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キャッシュレス決済でお金をだまし取られる“返金詐欺” その手口とは

“◯◯ペイ”などのキャッシュレス決済でも使われる、便利なQRコード。急速な普及の影で、「QRコードを読み取ったらお金をだまし取られた」「詐欺サイトに誘導された」など、その利便性を悪用した詐欺が急増しています。

どうすれば被害はなくなるのか。コード決済を使った詐欺の手口の詳細や、身の守り方について取材しました。

(クローズアップ現代 取材班)

コード決済でお金をだまし取られる「キャッシュレス詐欺」が急増

国が来年6月までに利用率4割を目指すキャッシュレス決済。

その手段の1つとして、決済額が大幅に伸びているのが、「◯◯ペイ」など、QRコードなどを使った“コード決済”です。2018年に0.2兆円だった決済額は去年10.9兆円に上りました。

一方で、コード決済を悪用した「新手のキャッシュレス詐欺」も急増しました。消費生活総合センターに寄せられたコード決済に関する相談件数は、東京都だけで1300件以上と、前年度の倍近くになっています。

どうお金をだまし取られるのか? 返金を装った「キャッシュレス詐欺」の手口

今回、番組に声を寄せてくれた、30代女性の佐藤さん(仮名)

コード決済を使用した詐欺に巻き込まれたといいます。

一体どのような手口なのか?

ことし3月、佐藤さんは中古品を取り扱う個人運営の通信販売サイトで、お目当ての洋服が定価の4分の1で売られているのを見つけました。安さにひかれて購入を決めたといいます。

代金の1万3千円あまりを銀行口座から振り込んだ数日後、「商品が欠品している」というメールが届きました。

届いたメール

「先日ご購入いただいた商品は、現在一時的に欠品しております。ご注文をキャンセルさせていただきます」

LINEアプリの友だち追加を依頼され、佐藤さんは「カスタマー・センター」と名乗る相手とメッセージのやりとりを始めました。

カスタマー・センター

「現在在庫切れとなっております。交換には4~5か月かかります」

佐藤さん

「交換という意味がよく分からないのですが」

カスタマー・センター

「大変申し訳ありません」

やりとりがかみ合わず、らちが明かないと感じた佐藤さんは、「すぐに返金してほしい」と伝えました。すると、相手から指定されたのが、コード決済のPayPayによる返金でした。

カスタマー・センター

「銀行カードでの返金には対応しておりません。電子返金はPayPayのみ対応しています」

佐藤さんは言われたとおり、自身のPayPayのアカウントを教えました。しかし、相手からは「何度試しても返金ができない」というメッセージが続きました。

カスタマー・センター

「お待ちください」

カスタマー・センター

「PayPayの本人確認は完了していますか?」

佐藤さん

「本人確認は完了しています」

カスタマー・センター

「何度も試しましたが結果は同じでした」

佐藤さん

「仕事をしている日だったので、休み時間などを使いながらやりとりを続けていて、とにかくイライラしてしまっていた。『もう商品はいいから、とにかく返金してほしい』、この一心だった」

その後、「販売元」とやりとりしてほしいと、別のLINEアカウントを紹介され、電話をすることになりました。相手は、片言の日本語を話す20代~30代くらいの男性だったといいます。

まず、通話をしながら、佐藤さんが操作している端末画面が相手にも見えるように設定変更をさせられました。

その後、PayPayのアプリを開いていろいろな操作を行った記憶はありますが、詳細は覚えていないといいます。

通話を始めて20分後。相手から送られてきたのが、返金をするために必要な解除コードだという「199980」の数字と、QRコードでした。

指示通りPayPayでそのQRコードを読み取ると、「解除コード」だと伝えられた数字は、金額の部分にすでに入力されていて、「支払う」のボタンを押すよう促されたといいます。

