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大工不足でリフォームやリノベーション、新築工事のトラブル増加!? 住宅診断士が教える回避術 

リフォームしたのに欠陥だらけ、大工不足で新築工事が遅延!引っ越しが決まっていたのにどうしよう…。そんなトラブルに遭わないためには、どうすればいいのか、専門家に聞きました。

(クローズアップ現代取材班)

【関連番組】NHKプラスで7/9(火) 夜7:57 まで見逃し配信👇

友田雄俊さん / さくら事務所 建築士/ホームインスペクター(住宅診断士)

施工ミスはゼロにはならない

住まいに関する工事では大工や職人など多くの人が関わります。人がやることである以上、ミスは一定の確率で発生します。当社が依頼を受けて行っている建物検査のサービスで施工ミスが見つかる確率はおよそ70%。大手メーカーの施工でも一定の確率でミスが見つかっており、ゼロになることはないというのが現場実感です。

というと、客、施主(※1)の立場ではトラブルを防げないのではないか、と思われるかも知れません。確かにミスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、その発生確率を低くしたり、仮にミスが起こっても、それを施主と施工会社等が対立する「トラブル」に発展させないかについては方法があります。

今回はポイントを6つに厳選してお伝えします。

※1 工事の発注者、建築主。会社側からみた客

ポイント1:余裕を持ったスケジュールで動き出す

住まいの工事は長期間に及びます。新築の場合は打ち合わせに半年、工事に4か月から6か月、リフォームの場合は工事内容によりますが、それでも数週間から数か月かかるのが一般的です。

後述しますが、住まいの工事には変更はつきもの。さらに近年は大工など職人の人手不足もあって、予定通りに工事が進まないケースも珍しくありません。今、住んでいる物件の売却や学校、職場の都合で新生活がスタートする日が決まっている場合は、動き出しを早めにすることが大切です。

ポイント2:会社の倒産リスクを見極める

ここ数年、特に中小の工務店やリフォーム会社などの倒産が増えています。施工会社が倒産した場合、工事が完成しないばかりか、前払い金が戻ってこないなど大きなトラブルに発展しがちです。その点、大手メーカーは安心かも知れませんが、施工費用は比較的高くなることが多いです。また、住宅工事の市場では大手でもシェアは20%から30%ほど。つまり多くの人は中小の会社と契約を結ぶのが通常です。


施行会社の倒産リスクを見抜くのは容易ではありませんが、「住宅完成保証制度」の登録事業者か否かは、一つの目安になります。住宅完成保証制度とは、制度に登録している事業者(施工会社)が、倒産などにより工事の継続が不可能になった場合、施主が既に支払った前払い金や新たな施工会社への工事の引継ぎにかかる費用を、保険会社が規定に基づいて一定額支払う制度です。登録事業者になるためには、保険会社に決算書などを提出し経営状況などの審査をクリアしなければなりません。すなわち登録事業者は健全経営であることを第三者に認めてもらったことになります。

新築用だけでなくリフォーム用もありますので、事前に施工会社などに確認・相談されてみると良いでしょう。(※2)

※2 登録事業者であっても、制度を利用できるかどうかは工事の案件ごとに審査が必要です。保険会社によってはリフォーム用を扱っていないこともあります。保険料の目安は新築工事の場合は1棟当たり10万円程度、リフォームの場合は工事の規模により5万~10万円程度が相場です。

ポイント3:見積もりでは「一式」に要注意

見積もりをもらう際は、「一式」という言葉に要注意です。

中身がブラックボックスになってしまうため、当然見積もりに入っていると思っていた事柄が実は入っておらず「追加請求」となるとトラブルの元です。見積もりに加えて、打ち合わせした内容が正確に記載された図面資料を作ってもらいましょう。見積もりの中身がその図面に紐づいているかチェックしておくことも、後のトラブルを避けるために大切です。

また、保証の内容や範囲、期間についても見積もりの段階で確認しておきたいところです。どんな工事でも引き渡し後、住み始めてから、壁にすき間ができたり、歩くと床が鳴ったりなど「初期不良」が発生することがあります。もし、そうした事態が起きたら、早期に対応を求めることが大切です。引き渡しから時間が経つと、経年劣化が原因とみなされて施工会社が対応してくれないことがあります。

一方で、施工会社が倒産してしまった場合、保証も消滅してしまうケースがあります。新築住宅の場合は、事業者に住宅かし保険(※3)への加入、もしくは供託(※4)が法律によって義務付けられています。引き渡し日から原則10年は事業者が倒産した場合でも、もし施工不良が見つかった場合は補修工事に必要な保険金が施主に支払われます。

ただしリフォームの場合はそうした義務がありません。心配な方は、国土交通省指定の住宅専門の保険会社が扱う「リフォームかし保険」を利用する方法もあります。こちらは引き渡し日から原則5年以内ならば保険金が支払われます。また、このリフォームかし保険では、工事の施工中や工事完了後に、第三者検査員(建築士)による現場検査が行われるため、質の高い施工を確保する一助ともなります。

