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安全な場所はどこに? ガザ“最後の砦(とりで)”・ラファからの訴え

140万人以上が避難し、ガザ地区最後の砦(とりで)とされてきた「ラファ」。
イスラエル軍が大規模な地上作戦を行うとして、人々は再び避難を強いられています。

ラファでいま何が起きているのか。
日本からできることはないのか。

パレスチナ支援を行う日本のNPOには、現地から悲痛な声が届き続けています。
(「クローズアップ現代」取材班)

※ガザ地区の支援をするNPOのリストを、この記事の最後に掲載しています。

ガザから寄せられるSOS

手島正之さん NPO法人パレスチナ子どものキャンペーン エルサレム事務所代表

ガザへの支援を30年以上続けるNPO「パレスチナ子どものキャンペーン」には、ラファにいる現地スタッフからの報告が毎日のように届いています。

ラファに避難する現地スタッフからのボイスメッセージ
状況は最悪だ。どこも空爆だらけで大勢のパレスチナ人が亡くなった

ラファでは、大規模作戦を掲げるイスラエル軍による空爆などの攻撃が激化していました。

突然の退避指令 ラファでの“過酷な暮らし”

NPO現地スタッフとして物資の配給などを行うハリール・タタリさん

日本のNPOに現地の状況を伝え続ける、現地スタッフのハリール・タタリさん。
自身もイスラエルの攻撃でガザ北部の自宅を追われ、家族とともにラファに避難しながら、食料支援などの活動を行っています。

イスラエル軍から5月6日に退避を通告された直後、NHKの取材に応じ現地の状況を聞かせてくれました。

ハリールさん

「外の通りに出ると、たくさんの足跡が目に入ります。多くの人が徒歩で、荷物を持てるだけ持って移動を始めています」

ラファから避難する人々

イスラエルの地上作戦を恐れて、急ぎ荷物をまとめて避難しようとする人たちで道があふれかえっていると言います。

ハリールさんが怒りを込めて語ったのは、人々がすでに味わってきた過酷な避難生活の実態です。

ハリールさん

「すでに多くの人は飢え、水の問題、病気など、あらゆることに苦しんできました。テント内での生活はひどいものです。冬はとても寒く、雨が降ればテントの中に雨水が入ってきます。私たちはこの冬、2歳や1歳の幼い子供たちに、一晩中寒い中で寝るよう言わなければなりませんでした。そして夏が始まり、今度は暑さに苦しめられています。テントの中は高温で多くの人は路上に出ています。トイレの設備などはありません。テントの横に砂を使って簡易トイレとするだけです。衛生的ではなく病気のリスクは危機的な状況です。清潔にしようと思っても、そのための水すらないのです」

特に深刻さを増していたのが、子どもたちの栄養失調です。
ハリールさんが支援活動を通して出会う子どもたちの中には、命の危機に直面する子どもが増えていました。

現地スタッフが撮影した動画には、やせ細る子どもの姿が映されています。

3歳の男の子は、この半年で体重が8キロにまで減り、歩くこともままならない状態でした。

ハリールさん

「多くの子どもが栄養失調です。支援物資は一部入っていると言われていますが、全く足りていません。肉や鶏肉、卵は非常に高価で、40円だった卵が今では2000円もしています。そして、私たちにはすでにお金がなく、ほとんどの人が手に入れることができません。これは戦争とは呼べません。戦争なら軍隊間だけで殺し合いが起きるはずだからです。今起きているのは、ここにいるすべての人々、すべての子供たちを殺すために、何かがやって来ているだけです。たとえ軍隊が来なくとも、飢えと病気で死んでしまいます。2日~10日間の話をしているのではありません、すでにこの状況が200日以上続いてきたのです」

私たちにとって避難は“大惨事”

