを問うことができる」と説明しています。

しかし、教育関係者からは、これまでの記述式の問題を高く評価し、選択式重視への変更を疑問視する声も上がっています。

坂東市で学習塾を経営している倉持裕一さんは、次のように話しています。

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(学習塾経営 倉持裕一さん)
「全国的にみると、他の県が茨城県の記述式重視の出題方式を追いかけているようなところがあったので、今回の出題方式の変更は逆行したという気はする。採点ミスとのバランスの点では出題する側も苦悩の選択だったのかと思うが、選択式と記述式のバランスを取ってほしい。そうしないと書く力が衰えてしまうのではないか」

また、出題方式が変わった要因について、こうも見ています。

(学習塾経営 倉持裕一さん)
「各高校、採点ミスをしない自信は持っていたとしても、記述問題の採点について学校の裁量がどれくらい認められるかというところが難しかったのではないか。不合格者に解答用紙の写しを送付し、記述問題の採点について指摘や疑問を受け出したら、きりがなくなってしまうので、結局選択式の問題にせざるを得なかったのではないか」

【入学試験 誰のため?何のため?】

ことしの出題方式が今後も続いていくのか、今後の受験生は気になる点だと思います。
もちろん採点ミスはあってはならないものですが、受験生が安心して入試に臨めるよう、県教育委員会は、子どもたちにどんな力をつけてほしいと思っているのか、入試ではどんな力を問おうとしているのかなど、説明する責任があると感じました。

 (取材:佐藤志穂 記者)

 

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