みんなでプラス メニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなでプラス

悲鳴をあげる“官僚”たち 国会・政治対応の裏側で・・・

“ブラック霞が関”とも呼ばれ、過酷な働き方を強いられてきた官僚たち。

今回、情報提供窓口「スクープリンク」に、現役官僚から次々に寄せられたのが「国会」や「政治家」への対応が負担になっているという声です。

さらに、経済界からも、国会対応が官僚の労働環境を悪化させ、政策を立案する機能が低下しかねないと、改善を求める提言まで出される事態になっています。

官僚と政治との間で、いったい何が起きているのでしょうか。

(クローズアップ現代 取材班)

“国会が官僚の疲弊を引き起こしている” 経済界からの警鐘

ことし5月、経済同友会が政治改革をテーマに提言を出しました。その中で、今の国会のあり方が引き起こしている問題として、選挙での「低い投票率」、「長期的視野に欠けた政策」とともに挙げたのが「官僚の疲弊・なり手不足」でした。

経済同友会の提言

「国会の質疑における閣僚の答弁や政策の調整などにおいて、政官の役割分担が明確にされていないこともあり、国会対応において官僚への負荷が非常に大きい。長時間残業につながっており、本来担うべき政策の立案支援機能が脆弱化しているとすれば、大きな問題である。


労働環境の悪化や業務の魅力度の低下により官僚の応募者は減少し、離職者も増加傾向にあるなど、官僚のなり手不足が顕現化しつつあり、改善に向けた取り組みが急務となっている」

「国会対応で朝まで残業・・・」 官僚たちから上がる悲鳴

「国会」や「政治家」への対応で負荷がかかっているという訴えは、現役の官僚などからも多数寄せられています。(届いた声を一部編集しています)

20代・女性官僚

「国会に多く関わる部署では深夜までの残業がざらにある。また、国会の予定は直前までわからないことも多く、もはや夜遅くまでいることが前提の働き方」

20代・女性官僚

「国会関係での残業は、翌日の委員会で質疑に立つ議員が質疑内容を送付してこないために発生する(遅いと21時頃まで通告が出ない)。21時に通告があると、答弁の作成は当然それより後になるので、終電を逃す」

40代・男性官僚

「大臣レクや会見対応のために朝6時に出勤し、夜は予算委員会の総理答弁や想定問の作成で官邸との調整が29時ごろまで続き、そのまま帰れず机に突っ伏して翌日の勤務をすることもある」

20代・男性官僚

「国会期間は最悪である。同じ日、同じ委員会で、同じ政党の議員から、全く同じ内容の質問が複数来ることも多々ある。やりがいを感じられない作業を深夜まで行い、早朝には大臣の勉強会でのコメントを反映するためにオフィスで控えていなければならない」

30代・男性官僚

「国会議員によるパワハラがひどく、心を病む職員が多い。もうやりがいだけでは、続けていく人が少なくなってくるのではないかと思う」

データから読み解く「国会残業」

国会開会中の人口(閉会中比の増減率)《2023年の18時台の平均値を比較》

今回番組では、国会が官僚の残業に影響を与えているかどうかを、携帯電話会社が基地局から集めたデータをもとに調べ、可視化しました。省庁が集まる霞が関エリアの人の数が、国会開会中は閉会中より何パーセント増えているのかグラフで表しました。

国会開会中の人口(閉会中比の増減率)《2023年の0時台の平均値を比較》

すると、夜間を通してほとんどの地点で国会開会中の方が多く、日付が変わる午前0時には20%以上増えている地点もありました。国会の業務が多くの官僚の残業につながっていることが伺えます。

予算委員会開催前夜の人口(前週同曜日比の増減率)《4月23日18時台》

さらに、総理大臣も出席する「予算委員会」が残業に与える影響についても分析しました。通常の「委員会」は担当の大臣のみが出席するケースが多いですが、「予算委員会」は総理大臣が出席することが頻繁にあり、各省庁の中だけでなく、省庁と官邸との調整も発生し、官僚の業務量が増えるとされています。

予算委員会開催前夜の人口(前週同曜日比の増減率)《4月24日4時台》

4月24日に総理大臣が出席して行われた参議院予算委員会の前夜の人口を、予算委員会が行われなかった前週の同じ曜日の夜と比較しました。

すると、午前3時台~4時台にかけて、人口が20%以上多い地点が急増。細かく分析すると、4時台にはエリア全体で、前の週は900人台だった人口が450人以上増え、1400人あまりになっていることが分かりました。