極限の暮らしを送っていたラファの人々に、イスラエル軍からの一方的な退避の通告は、さらに心を打ち砕くものだと言います。

5月7日 NHKのインタビューを受けるハリールさん
ハリールさん

「私たちにとって、一言で避難すると言ってもそれは“大惨事”を意味するのです。実際ラファが安全だと言われてここに逃げてきましたが、道中で多くの人を空爆で亡くしました。私自身も12人の身内を亡くしています。そして、ラファも安全ではありませんでした。ここでも空爆は度々行われ、亡くなった人が大勢います。“わかった、避難しなければならない” “どこにですか?”ということです」

空爆を受けるラファ
イスラエル軍発表  退避エリア(赤)と 人道エリア(黄)

イスラエル軍は海沿いに「人道エリア」を設け、そこへの退避を勧告しています。
しかし、ハリールさんは、それはイスラエルの単なる国際社会へのアピールにすぎないと言
います。

ラファから退避した人々
ハリールさん

「それならば毎日たくさんの人々が、なぜイスラエルが安全だとするエリアで殺されているのか説明して欲しい。1日や2日のことではありません、毎日、人々や子供たちが殺されているのです。 今回、避難先とされる町も、実際はすべてが破壊されてがれきとなっています。そして、がれきの下にはまだ死んだ人々がそのままにされているのです。 そこにまた多くの人が押し寄せても、テントを張る場所もない状況になるでしょう。私たちにとって、安全な場所などありません」

ラファに留まり支援活動の継続を模索していたハリールさんでしたが、先週、地上作戦の危険が迫るのを感じ、ラファを離れることを決めたと言います。

ハリールさん

「1分でいいです、もしこれがあなたや、あなたの家族に起きたらと考えてみてください。どう生き残れるでしょうか?私は、ガザの人々が直面している医療品の不足や食糧問題を、再び支援できるようになることを願っています。どこかの国際機関が焦点をあてて、人々が住む衛生面の改善に取り組んでくれるだけでも、少なくとも人々の健康問題の解決策は見つけられるはずです。私はまだ、国際社会や日本への期待を捨ててはいません。」

ハリールさんはいま、新たに避難した先で、また支援活動を再開させています。

“ガザの人々の声を知って” 日本のNPOが共同声明

ガザへの支援活動を行う日本のNPOは、ガザの人々の声を知って欲しいと、共同で声明を発表しています。

(声明文より)
ガザの状況が全く改善せず、人々の心の痛み、体の苦しみが日に日に増していること、それに反して報道が日に日に減り、市民の関心が薄れていくことに、強い焦りと深い憂慮を抱いています。

声明を出し、ガザ地区での支援活動を続けているのは下記のNPOです。
飲料水や食料の配給、衛生管理や子どもの心のケアなど、現地での支援を行っています。

■NPO法人 パレスチナ子どものキャンペーン
https://ccp-ngo.jp/


■NPO法人日本国際ボランティアセンター
https://www.ngo-jvc.net/


■NPO法人 ピースウィンズ・ジャパン
https://peace-winds.org/


■公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
https://www.savechildren.or.jp/


■NPO法人パルシック
https://www.parcic.org/index.html

みんなのコメント(50件)

