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自由診療を受診するときのチェックのポイント

美容・健康ブームで拡大している、自由診療の美容クリニック。
一方で、トラブルや健康被害の相談が急増しています。
受診するときに何に気をつければいいのか。チェックしたいポイントをまとめました。
(「クローズアップ現代」取材班)

急増する相談件数

「医療脱毛」、「アートメーク」や「医療ダイエット」など、美容医療について目にする機会が増えたなと感じる方、多いのではないでしょうか。
これらの美容医療サービスは「自由診療」と呼ばれる医療行為で、国が効果や安全性を確認した「保険診療」とは違い、全額自己負担で行われます。

自由診療は本来、「患者の選択肢を広げる」という意味で私たちの利益につながるものです。
しかし、美容医療サービスの拡大とともに、契約上のトラブルや健康被害が増加しています。
国民生活センターによると美容医療に関する相談件数は、去年1年間でおよそ6000件。5年間で3倍近くに増加しています。
このうち、けがをしたなどの身体的な被害の報告も年々増加していて、去年は5年前のおよそ1.7倍となる839件にのぼりました。

美容医療のチェックポイント

国や複数の美容医療の専門家への取材からチェックしたいポイントをまとめてみました。

▽まず、予約前に確認したいポイントです。

▼ホームページに医師の名前や写真が載っているかどうか

経歴や専門性が確認できない医師や、治療の責任者となる医師が明らかにされていないクリニックは注意が必要です。
専門性を確認することも大切で、例えば美容外科の施術を受ける場合は「形成外科専門医」を取得しているなど外科医としての経歴があるかどうかが1つの目安となります。
また、日本美容外科学会を示す「JSAPS」や「JSAS」など、美容医療に関わる学会に所属しているかどうかも確認してみましょう。
学会のホームページでは、どの医師が所属しているかどうか確認することが出来ます。

▼受けようとする治療や施術が未承認薬や適応外治療ではないかどうか

国からの承認を受けていない薬や医療機器を使った治療を行う場合、医療機関は未承認だと明示する必要があります。
同じ薬や治療でもほかの病院では未承認と書いてあるのに、全く書いていないクリニックには注意が必要です。
医薬品の副作用で万が一健康被害があったとき、国内で承認されている薬であれば、公的な救済制度があります。
しかし、承認された対象以外の人が使った場合や、決められた用法・用量などに従って使われていない場合は、原則、救済対象にならないとされています。
このような治療のなかには、学会が注意喚起しているケースもあるので、学会のホームページなどを検索してみるのも大切です。

▼SNSの情報だけを信用しない
最近はインスタグラムやTikTokなどを活用して集客するケースが多くあります。
しかし、執刀医のフォロワーが多かったり、インフルエンサーが宣伝していたりするクリニックだからといって、技術や専門性が高いとは限りません。
ホームページなどで、経歴をよく確認することが重要です。また、二重整形などで実際の症例の写真などを載せていることもありますが、手術後とされている写真が加工されている場合も多くあると言われています。
診察の際に医師から施術後のイメージや施術を受けた場合のリスクについてしっかり説明を受け、納得して施術を受けることが大切です。

▼ほかのクリニックに比べて極端に値段が安いかどうか

割引のあるモニター契約などで消費者に割安感を抱かせ、問診時に広告に載っている金額や消費者の予算よりも高額な契約をさせる相談が消費生活センターに報告されています。
ほかのクリニックの施術と比べて極端に安い場合は、実際にその価格で治療を受けられないこともあり、注意が必要です。

▽続いて、クリニックを受診してから注意するポイントです。

▼医師が出てこずに治療方針が決まる場合は要注意

医師の診察なしに治療方針が決まり、医師が同意書のみをとるようなケースは、「医師以外が診療行為をしてはならない」ことを定めた医師法違反にあたる可能性があります。
医師が副作用やデメリットについてももれなく説明してくれているかどうか、医師から直接施術内容を聞いて自分が理解できるかどうか注意が必要です。

▼無理に当日の施術や契約を強要される場合は一度自宅に帰る

カウンセラーなどから「今やった方がいい」「今やらなければ間に合わない」などと、今すぐ施術が必要だと不安をあおられても、その場で契約・施術をしない判断が大切です。
契約してしまっても、医療脱毛などはクーリングオフ制度があるので、自宅に帰ってからじっくりと考えて解約できる場合もあります。
他のクリニックのHPを見たり、国など公的な機関や学会が出している注意喚起やガイドラインを見たりして、治療法に対する基本的な情報を入手した上で必要性と適切かどうか判断しましょう。