佐藤さん

「これ、押しちゃっていいんですか?私が入金することになってしまいませんか?」

販売元

「違いますよ。それは私たちが返金をするための手続きに必要なものなので。大丈夫です」

佐藤さんが声を荒げたり、思わず怒鳴ったりすると、電話口の遠くからは、女性の笑い声が聞こえてきたといいます。

佐藤さんはどうしても返金してほしいという焦りからか、操作する手を止めることができませんでした。

「支払う」のボタンをタップした佐藤さん。すると、端末画面に表示されたのは、「199,980円 支払い失敗」の文字でした。

佐藤さん

「えっ!19万円?支払い失敗って何ですか!?」

当時、別の部屋でやりとりを聞いていた母親が、その後も指示されるがままに操作を進めようとする佐藤さんを止めに入ってきました。

佐藤さん母

「19万円って何!ちょっと、それはおかしいんじゃない?」

佐藤さんは、そこでようやく我に返り、冷静になることができたといいます。すぐに電話を切りましたが、その後も販売元からは「明日また電話をしましょう」という趣旨のメッセージが届いていました。

佐藤さん

「私は、変なメールが来ても『こんなのにだまされるわけないじゃん』とすぐに削除するような人間だった。LINEもPayPayも使い慣れているし、だまされるような世代でもないと、ひと事だったのに。その自分がまさかという感じです。犯人の巧妙な手口がとにかく恐ろしかった」

佐藤さんの場合はふだんの利用傾向と違うため、PayPay側のシステムによって「不正の可能性が高いと判断」され、決済が止められました。しかし、こうした不正が正常に検知されないケースもあるといいます。

その後、佐藤さんが商品を購入しようとしたサイトは削除され、アクセスができないようになっていました。

番組に寄せられた被害の声 「返金方法」が共通点に

「キャッシュレス詐欺」の被害について、クローズアップ現代の情報提供窓口「スクープリンク」などで情報を求めたところ、多くの声が寄せられました。

複数の決済サービスで被害が確認されたほか、通販サイトで商品を購入すると、欠品を理由にQRコードなどの「コード決済で返金する」と連絡が来るという点が共通していました。

70代 男性

「ネット通販で車両の部品を注文しましたが、『在庫がない。代金を返金したいので、PayPayで操作をしてください』との返答が返ってきました。その後LINEに誘導され、先方は片言の日本語でPayPayの振り込み方法を説明し始めました。そして購入代金が取られる被害に遭いました」

60代 男性

「通販サイトで購入した商品について、在庫切れを理由にPayPayを通じた返金処理で高額なお金をだまし取られそうになった。銀行に振り込んだ商品代金は、取り返すことが出来ませんでした」

40代 男性

「支払いをした商品が発送されず、先方から『メルペイで返金します』と連絡がきた。その際に『LINEで連絡を取りたい』と言われ、その後メッセージで返金コード490990とURLが送られて来た。その後誘導に従い、返金コードを入れたところ、『490990円で支払い完了しました』の通知が来て、その後連絡がつながらなくなった」

さらに気になる点も。

返金のやりとりをする際に相手側から送られてきた文言です。

被害者の住む地域、そして、利用した通販サイトも異なっていましたが、全く同じものが送られていたのです。

犯人側 足がつかないように“資金洗浄”か

さらに取材を進めると、コード決済の仕組みを悪用した「送金の手口」も明らかになってきました。

同様の手口で、実際にお金をだまし取られた50代の男性。

相手から送られてきたQRコードをPayPayで読み取り、「199,990円」を支払ってしまったといいます。男性は地元の警察署に相談しましたが、「お金を取り返すことは難しい」と言われ、被害届の提出を諦めました。

翌月、警察から連絡があり、こう言われたといいます。

警察

「あなたがPayPayで支払いをした相手は、個人のアカウントではなく、実在している公営ギャンブルのサイトで、そのアカウントを盗んで利用していると思われる。ここを一旦介すことで、資金の流れを分からなくしているようだ」

今回取材した被害者にコード決済の取引履歴を見せてもらうと、同様に公営ギャンブルや電子マネーを購入するサイトに支払われていました。

コード決済会社の対応は?お金は戻ってくる?