提言
みーちゃん
30代
2024年5月27日
7ヶ月もの間、毎日どこかで爆撃が行われ、4万人に近いパレスチナの方々(大半が女性や子ども)が殺された。どれほどの怒りと恐怖なのか計り知れない。
本当に欧米諸国、特に米国は、自分達の利益を最優先に考える醜い人間たちだし、国連もその米国が幅を利かせていて、このままでは平和の構築は叶わないのではないか。別の道をもっと模索してほしい。
素晴らしい憲法を持っている日本は、米国言いなりではなく即時停戦を声高に訴えてくれ!
世界の学生とともに、どんどん運動を大きくして、シオニストやバイデン政権の歪んだ思想を変えていかなくては!
民放は薄っぺらい情報ばかりだが、NHKの事実を包み隠さず伝えようという姿勢は意義深い。
イスラエルが侵攻をやめるまで継続して報じてください!
感想
19歳以下 女性
2024年5月25日
見ていて心が痛みました。なんで戦争をするのかとか、難しくてわからないですけど、私のような子供でも人を傷付けるのはよくないとわかります。なぜ、命の価値がこんなにも低くなってしまったのか。なぜ、たくさんの犠牲が「たくさんの犠牲」の一言で表現される社会になってしまったのか。私も、他の人達も、こんな社会の中で過ごさなければならない。戦争に直接関わってなくてもツラいのに、現地の人はもっとツラいんだと思います。私のような子供にも、出来ることがあればなと思います。
感想
くうく
70歳以上 男性
2024年5月24日
太平洋戦争時に、子供時代を過ごし空襲で、逃げまどった経験があるので、ガザでの惨状が、実感出来ます。これは、戦争以上の、(軍による殺人だ)の言葉に同感。即、停戦あるのみ。
提言
ヒデ
70歳以上 男性
2024年5月24日
何処の国でも政治家、権力者等による個人の権力と体面又利権を保持するために犠牲になるのは一般庶民、特に幼い子供達と女性。そんな事は十分理解しているはずの各国の理性ある首相たちは何を待っているのですか?臭いものには蓋をする事も必要ではと思います。
感想
まお
50代 女性
2024年5月23日
ガザのことは、とても心配していたので、今回の報道はありがたかったです。
一刻も早い停戦を望みます。
水、食料、医療へのアクセスが困難な状況が、意図的につくられており、イスラエルの目的が、民間人の殺戮にあるようにしか思えません。
ヨルダン川西岸での入植者とイスラエル軍による破壊と暴力も激化しています。
イスラエルは、76年間ものあいだ、日常的に、パレスチナに対して、破壊と暴力を続けてきました。
その間も多くのパレスチナ人が殺害されています。
76年間、アメリカやドイツによるイスラエルの不処罰が繰り返された結果、イスラエルの横暴が酷くなってきたことが、この根底にあります。
イスラエルの不処罰を終わらせなくては、いけません。
アメリカが拒否権を繰り返してきたことも見過ごせません。
拒否権は廃止するべきです。
日本も、イスラエルに対して、断固として、虐殺を許さないという態度を示してほしいです。
感想
キク
70歳以上 男性
2024年5月23日
ガザ侵攻が始まって以来益々状況が酷くなるばかりなのに、何もできず苛立ちとやり場のない怒りを覚える。
せめて支援金を出すこと位しかできないが、出しても戦争そのものが止まらない限り際限なく空しくなる。
やはり腹が立つのは世界の警察、民主主義の先鋒を行く米国がイスラエル寄りに立ち過ぎ国連決議にも反対するなど足を引っ張っていること。これに対して日本政府はもっと強く対応すべきで、そのような国との同盟国の関係も信用できず、苛立つことばかりである。
このような突っ込んだ報道については感謝し応援します。
提言
オザム
60代 男性
2024年5月23日
とにかくバレスチナを助けてほしい。
今、現在世界で、一番ひどい
提言
key
30代
2024年5月23日
事態の深刻さとは反対にガザに関する報道が減っていると感じていたため、今回このような大勢の方が観る番組で取り上げられることはとても意義があると思う。一方で、悲惨な状況を目の当たりにしながら何もできなくてもどかしい思いをしている視聴者も多いのではないか。次回はぜひ、市民ひとりひとりが出来ること、実践している事例など見た人がアクションに繋げられるような内容を多く報道してもらいたい。黙って胸を痛めているだけでは何も変わらないのだから。岡真理さんも「沈黙は中立ではなく虐殺への加担である」と仰っている。
感想
ミミ
20代 女性
2024年5月22日
重要な報道をありがとうございます。毎日毎日胸が締め付けられる思いです。
しかし、メディアで取り上げられる回数が少ないと感じています。今後も同様の報道をしてくださったら嬉しいです。
提言
オサム71
70歳以上 男性
2024年5月22日
反ユダヤ主義が世界に拡大してテロを是認することにならなければと思います。パリオリンピックがテロの標的になる前に、停戦を何としても実現すべき。

担当 「クローズアップ現代」取材班の
これも読んでほしい!

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