データの分析を監修した早稲田大学の片山宗親准教授は、「この時間(午前3時台、4時台)に人口が増えているのは、朝までに完成させなければいけない仕事が存在していたことを示唆する。予算委員会が官僚の残業に大きな影響を与えることがデータから伺える」と指摘しています。

のしかかる「国会対応」の負担

国会への対応が残業につながっている実態について、去年、国会業務の効率化を政府に提言した官僚など有志のグループが取材に応じました。

官僚など有志のグループ

このグループは、国会業務のあり方を変えようと、実名・顔出しで対応策を提言しました。課題として指摘しているのが、議員から質問が伝えられる「質問通告」のあり方です。

国会議員は、政府による行政運営をチェックするために国会で質問します。充実した審議のために質問は事前に各省庁へ送られ、官僚が大臣の答弁を準備します。ただ、質問の内容が具体的に書かれないこともあるため、官僚の負担が増えるといいます。

官僚など有志のグループ 西山直人さん

「(議員から)何を言われるか分からないので、結構想定をたくさん作ったりとか、結構『想定問祭り』になる」

さらに、大きな課題だというのが、「質問通告の遅さ」です。

衆議院では、与野党が「速やかな質問通告に努める」ことを申し合わせており、政党によっては議員に審議の2日前までの通告を求めています。しかし、国会の状況によっては、審議の日程が決まるのが前日になる場合もあります。そのため、審議前夜にかけて質問が集中。未明まで作業に追われるというのです。

内閣人事局の調査では、去年の臨時国会中に全ての答弁作成を終えた時刻の平均は午前1時31分。以前に比べて議員側も配慮をするようになり、改善の動きがあるものの、根本的な問題解決には至っていないといいます。

官僚など有志のグループ 大塚正博さん

「国会で質問いただくことは、国民の方からも注目をいただいて名誉なことだと思っています。ただ効率化できる部分を効率化しないのは、それはちょっと違うのではないかと思い、活動しています」

官僚など有志のグループ 西山直人さん

「しっかり効率化していかないと、良い政策自体打てないし、日本に貢献できない部分がどうしてもあります」

官僚など有志のグループ 占部昭裕さん

「(国会の)システム全体として、どう効率的にやっていくかということかなと思うので、そこはみんなで変えていくということが一番重要かなと思います」

“政治家と官僚の間にルールを”

冒頭で紹介した経済同友会の提言では、国会による官僚の負担を軽減するため、具体的な取り組みを早急に進めるよう求めています。

経済同友会の提言

▼与野党の質問通告について、国会議員名、通告時間や内容、連絡手段を政党が公開。2日前までに通告するという明確なルールを与野党で申し合わせ、それを遵守できなかった場合には理由を公開する。


▼与野党の質問通告が直前にならないよう、与野党でスケジュール化を提案し、早期に開催日を確定する。


▼質問通告を行った国会議員に対し、官僚が内容の確認を行った所要時間や議員名、その手段を政党が公開する。対面での対応が必要な場合は、その理由を含めて公開する。

そのうえで、この先、政治家と官僚が接触する場合のルール策定や、政官の役割分担の見直しなど、必要な法制度の改正にも踏み込むべきだと訴えます。

経済同友会 髙島宏平 副代表幹事(政治・行政改革委員会の担当)

「官僚の離職理由が“働きがい(のなさ)と“長時間労働”が大きい中で、一番シンボリックなのが国会対応で、非常に自己実現感を得られにくくなっていることもありますし、あるいは普通の会社ではなくなっているようなパワーハラスメントみたいなことも、一部の議員と官僚の間で起きていると思います。国会改革を通して、官僚の働きがい、やりがいを上げていくことが、日本にとって非常に重要なポイントであると思っています」

「官僚の働き方」に関する情報を募集しています

官僚の働き方をめぐる課題などについて、私たちは今後も取材を続けます。

官僚の皆さんの働き方の現状や、抱えている課題、または改善案などを、情報提供窓口「スクープリンク」までお寄せください。

官僚の働き方の問題や今後のあるべき姿については、6月16日(日)午前9時~放送の「日曜討論」でも取り上げる予定です。

みんなのコメント(1件)

感想
しんげん
60代 男性
2024年6月16日
官僚(特に若手官僚)の業務内容の激忙さに、頭が下がります。国民の為にも無理せず頑張ってもらいたいと思います。
一方国会議員は勉強が余りにも足らないと思います。答弁でも自身深く理解し自身の言葉で発信してもらいたい。勉強理解しない議員は大臣にすべきではないと思います。
この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

【関連番組】NHKプラスで6/18(火) 夜7:57 まで見逃し配信👇