
“ロシア兵は集団でレイプしにくる”【ユリアさん・人権団体弁護士】
「性暴力の被害を止める唯一の方法は戦争を止めることです。それ以外にはありません」
強く訴えたのはウクライナの首都キーウに拠点を置く人権団体「ラ・ストラーダ・ウクライナ」の弁護士で、共同代表を務めるユリア・アノソワさんです。寄せられた相談の中には12歳の女児が被害にあったケースや、レイプされた後に殺されてしまった痛ましいケースもあったといいます。苦しんでいる被害者を救うために、一刻も早い停戦と公正な裁きを求めています。
“被害者の中には12歳の女の子も”
20年以上にわたって女性や子どもへの支援活動を行ってきた「ラ・ストラーダ・ウクライナ」の緊急ホットラインには、ロシアによる軍事侵攻以来、ウクライナ各地からロシア兵による性的暴行を訴える声が届いています。
現状は9件ですが「氷山の一角」だとユリアさんは話します。
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ユリアさん
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「被害を訴えてきた女性は成人もいれば、12歳や17歳の女の子のケースもありました。全てロシア兵にレイプされたという訴えです。
今のところ数は多くはありませんが、被害にあった女性がまだロシアに制圧された地域にいて、避難することができていないと思われます。私たちに連絡をしてくる女性たちは、安全な場所へ避難できた方たちなのです」
市民がロシア兵から性的な被害を受けたという被害は、ユリアさんたちの団体以外からも次々と報告されています。
ウクライナの女性副首相ベレシチュク氏は、ロシア側に拘束された500人以上の女性が、髪をそられたり服を脱がされたりするなど「人間の尊厳が傷つけられている」と訴えています。
また「性的暴行の事実も把握している」と非人道的な行為を非難しました。
“レイプが「戦争の武器」として使われている”
4月11日、「ラ・ストラーダ・ウクライナ」は国連安保理に対して「女性への暴力やレイプが“戦争の武器”として使われている」と訴えました。

ユリアさんはその根拠として、個別のケースについて詳しくは公表できないとしながらも、ロシア軍が「組織的に性的暴行を行っている」とみられる実態を明かしました。
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ユリアさん
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「ほとんどのケースは被害者が家やその近くにいるときに起きています。ロシア兵は集団でやってきて、複数の兵士が順番に暴行することもあれば、レイプにおよぶ1人以外はただ見ているだけのこともあります。
聞いた中で最もつらかったケースは、数日間にわたって監禁されて暴行された後、殺されてしまったケースです。未成年の女の子がレイプされるケースもあり、本当につらいです」
法律家として感情をたかぶらせることなく、冷静にインタビューに応じたユリアさん。
取材の最後に、戦争犯罪は裁かれるべきだという強い意志を口にしました。
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ユリアさん
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「実際にはよりたくさんの苦しんでいる人がいます。一日も早く戦争を止め、一日も早く法的なプロセスを始めるべきです。苦しんでいる人のために、公正な裁きが下されなければなりません」