こうした被害に、事業者はどう対応しているのか。コード決済大手のPayPayでは、365日24時間体制でAIと人がすべての取り引きを監視しています。

ふだんの利用金額とかけ離れた決済が行われた場合や、数分で決済場所が移動した場合は「不正の疑いがある」と判断し、取り引きを一時停止する対応をとっており、その数は1日数千件に上るといいます。

ただ対策を講じても、被害のすべてをなくすことは出来ず、返金詐欺に関する補償申請件数は、去年から約7倍に増加しています。こうした被害への対応について、担当者に聞きました。

PayPay 担当者

「ご本人が操作されているケースについては、残念ながら原則として弊社としては補償対象外となります。結果として、そういう詐欺という形にはなってしまっているんですけれども、使い方としては健全な利用と変わらないので、(事業者が)判定するのが非常に難しいと考えています」

こうした不正が起きた際、払い戻しなどの補償や救済はどうなっているのか。

銀行では、なりすましなど第三者の操作でお金を取られた際、法律や業界団体の取り決めで、被害者が無過失の場合は全額補償するよう定められているほか、「振り込め詐欺」など、犯人にだまされてみずから送金してしまった場合も、詐欺側の口座にお金が残っていれば、被害に遭った人に分配して救済することが法律で定められています。

一方で、コード決済などを提供する資金移動業者は、なりすましに対する補償はガイドラインで定められていますが、今回のように犯人にだまされてみずから送金してしまった場合は、事業者の補償を定めた法律や取り決めはありません。

被害に遭わないための対策方法は?

QRコードの欠点は、人間の目で安全かどうかが分からないこと。読み取るときは、以下に注意してください。

① 公式HPや公式アプリから正しい情報を確認

② 読み取る前にURLを表示・確認する

③ URLの安全性を確認するサイトなどを活用

怪しいQRコードは読み取らないことも大切です。

「◯◯ペイで返金します」と言われたら、まずは詐欺を疑ってください。

被害に遭った場合は?

もしも被害に遭ってしまった場合は、ご自身で抱えずに以下にご相談ください。

消費者ホットライン 188

警察相談専用電話 #9110

取材依頼・情報提供は「スクープリンク」へ ご意見も募集中

私たちはこれからも詐欺に関するさまざまな被害や手口について取材を続けていきます。あなたの体験談・情報をクロ現「スクープリンク」までお寄せ下さい。

みんなのコメント(25件)

体験談
km1968
50代 男性
2024年7月2日
まんまとやられました。
もう少し早く知っていれば良かったのですが、10万円送金してさらに振り込み限度額の変更をさせられ、早口で送金になっているけど戻るからと言われて追加で128,500円振り込みのボタンをクリックするのをやめました。
LINE通話の相手は、やめた途端なんで途中でやめるんだ?お金が返ってこないぞ。馬鹿と捲し立てられましたが、無視してLINE電話を切ろうとしたら殺すぞと脅してきたのでスマホの電源切りました。
珍しいミニチュアカーが聞いたこともない通販サイトで婦人用衣類や雑貨で安く販売されているのを怪しむべきでした。
みなさんお気をつけてください。
体験談
ルー
50代 女性
2024年6月28日
私も騙されて27万送金してしまいました。
通販サイトでの返金をペイペイですると言われ、あとは指示に従ったところ、まんまとやられました。引っかかる方が馬鹿だと思われても仕方ないですが、え?と思った時には既に遅し。とにかく誘導がうまく、騙されました。
自分が情けないです。皆さん、お気をつけください。
体験談
きゃ
40代 女性
2024年6月19日
6/17にPayPay返金詐欺にあいました。
ネット通販で中古品をビットキャッシュ払い
後日欠品の為返金しますと電話ありPayPayでしか返金できないので先ずは指定のLINEidを登録
マイコードを送ったら返金するとの事でLINEにPayPayのマイコード送るもエラーで返金出来ないから画面共有して確認すると、画面共有しながら言われた通りに操作すると送金してしまう。パニックになっているとQRコードを出したら返金と送金分も返すと言うので画面共有のままコードを出すとゲオで15万決済される。警察、消費センターは何もしてくれない。PayPay側は自分が操作してるから補償外との事。
感想
マート
60代 男性
2024年6月11日
便利なのでオークションや、電子決裁を良く利用してます。
この情報が無ければ、私も確実に騙されてます。
助かります。
この様な、情報が沢山の被害防止効果大です。
質問
おりみか
50代 女性
2024年6月8日
質問になってしまいますが、紐付けている口座に残高が無ければ被害に遭いませんか?若しくは口座に紐付けて無ければ大丈夫なのでしょうか?
感想
トモ
30代 男性
2024年6月6日
画面上に「支払う」と表示されてるのに「返金」だと誘導してくる。普通に考えてそんなわけないだろう…。呆れてものも言えません。