▼手術を受ける場合は医療安全の体制が整っているかどうか確認を

手術など体への負担が大きい治療を受ける場合は、受診するクリニックに術後の安全管理の体制が整っているのかどうか確認してください。
具体的には、入院できる体制や体調が急変したときに執刀した医師と直接連絡が取れる手段を確保しているかどうかなどをクリニックに確認してみるのも大切です。

がん治療でのチェックポイント

自由診療は、美容医療だけではなく、がん治療や再生医療の分野にも広がっています。
がんの治療に詳しい日本医科大学武蔵小杉病院の勝俣範之教授や、国立がん研究センターがん対策情報センター本部の若尾文彦副本部長は以下のポイントを上げています。

▼公的医療保険が効かず費用が高額な治療法に要注意
公的医療保険が適用される「標準治療」は科学的に効果が証明されていますが、自由診療は国内で科学的に効果が十分に証明されていない治療法です。
効果が証明されていない治療について患者に十分に説明がされないまま高額な医療費を請求されるケースもあり、治療の内容などをよく確認してほしいとしています。

▼「どのがんにも効きます」などの言葉は信用してはいけません
科学的に立証された「どのがんにも効く治療法」は存在していないので、根拠も無く効果を強調する宣伝には注意が必要です。

▼「免疫力アップ」という言葉に注意
がんを治すのに免疫細胞が大事なのはもちろんなのですが、何かをすることで免疫力を高め、がんを治療しようという考えは古い手法で、ほとんど効果が得られていないといいます。免疫力を測る基準もないなかで、体に優しくて、効果があるような印象を持たせてしまう危険性があるとしています。

▼個人の経験談がほかの人にも有効とは限りません
経験談や少数例の治療成績による効果を強調する情報は、わざと誤認させるような表現が使われていることもあり、注意が必要です。厚生労働省が定める医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関へ誘い込む目的で紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なる可能性があり、誤認を与えるおそれがあることから、「医療に関する広告としては認められない」としています。

▼細胞実験レベルのデータに注意
細胞実験や動物実験のデータで効果が確認されていても、がんの患者に確実に効果があるとは言えません。細胞実験や動物実験レベルのデータを根拠にしている時点で注意が必要です。

▼がん予防に効果があるからがん治療にも効くわけではありません
がん予防に効果があるからと言って、治療に効果があるとは限りません。がん予防になるというデータを根拠にして、がん治療にも効きますという理屈はもっともらしく見えますが、正しくありません。

自由診療は自分自身で治療内容を確認して慎重に判断を

自由診療は治療や施術の選択肢の幅を広げるものですが、保険診療と異なり、国内で科学的に有効性や安全性が確認されたものではありません。
自由診療の治療や施術を受けるときには、口コミだけでは無く、専門医に相談し、自分で情報を集め、よしあしを判断していくことが必要です。

あなたの意見を聞かせてください

クローズアップ現代では、みなさまの声を取材に生かしていきたいと考えています。

「自由診療での被害」について自らの体験や、情報をお持ちの方は、以下の情報提供窓口「スクープリンク」から声をお寄せください☟
https://www.nhk.or.jp/gendai/scooplink/

※あなたの情報からクロ現の取材班が調べます。
※取材源は守ります。
※取材や放送の判断はNHKが行います。

みんなのコメント(12件)