※3 住宅かし保険やリフォームかし保険について詳しくは以下の国土交通省のサイトをご覧ください。

国土交通省 住宅瑕疵担保制度ポータルサイト 消費者向け情報👇
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/consumer/index.html(※NHKサイトを離れます)

※4 事業者が法務局に現金や国債を預けること

ポイント4:引き渡しは9月や3月を避ける

多くの会社は9月が中間決算、3月が期末決算です。施工会社は工事を完成させて物件を引き渡し、施主からお金をもらって初めて決算表に売り上げとして計上することができます。

決算月になると当社には、まだ工事が終わっていないのに「とりあえず完成検査をやってくれ」という依頼が来ることがあります。会社として決算までに1円でも多く売り上げを計上するために、工事が遅れていても無理やり引き渡しを進めようとしているケースだと思われます。そんな状況では当然、施工ミスが多くなったり、仕上がりの精度が悪くなったりすることも出てきます。

未完成か所の多い物件は不備も多い

もし可能ならば工事のスケジュールをたてる際には、工事が多少遅れた時でも、引渡しを後ろにずらしやすくするために、引渡し日の設定を9月や3月を避けて余裕を持たせておくとよいと思います。
ただ決算が3月や9月ではない会社もあります。契約前に確認しておきましょう。

ポイント5:事前に日付付きの工程表を出してもらう

工事が始まったあと大切になってくるのは、今、工事は順調に進んでいるのか、遅れているのかをタイムリーに把握していくことです。私が勧めているのは、事前に施工会社に日付付きの工程表を出してもらうことです。そうすれば現場監督から進捗状況の報告を受けるときに、予定通りなのか、遅れているのかを把握しやすくなります。仮に遅れていることがわかり、更に今後のリカバリーも難しく、引き渡しを遅らさざるを得ないとなった場合でも、今仮住まいしている賃貸先をどうするのか、引っ越しの予定をどう変更するのかなどについて次善の策をとりやすくなります。

また工程表には、どのタイミングで現場監督がチェックしに行くのかを書き込んでもらいましょう。なぜなら、工程の中には、その後のトラブルの発生を抑えるために注意すべき「要所」があるからです。工程表に、要所でのチェックの記載がない場合は注意が必要です。私の意見では、新築の場合の要所は以下の5つです。

□基礎配筋の検査
□基礎立上り型枠・アンカーボルトの検査
□構造・金物の検査
□外壁防水の検査
□断熱の検査

この5つは、私たちがホームインスペクションを行った際に不具合や施工ミスを指摘する率が高く特に重要な工程です。リフォームやリノベーションの場合は、案件によって工事内容が様々なため要所も一概には言えませんが、強いてあげると以下になります。

□リフォーム前の現況確認
□解体後の状況確認(解体したことで初めてわかる建物の構造や劣化事象などもあるため)
□耐震補強等を行うのであれば補強完了後の状況確認
□水まわり設備の交換などを行う場合には給排水管の施工完了後確認
□リフォーム後の完成検査

また、現場監督のチェックの報告を、どのような形で受け取るかも事前に決めておきましょう。できれば写真付きの報告書がよいですが、電話などの場合は、次の項目で解説するようにきちんとメモをとっておくことが肝要です。

ポイント6:「変更は必ずある」と覚悟する 

工事前に時間をかけて打ち合わせをしていても、工事開始後に変更が起こることはとても多いです。壁紙の色柄の変更などちょっとしたこともあれば、窓や壁の位置の変更などまで様々です。設計段階で想定しきれなかったことや、工事が進んだことで空間のイメージが具体的についてくることで施主側が変更を希望する場合も珍しくありません。

大切なのは、話したことを必ずメモに残すこと。とにかく言った言わないのトラブルが多いのがこの業界です。メモには打ち合わせの参加者、決めたこと、決まらなかったこと、次の予定などは必ず記載します。中でも重要なのは締め切りの日付です。「定期的に」「あとで」「急いで」などのコミュニケーションはトラブルの元。人によって感覚が異なるので「毎週〇曜日に」「〇月〇日の〇時までに」など曖昧さを排し、具体的な日時を明確にしておくことが大切です。

またメモを作成した後は自分だけにとどめずメールなどで施工会社に送り、確認・共有しておきましょう。いちいち施工会社にメールするのは、相手を信用していないようで気が引けるかも知れません。しかし、配慮はしても遠慮をする必要はありません。現場を知る感覚では、少し杓子定規かなと思うほど、きっちりとメモに残すやりとりをした工事は、施主も施工会社も満足度が高い傾向があるように思います。

さいごに…

私はトラブルを避けるために最も大切なことは、施主自身が工事を自分ごととして能動的になることだと考えています。

自分の家のことなんだから「自分ごと」は当たり前では!?と思われるかもしれませんが、「自分は素人だから」「相手はプロなのだから」といった感覚で、気づくと主体性が薄れているようにみえる方もいます。

また、建築に関わる知識や情報は非常に多岐にわたり、日々更新されていくので、プロでも全ての情報を必ず網羅できているわけではありません。
例えば、補助金などの情報もプロ側が把握しきれていないといったこともあります。施主が言わずともプロ側から紹介すべきとも思いますが、結果的に使えないと、双方にとって、もったいないことになります。

