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逆風の米農家 城里町のコメを未来へ

執筆者のアイコン画像三島早織(キャスター)
2022年11月17日 (木)

新米の季節がやってきました。茨城は「関東の米どころ」と呼ばれるほど生産が盛んですが、今回ご紹介するのは城里町のお米です。
町では給食で地元産のブランド米が振る舞われ、児童と生産者が一緒に味わいました。
そこには、こだわって作るコメの魅力を地元の子どもたちに知ってもらいたいという米農家の切実な思いがありました。

老舗料亭御用達!城里町のコメ

水戸市にある創業150年の老舗料亭で提供されているのが、城里町で作られているブランド米「ななかいの里コシヒカリ」です。
羽釜で丁寧に炊いたコメは、ふっくらしていて粘りがあり、甘みが強いのが特長です。

 

2022116m_1.jpgこの料亭には県外からの客も多く、選び抜いた地元産の食材を使っています。ななかいの里コシヒカリを仕入れるようになったのは1年前。
料理長の相田さんは、その魅力を次のように語ります。

 

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山口楼 本店 料理長 相田昌弘さん
いろいろ試してみたけれど、やっぱりここのお米が一番おいしかった。といでいる手触りが全然違います、滑らか。いつまでも触っていたいような感じです。お米を普段から意識されている方は特においしい、全然違うと言ってくれます。食べた後も余韻が残って次の日までおいしかったなという印象が残るお米です。

 

逆風の米農家

このコメの生産者のひとり、盛田守さん。生産研究部会の部会長をつとめています。盛田さんたちの狙いは品質のいいコメを作ること。量より質を重点としたコメ作りを心がけています。

城里町の七会地区は土地の8割を森林が占める山里で昼夜の寒暖差が大きく、甘みの強いコメを育みます。盛田さんたちがこだわっているのは水の管理を徹底すること。稲の生育の途中で一度水を抜くことでしっかりと根を張る丈夫なコメを育てます。細やかな水の管理で丁寧に作られたコメは評判を呼び、全国のお米コンテストで日本一にも輝きました。

 

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しかしそのコメ作りに今、逆風が吹いています。ウクライナ情勢や円安の影響で燃料のコストが上昇。盛田さんのところではコンバインの軽油代など、生産コストが2割ほど増える見通しです。さらに部会員の平均年齢は72歳と、高齢化にも歯止めがかかりません。

 

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ななかいの里生産研究部会 部会長 盛田守さん
残念なのは後継者がどこにもいないこと。しかし今コメ作りを辞めちゃうと草がボーボーになっちゃって耕作放棄地になっちゃう。そうすることによって今度は住む人もいなくなっちゃう。だんだんさびれちゃう。そういうのを少しでも止めたいと思って頑張っています。せっかくみんなが作ってきたおいしいお米をやっぱりずっとこれからも残しておきたいです。

 

地元自慢のコメを未来へ!

城里町のコメを未来につなぎたい―。盛田さんは地元の子どもたちにコメの魅力を知ってもらおうと、給食に新米を振る舞うことにしました。子どもたちの両親のほとんどは会社勤めで、地元の子どもたちにとっても地域の農家と直接触れ合ったり、一緒にお米を食べたりすることは貴重な機会です。

 

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盛田さんは子どもたちに「おいしいお米を作ってみんなに食べてもらおうということで日々努力をしています。ゆっくり味わって食べてもらいたい。」と話しました。

コメを食べた子どもたちは口々に、「もちもちしておいしい」「甘くておいしい」と言ってぺろりと平らげました。

 

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給食中、こんなやりとりがありました。

児童
家の前にホタルがいます。
盛田さん
ホタルが出るような田んぼや川は水がきれい、ホタルが出るようなところで作るお米はおいしいよ。

これこそ、盛田さんが子どもたちに伝えたいことの一つでした。

 

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盛田さん
子どもたちが喜んでお米がおいしいと言っていただけたんで自分たちもこの企画をしてよかったと思います。自分たちの住んでいるところではこういうおいしいお米ができるんだと言うことを一つ誇りに思っていただきたい。次の世代にお米のおいしさを伝えていければいいなと思います。

 

児童からは、最後にこんなあいさつがありました。

児童
ふるさとにこんな素晴らしいお米があることに感謝し、たくさん食べて丈夫な体を作っていきたいと思います。
きょうはありがとうございました。

 

【取材後記】

給食を通して、子どもたちはお米のおいしさはもちろん、地元の風土の良さを再発見していました。

ある児童が「お米を作るのに何回手間がかかりますか?」と質問していて、盛田さんは「米という字は八十八という文字からできていて、それだけたくさんの細かな作業がある」と伝えていました。
また、子どもたちにとっては通学中いつも目に入っている田んぼですが、「近くでこんなにおいしいお米があることを知ってうれしい」という声もあって、普段何気なく食べているコメや農家さんの苦労に思いをはせている姿も印象的でした。

 

 

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