感想
60代 女性
2024年6月2日
一般社団法人によるクリニックの開業を規制する話しがなぜでてこないのか不思議に思います。国民が安全安心で質の高い医療を受ける権利を守るためには、厚生労働省が動けなくても、政治が行うべきではないでしょうか。
感想
岡太郎
70歳以上 男性
2024年5月30日
参考になりました。
感想
さとう
50代 男性
2024年5月30日
↑ 一般社団法人が一方的に悪い印象という印象は受けませんでしたけど。
監督官庁と報告義務がない一般社団法人。保険適用の審査を受けていない自由診療。その二つを組み合わせて簡単に医療ビジネスに参入することが一種のブームになっている。そのことがトラブル急増の背景となっている。そういったことが分かりやすく説明されていたと思います。
提言
柴四郎
50代 男性
2024年5月29日
自由診療には、吉村健佑さんが話していた病気の治療が目的の保険収載されていない科学的根拠に裏付けられた先進医療と、美容を目的としたり癌やアレルギーを治すと吹聴する科学的根拠を欠いたいわゆる自由診療の二つがある。前者は大学病院などで行われ倫理的な手続きもとられており、問題なのは後者である。美容医療は消費者と事業者間の契約であり、国が法律で管理する保険診療とは診療契約が異なる。患者ではなく消費者である。このことを知らずに、医師が関与しているからと信頼して、事業者が勧めるがままに支払い、施術を受けていることが原因である。やはり、消費者が賢くなるほかないだろう。医学知識を持ち合わせない消費者が、費用を先払いした事業者と対等に渡り合うのは、それなりに難しいと思う。消費者と事業者間の契約なので、消費者庁は関心を寄せているが、医療行為に関して保健所など行政は介入できないのではないか。
体験談
N
30代 女性
2024年5月29日
がん患者です。自分で色々と治療の事を検索していると、一番上のスポンサーで免疫療法のがん治療が必ず出てきます。
自由診療で100万以上するものです。
私は標準治療をして経過観察中ですが、どんながんにも効くと高額な自由診療に騙されてしまう人もいそうなので、今日テレビで放送してくれて良かったです。
質問
イチニノサン
60代 女性
2024年5月29日
私は、形成外科 美容皮膚科 として ちゃんとした経歴のある院長自ら施術してくださるところに通っています。先日 美容院予約サイトを運営する会社から私の受けている施術の注意喚起記事が送られてきました。それはエステティックサロン業者に向けてその施術を中止するように呼びかけるものでした。私の通っているクリニックは中止はしていません。そもそもその文書は エステテックサロン向けのものでした。今 事故が起きているのは エステティックサロンと思ってもいいのでしょうか。きちんと学会にも入っているお医者さんが経営するクリニックは問題外と考えていいのでしょうか。
体験談
ミモザ
50代 女性
2024年5月29日
長男次男共に医師、2人とも大学病院所属。彼らは「医師の働き方改革」は絵に描いた餅で、依然今までのような医療サービスを担保するには医師の無賃勤務、やる気・使命感の搾取の上に成り立っていることに絶望している。長男は整形外科、先輩達も子どもがいても家に帰れない様子を見て「美容に行こうかな」と真剣に悩んだ。休みが取れてお金ももらえる、という理由で美容に行く友達も数人ではない、と。国立大学病院眼科の次男は手術後の患者さんの様子を見に行くための土日出勤は無給で、手取り給料は20万。アルバイトも禁止。結婚しており食べていけず、こんなに勉強して必死で頑張ったのになぜこんな待遇なのかと。「医師は高給」とは幻想、時給でいえば1000円以下。医師の勤務実態に合った待遇、根本は保険診療の点数見直ししなければ若い医師は皆美容外科に流れ、大変な救急、外科、産科、小児科にはますます行かなくなるだろう。
提言
レオちゃん
50代 女性
2024年5月29日
内科の医療従事者です。患者さんのために、過酷なコロナ禍を乗り越えてきましたが、今回の医療改正で気持ちがボロボロになりました。息子は医学部を卒業しましたが、内科を継いではいけない、と伝えました。命の重さはあるのに、それに対する報酬がないからです。特定疾患指導料に変わる生活習慣管理料は、本当に患者さんのためになっているのか、疑問に思いながら毎日夜まで大変な作業にあけくれいます。現場をみて、法令を改正してほしいです。後発医薬品を使わせたい、処方箋のつかいまわし、オンライン診療の推進、本当に患者さんのためでしょうか?近い未来、まともな医者がいなくなると思います。現場の声を聞いてください(涙)
感想
おちきり
60代 女性
2024年5月29日
ちょうどスポーツジムのお友達と目の下のたるみにヒアルロン酸を入れたいから 何処か安いとこないかなと話してました。
番組をみて 少し怖くなりました。
もしするとしても充分確認してやりたいと思います
感想
デブリン
50代 女性
2024年5月29日
医者が名義貸しとは、世も末。
倫理感はどこに。
この記事のコメント投稿フォームからみなさんの声をお待ちしています。

担当 「クローズアップ現代」取材班の
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