また、図面や見積、契約書に書かれている内容についても「素人だからよく分からない」と流してしまうと、残念な結果を迎えることにもなりかねません。

少なくないお金をかける住まいづくり。
ぜひ自分ごととしてプロジェクトを楽しんでみてください。

トラブルが起きてしまったら…「住まいるダイヤル」も視野に

国土交通大臣指定の相談窓口「住まいるダイヤル」ではリフォームやリノベーション、新築工事などカテゴリーにとらわれず、住まいの工事に関するトラブルの相談にのってくれます。問い合わせには、住宅に関する幅広い知識を備えた一級建築士が対応し、内容によっては専門家や各都道府県にある住宅紛争審査会(弁護士会)による紛争解決手続きにつなげてくれます。また、契約前のリフォームの見積書をチェックして電話で助言を行う「リフォームチェックサービス」などもあります。困ったときは、ぜひ相談してみてください。

住まいるダイヤル:ナビダイヤル0570-016-100もしくは03-3556-5147
(※共に有料)
電話受付10:00~17:00(土、日、祝休日、年末年始を除く)
https://www.chord.or.jp/index.html(※NHKサイトを離れます)

【関連番組】NHKプラスで7/9(火) 夜7:57 まで見逃し配信👇

みんなのコメント(7件)

体験談
住宅関係は住まいの医者選びと同じ。
2024年7月5日
自宅のリフォームを地元の工務店にしてもらった。大昔建ててくれた大工さんはもう引退したので、近所の方の紹介の工務店と、市内の知人の所に頼むようにしている。同じ補修を頼んでも、工務店や大工さんにより、費用だけでなく、工事内容や材料の選び方、仕上がりでかなり差が大きい。医療や介護と同じで、技術や経験がまちまちで、組んでいるチームが良いと、扱う件数も増え口コミで広がる。ネットだけでは分からないし、後払いや金額も高額で一番高い買い物の住居。ネットでも対面でもお互いに、苦情や無理難題で支払を踏み倒す客か、信頼できる業者か見抜くのは難しい。安くてもずさんで耐久性が無いのも困る。近隣の工事現場を観察したり、知人に聞いたり、長年の実績と信頼のある所を探すのが大事。
体験談
さん
50代 女性
2024年7月3日
実家のリフォームをしました。玄関から材料が運べないとの事で裏の小屋を壊し、荷物を要る要らないも聞かれないまま、産業廃棄物としてトラックに積まれ、箪笥などもことごとく壊され悲しくなりました。更地にして作業には行ったのですが、これで本当に良かったのか?更地にしなくても作業ができたのかもと今もモヤモヤしてます。実家の思い出のものが全て無くなり悲しく、後悔してます。本当にこの選択が正しかったのかと。一つの業者に見積もりしてもらっただけでしたのでやはり相見積もりはしないといけないのかと。早く両親に快適に過ごしてもらえる様に少し走ってしまったのか?話せばどれだけでも出てくる不満。しっかり業者との話し合いが大切だと身にしみました。
悩み
オチャ
60代 男性
2024年7月3日
地域ビルダーにより価格破壊を前面に打ち出し、かつ現場の職人離れにもつながり、また、ハウスメーカーの仕事と職人を横取りするビルダーの現状を改善しない限り、建築業界における明るい未来は、遠のくばかりと思います。どうかメディアでは、手抜き工事を行うビルダーの実態をもっと取り上げてください。
感想
Aさん
70歳以上 男性
2024年7月2日
勉強になりました。
体験談
ANNE
60代 女性
2024年7月2日
大工にも技術者としての資格級を与え、給料を上げる等、対策を取らないと日本中に欠陥住宅は、増え続けると思います。
感想
バケツが雨漏れ対策
60代 男性
2024年7月2日
我が家は、在来木造です。
住宅は、有益財産とは、相続者は必ずしもその認識に有るとは限らないない。ハウスメーカーは、新築のための大工を必要としている。
現在の大工は、ハウスメーカーの特性に合った大工の育成、確保であり、住宅修繕に必要とする多重種職種を有する個人事業者、企業が無い事が根本的な、問題であり、本番組放送の内容での一企業の紹介は、企業宣伝の片棒を担ぐに過ぎない。

公共放送での視点と課題、深考とし情報提供者としては、構成に偏見性を感じます。
家は、建っても修繕出来ない。Do it your seif 直訳語が現実です。年金者には、工務店に依頼する程の費用を掛けられません。住宅は、大工、左官、タイル、内装、屋根、電気、水道、その他の職種の総合。現在は、材木の高騰により、住宅も木造大工の必要性が薄らぐのも現状です。
提言
大工のトシ兄ー
60代 男性
2024年7月2日
手抜き工事は無くなりませんよね、何故なら元請けから予算の削減を強要されれば、手抜きしなければ出来ませんから。
市営住宅の修繕工事は四次下請けが当たり前ですから。発注元の体質を変えなければいけませんよね。
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