以前放送されていた森永卓郎や池上彰の投資詐欺と同じく、騙される方が悪いという感想しかありませんでした…。

手口もクソもなく、普通に考えて怪しいのでリテラシーの問題でしょう。オレオレ詐欺と同じようなものです。
体験談
ナサ
女性
2024年6月6日
昨日の返金詐欺の特集、まさに危機一髪でした。昨日、外出先で、まったく同じ内容のメールを受け取ったので、夜帰宅してから、手続きをするつもりでいたのです。
商品代金を支払ったら、とても丁重なお礼のメールが来て、用意出来次第発送します、昨日は品切れのため、返金しますと丁寧な内容でしたので、まさかまさか自分が詐欺に合うなんて思いもしませんでした。
番組のお陰で、返信メールをしなかったので、大きな被害に合いませんでしたが、被害届を出したほうがいいのか迷っています。
感想
H
50代 男性
2024年6月6日
この番組の感想の投稿で、怪しい通販サイトに近づかなければ被害を防げるような記載をしていました。
ただ、この詐欺のポイントではなくて、「返金」を装った詐欺で、返金額より遙かに大きい金額をだまし取られてしまうことだと思います。
今後別のパターンの返金詐欺が出てくる可能性もあります。通販サイトに気をつけておけば良いというものでもないと思いました。
感想
ITおじさん
50代 男性
2024年6月6日
番組内で実際に詐欺師を相手にその手口をビデオに収めていたことに、正直「すごい」と思いました。
「まさにこんな感じだった」というのが印象です。よく「言葉巧みに」という表現がありますが、それだけではよく分からないですよね。
この動画見る人が増えるだけで、被害拡大を防止できると思いますので、この部分だけでもサイトに掲載頂けると良いと思いました。ご検討下さい。
感想
SUNNY
50代 女性
2024年6月6日
私も、欲しかったものを破格でオークションサイト(?よく見たら高島屋と書いてありました。ありえない!)で見つけ、注文し、ビットキャッシュ(コンビニで支払ってカードに書かれたひらがなを入力)で支払いました。

受注確認メールには社名も電話番号もURLも書かれていなくて、おかしな日本語表記だったので、この時点で怪しく思い。

数日後に一時的に欠品、キャンセルとメール。返金希望なら返金センターにLINEで連絡を、と。PayPayで返金するというので請求するも、制限がかかり送金がうまくいかないと。

別のLINE(販売者)のリンクが送られてきて、この人物から電話が来て操作の指示をするのでPaypayを立ち上げるよう言われたので切りました。

商品代金は諦めます。高額の被害に遭わなかっただけでも幸いですが、腹が立ってたまりません。

担当 「クローズアップ現代」取材班の
これも読んでほしい!

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