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父の期待には応えられない・・・40代男性の決意

「父にカミングアウトをしたいけど、受け入れてくれるのかはわからない…」たとえ家族であっても自身のセクシャリティを伝えられずにいる、そんな生きづらさを抱えている人たちがいます。

特集番組「プロジェクトエイリアン」では、さまざまな属性の人たちの交流を描き、分断の解消を探っていきます。今回は参加者の1人で、父親から「男は結婚して一人前、子どもを持って一人前」と言われて育ってきたと語るダイゴロウさん(44歳/仮名)に話を聞きました。

(「プロジェクトエイリアン」ディレクター 中村貴洋)

『プロジェクトエイリアン』

2023年3月23日(木)午後10:45~11:30(NHK総合)
放送から1週間 NHKプラスで見逃し配信

初対面の相手を“敵か?味方か?”と見てしまう

ダイゴロウさんは中学生の頃に自分がゲイであることを自認しました。同級生からは「口調が女性っぽい」、「クラスの女性と仲が良くて鼻につく」といじめを受け、それを機に生きづらさを感じ始めたと言います。

ダイゴロウさん

「授業中に上履きが飛んできたり、無視されたり。ゲイとして生きてきて“気持ち悪い”って言われることはよくあるんですけど、ちょっと悲しいですよね。本当は人が好きだし、仲良くなりたいって気持ちはあるんですけど、いじめられた経験から初対面の人を、敵か味方か、みたいな見方から入るようになってしまいました」

ダイゴロウさん
ダイゴロウさん

「もしゲイだから関わりたくないと思われたら、自分自身は悲しくなります。腹は立たなくて、ただただ悲しくなる。ゲイは少数派って言われていますけど、LGBTの人の割合は世界の人口の10分の1ともいわれますよね。完全に関わらない、気持ち悪いから近づかないというのは無理なはずなのに…。自身のアイデンティティは変えられないし、別に病気じゃないからね。自分はゲイとして生まれてゲイであることが普通だと思って生きてきたので、それがやっぱり普通じゃいられなくなっちゃう世の中だと思うと悲しいですね」

無力感に襲われてきた人生

いじめが原因で同級生に無視をされ続け、何事にも臆病になってしまったというダイゴロウさん。
本気で何かを成し遂げられる人間になりたい…そう願いながらも、変わらないまま時間が過ぎていきました。

ダイゴロウさん

「いじめにあってから無力感にさいなまれてしまって。それまでは目立ちたがり屋で生徒会長も務めたり、歌が好きで歌手になることも夢見ていたんですけど、本気になって何かをやり遂げることに臆病になってしまい、いつの間にかその夢も諦めていました」

歌うダイゴロウさん
(今でも歌うことだけは好きだというダイゴロウさん。幼い頃は歌手を目指していたが、いつの間にかその夢も諦めていた)

高校卒業後、会社員として働き始めたダイゴロウさん。大人になっても無力感に襲われることがしばしばあると語ります。

ダイゴロウさん

「何か決めてやろうとするけど、長続きしないんです。無力感というか、諦めというか。たとえば体を鍛えているゲイの方がいると思うんですけど、自分もそれに憧れてジムに入会したんですが、会費だけ何ヶ月も払って1回も行っていないです。あと仕事のために資格取得を挑戦しようと思っているのですが…今本棚に見えているだけでも参考書が5,6冊あるんですけど、全然きれいですよ。手垢もついてない。本当、情けないですよ」

きれいな参考書
ダイゴロウさん

「子どもの頃は、磨けば光るダイヤぐらいの気持ちでいましたけど、大人になって磨いてもダイヤにはなんないなって。でも、今だったら間に合う、今だったら間に合うっていうのを、延々と思っているんですよ。だから、どうやったら変われるのかずっと悩んでいます」

大嫌いな父親への“負い目”

ダイゴロウさんは、これまで、本来の自分として生きていく術として、受け入れてくれそうな相手であればできるだけカミングアウトするようにしてきたといいます。父親にもいつかカミングアウトしたいと思ってきましたが、父に昔言われた言葉が妨げになっているといいます。

ダイゴロウさん

「昭和気質で大酒飲みの父親で、ほとんど家に帰ってこなくて。家に帰ってきては酒ばっか飲んで暴言吐いたりしていて。自分と父の関係は、水と油みたいな関係で、会えばケンカばっかり。今はもう距離を置いているんですが、そんな父でも尊敬できる部分は一つあって。父は仕事で土建業を経営していたんですよね。それはやっぱりスゴいなって素直に思っています」

川沿いを歩くダイゴロウさん
ダイゴロウさん

「父にはいつかカミングアウトしたいと思っているんですが、受け入れてくれるかが不安で。昔、父に言われた言葉がずっと引っかかっているんです。“結婚してはじめて一人前、子どもができて人間として一人前”だと、ずっと言われてきたんですよね。やっぱ…結婚というプレッシャーをずっと背負ったまま生きてきて。ただ、やっぱり無理なものは無理ですし…そこで人生ってなんなんだろうって思ってしまったんです」

住宅地を歩くダイゴロウさん

自分を変えるキッカケをずっと探している

ダイゴロウさんはこれまでの自分から変えるキッカケをずっと探し続けてきたといいます。そんな中、NHKの番組「プロジェクトエイリアン」に参加することを決意しました。自分が何者かを伏せたままVR空間上でエイリアンのアバターに身を包んで他者と交流していく番組内容に魅力を感じたと話します。

ダイゴロウさんのアバター
(ダイゴロウさんが自分で考えたアバターのデザイン。「中途半端な自分を表現したかった」と語る)
ダイゴロウさん

「普段から変われるキッカケが欲しくて、本当に悩んでいます。人生観とか人生の引き出しが少ないので、この機会がヒントになればと思って参加したいと思っています。ラストチャンスだと思っています」

プロジェクトエイリアンの画像

現実社会では交わることのなかった4人のエイリアンは、VR空間上で一体どのようなコミュニケーションをとっていくのか。そして自分が何者か、相手が何者かわかったときコミュニケーションに変化はあるのか。
番組は、3月23日(木)よる22時45分から総合テレビにて放送予定です。見逃した方はぜひNHKプラスでもご覧ください。感想・ご意見もお待ちしています。

『プロジェクトエイリアン』

2023年3月23日(木)午後10:45~11:30(NHK総合)
放送から1週間 NHKプラスで見逃し配信

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